2024-05-01

日本のウェルビーイング新時代・前編

この記事は、2023年9月に京都で開かれた「ICC KYOTO」でのセッションを元に、日本がどのようにしてより幸せな国になろうとしているのかを探ります。このICCサミットでは、私たちのウェルビーイングの測定方法が大きなテーマでした。

2024年9月には、国連が主催する「国連未来サミット」が予定されています。ここでは、経済指標だけでなく、私たちの幸福を測る新しい方法についての議論が行われます。これらのテーマは、私たちの未来にとって非常に重要です。この記事では、日本がいかにして笑顔あふれる社会を実現しているかを探ります。

目次

ウェルビーイング産業とは何か?

ウェルビーイング産業は、健康、快適さ、幸福感を向上させるさまざまなサービスや製品を提供する産業です。この産業は、健康管理、美容、精神的リラクゼーションを提供し、人々の生活の質を高めることに貢献しています。たとえば、ウェルネスリゾート、有機食品市場、マインドフルネスアプリケーションなどがあり、これらはすべて日常生活において重要な役割を果たしています。

物事が世の中に広がるために必要な三つの要素

⚫︎ 概念: Well-being Transformation(ウェルビーイングの進化)

ウェルビーイング産業が広がるためには、まず「Well-being Transformation」という考えが大切です。これは、私たちの生活や産業がただ変わるだけでなく、「より良いものになる」ための大きな変化を意味します。たとえば、茶道が広まるには「わびさび」という概念が重要であるように、ウェルビーイング産業も同様に、この新しい考え方が根底に必要です。ウェルビーイング産業は、個々の健康だけでなく、社会全体の幸福を考えることに重点を置いています。

⚫︎ 作法: 顧客を「生活者」として見ること

この変革をどのように実現するか、その方法が「作法」です。たとえば、病院が患者さんをただ治療する対象としてではなく、その人の日常生活を支える「生活者」として扱うことで、日常生活においても健康がサポートされるようになります。このように見方を変えることで、健康を維持し向上するための新しいサービスやプログラムの創出を促します。

⚫︎ 道具: Well-being Tech(ウェルビーイングテクノロジー)

最後に、これらの考えや作法を実現するための「道具」が必要です。スマートウォッチや健康管理アプリなどの技術は、私たちの日々の生活に密接に統合され、ウェルビーイングの向上を実現します。

これら3つの要素が揃うことで、ウェルビーイング産業はさらに拡大し、多くの人々の生活を豊かにすることが期待されます。私たち一人ひとりがこれらの考え方を理解し、取り入れることで、社会全体がより良い方向へと進むことができるのです。

自己評価による幸福度測定

「Well-being」とは、私たちがどれだけ「元気で幸せ」を感じているかを表しますが、本当に自分が幸せかどうかを自分で確かめるのは、一見すると難しそうです。けれども、ここで紹介する「自己評価」という方法を使うと、自分自身の感じた幸福を定量的に把握することが可能です。

自己評価のプロセス

自己評価は、日常の終わりに自分自身に以下のような質問を投げかけるプロセスです:

  • 「今日は何が楽しかったか?」
  • 「今日のどの瞬間が最も嬉しかったか?」


これらの質問に答えることで、その日の良い瞬間を再確認し、自己の幸福感を具体的に理解できます。

さらに、これを日記形式で記録することで、時間が経過してから振り返ることが可能となり、自己の幸福感の源泉をより明確にします。

自己評価の利点

  • 心理的幸福感の向上: 定期的な自己評価は、心理学的にも自尊心や幸福感を高める効果があるとされています。これは、ポジティブな自己認識を促進し、日々の小さな喜びに焦点を当てることで達成されます。

  • 行動変容の促進: 自分が何に幸福を感じるかを知ることで、そのような瞬間を増やすための行動をとるモチベーションが高まります。

  • ストレス管理: 自己評価はストレスの感じ方を変え、問題を前向きに捉える手助けをします。

自己評価は、文化や国の境界を超えて、世界中の多くの人々によって行われています。この普遍的な方法は、全人類が自身のウェルビーイングを理解し、共有する強固な基盤を提供します。

このように自己評価を行うことは、個人のみならず、社会全体がより幸せに生きる方法を探求するための重要な手段です。これを実践することで、私たちはより満足感の高い生活を送るための洞察を深めることができます。

新しいキーワード:「Beyond GDP先進国」

「Beyond GDP」とは、「GDPを超えて」という意味です。GDP(国内総生産)は、国の経済の大きさを示す指標で、私たちの国がどれだけお金を稼いでいるかを表します。けれども、「Beyond GDP」のアプローチでは、お金だけではなく、人々の幸せや健康も同様に重視することを提唱しています。

日本が目指す「Beyond GDP先進国」とは?

日本は「Beyond GDP先進国」として、経済的に豊かなだけでなく、個々の人が自分の幸せを自由に決め、豊かな生活を送ることができる国を目指しています。これは、仕事や生き方を個人が自由に選べるようにすることが鍵となります。

このアプローチは、従来の経済成長だけを追求するのではなく、社会全体の幸福も重視する新しいタイプの資本主義です。ここで大切なのは、人々の生活の質や社会への影響も考慮に入れることです。

なぜ「Beyond GDP」が重要なのか?

過過去、国の豊かさはGDPで測られていましたが、GDPだけでは環境問題や社会的不平等といった課題が見過ごされがちです。これに対応するために「Beyond GDP」という動きが生まれ、経済活動だけでなく、環境保護や社会福祉も同時に重視する必要があります。

「Beyond GDP」は、GDPを否定するわけではなく、経済指標に加えて他の要素もバランスよく考慮することを推奨しています。このような多元的な評価を取り入れることで、日本は住みやすさを追求し、市民一人ひとりが満足できる生活を送れるような国を目指しています。

市場の新たな挑戦と機会

市場課題新しい投資アプローチ

日本の株式市場は過去20年以上にわたり新規資金の流入が限られ、多くの国内企業が稼いだ利益が海外の投資家に流出しています。これは国内での再投資が減少し、市場の新規投資への魅力が低下していることを意味します。

出所:日本取引所グループ

インパクト投資の台頭

けれども、こうした中で注目されているのが、リスクとリターンのバランスだけでなく、社会的および環境的影響も考慮に入れる「インパクト投資」です。このアプローチは、単に利益を追求するだけでなく、地球や社会にポジティブな影響を与えることを目指しています。

たとえば、再生可能エネルギーの開発や公衆衛生プロジェクトへの投資などが、インパクト投資の具体例です。これらの投資は、日本の技術や企業が国際的な舞台で評価を受ける機会を創出し、新たな資金の流入を引き寄せる可能性があります。

展望:市場と持続可能性の統合

この新しい投資のパラダイムを積極的に採用することにより、日本は国際市場で再びリーダーシップを取り戻す機会を持つかもしれません。持続可能な開発と社会的責任を市場運営の核として統合することにより、より多くの国内外の投資家が日本市場に魅力を感じるようになります。

このように市場の再評価を促すことが、日本にとって新たな成長の機会を創出します。

国連未来サミットとその影響

出典:The Summit of the Future in 2024/United Nations

2024年9月、世界各国が集まる「国連未来サミット」が開催されます。このサミットでは、経済の測定方法を再考し、「Beyond GDP」という新たな指標を設定することで、経済成長の評価と未来構築の方法が決定されます。これは、単に経済的な数字を超えて、より広い人間の福祉を測る新しい試みです。

サミットの三つの主要な柱

  1. ウェルビーイング(Well-being)
    ウェルビーイング指標は、人々の幸福と健康を重視します。公衆衛生の向上や生活の質の改善を含み、心理的満足感や身体的健康状態を総合的に評価します。

  2. サステナビリティ(Sustainability)
    環境保護と持続可能な開発に焦点を当て、未来世代にも豊かな資源を提供できるよう努めます。具体的には、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの推進などが計画されています。

  3. DE&I(Diversity, Equity, Inclusion:多様性、公平性、包摂性)
    社会のすべての層に公平性と包摂性をもたらすことを目指します。これには、性別、人種、障害を問わず、すべての人が社会的に平等な機会を享受する施策が含まれます。

これらの新しい指標によって、各国の進歩がどのように測定され、経済成長だけでなく地球全体の福祉の向上にどう貢献するかが明らかになります。

日本の役割

日本は、これらの新しい指標の採用を通じて、「Beyond GDP」の先駆者として世界に新しい道を示しています。経済だけでなく、環境や社会的福祉も重視することにより、他国にも同様のアプローチを促すことが期待されています。これは、日本が世界に示す新しい持続可能な発展モデルの一環です。

GDPとWell-beingの関係性の変化

20世紀の状況

20世紀は経済発展の黄金時代とされ、多くの国でGDPが急速に増加しました。当時は経済成長が直接的に医療、教育、インフラストラクチャー(生産基盤と生活基盤)の改善を通じて、国民の生活の質を向上させると広く認識されていました。

21世紀の変化

けれども、21世紀に入ると、経済成長と生活の質の間の直接的な関連が薄れ始めました。特に2008年のリーマンショック後には、経済不安が増大し、多くの人々が不安定な雇用や所得の不平等といった問題に直面しました。これは、単にGDPの増加だけでは国民のウェルビーイングを保障することが難しい状況を示しています。

現在の状況

現在でも、多くの国でGDPは成長していますが、幸福度や生活満足度は一般に減少しています。経済協力開発機構(OECD)の報告によれば、所得増加にもかかわらず社会的孤立感や心理的なストレスが増加しているとされています。

なぜ重要か?

この変化の理解は、政策立案において極めて重要です。政策決定者は経済指標だけでなく、健康、教育、平等、社会的つながりなどのウェルビーイングの指標を重視することが求められています。これにより、持続可能な開発と国民が実際に幸福と感じる社会の構築が可能になります。

展望

GDPの成長が自動的にウェルビーイングを保証しない現状を受けて、私たちは経済成長と社会全体の幸福を同時に重視する新しいアプローチを模索する必要があります。これは、全ての市民が満足できる生活を享受できる社会を目指すことを意味し、単なる経済指標を超えた新たな政策の策定を促します。

ウェルビーイングの未来展望

日本の先進国としての役割

日本は、短期的な利益よりも持続可能で安定した経済成長を追求しています。たとえば、技術開発への長期的な投資は、一時的な成果よりも、国内外市場での持続的な競争力を高めることに重点を置いています。この戦略は、経済の持続可能性だけでなく、国民全体のウェルビーイング向上にも寄与しています。

Beyond GDPという国際的な流れ

持続可能性を同等に重視するアプローチです。日本はこの概念を国政に取り入れ、環境技術の開発や公共交通の充実などを通じて具体的に実行しています。この取り組みにより、日本は国際的に持続可能な開発のリーダーとして認識されています。

SDGsとWell-beingの関連

持続可能な開発目標の実践

持続可能な開発目標(SDGs)への日本の取り組みは、国内外の政策でウェルビーイングの向上を図るために重要な役割を果たしています。特に、以下のような分野での施策が具体的な進歩を示しています:

  • 再生可能エネルギーの利用拡大:環境負荷の低減とエネルギー安全保障の向上を図ります。
  • 教育機会の均等化:全ての子どもが質の高い教育を受ける機会を得ることで、将来の社会的地位と生活の質を向上させます。
  • 性別平等の推進:男女平等を実現し、女性が社会のあらゆる領域で活躍できる環境を作ります。

これらの取り組みは、日本が国際社会において責任ある役割を果たすと同時に、グローバルなウェルビーイングの向上に貢献しています。

政府の方針としてのWell-being

出典:経済財政運営と改革の基本方針2023/内閣府

政府は、「骨太の方針」を通じて経済成長とともに、国民のウェルビーイングを重視する政策を推進しています。具体的な施策には以下が含まれます:

  • 子育て支援の拡充:家庭が子育てと仕事の両立をしやすくするための支援を充実させます。
  • 高齢者の社会参加の促進:高齢者が社会活動に参加しやすい環境を整え、彼らの社会的ウェルビーイングを向上させます。
  • 労働環境の改善:働きやすい職場環境を作ることで、従業員の健康と満足度を高めます。

これらの政策は、経済的な利益を追求するだけでなく、社会全体のウェルビーイングの向上を目指しています。このような取り組みは、内閣府が発表する「満足度・生活の質を表す指標群」(Well-beingダッシュボード)で評価され、政策の効果を反映させています。

出典:満足度・生活の質に関する調査報告書2023

日本は、経済的な観点からだけでなく、社会的なウェルビーイングを重視することで、持続可能で幸福な社会の構築に向けて努力しています。国内の政策だけでなく、国際協力の枠組みを通じても、これらの取り組みは日本のグローバルな影響力を高めています。

特に、環境保護、教育の普及、そして健康と福祉の向上に関する日本のリーダーシップは、他国の政策決定にも好影響を与え、世界中のウェルビーイング向上に寄与すると期待されています。このように、日本は「Beyond GDP」の理念を実践し、経済的成果だけでなく、全ての市民が豊かな生活を享受できる社会を目指しています。

日本のWell-being認知の広がり

メディアとWell-being

日本の大手メディアがウェルビーイングに焦点を当てるようになったのは、このテーマの社会的重要性が高まっていることの明確な証拠です。たとえば、日本経済新聞は「Well-being Initiative」という専用のセクションを通じて、職場のストレス管理や健康的な生活習慣の推奨など、具体的なウェルビーイングのテーマを掘り下げています。また、朝日新聞の「SDGs ACTION!」では、持続可能な開発目標とウェルビーイングの交点に焦点を当て、教育や地域活動を通じて個人の幸福感をどう高めるかについて報じています。

⚫︎Well-being Initiative 日本経済新聞

⚫︎朝日新聞SDGs ACTION!

これらの取り組みにより、読者は日常生活で実践可能なウェルビーイング向上のアイデアや、最新の心理学・健康科学の研究成果を深く理解する機会を得ています。

新聞でのWell-being記事の増加

近年、ウェルビーイングに関する報道は劇的に増加し、記事の数は95倍にも膨れ上がりました。この驚異的な増加は、社会全体でウェルビーイングがいかに注目されているかを示すものであり、一般の人々がどれだけ生活の質の向上に関心を持っているかを浮き彫りにしています。このようなメディアの動向は、公共の健康意識の向上や、よりバランスの取れた生活へのシフトを促進する重要な役割を果たしています。

ウェルビーイングの教育

2024年から、日本の教育カリキュラムにウェルビーイングの概念が強調されるようになります。この新たな方針は、「教育振興基本計画」、「こども大綱」、そして「科学技術・イノベーション基本計画」に基づいた包括的な政策の一環です。これらの計画は、児童・生徒だけでなく教職員のウェルビーイング向上にも焦点を当てており、教育、科学技術、イノベーションの三つの柱が連携して社会全体のウェルビーイングを推進しています。

特に、「科学技術・イノベーション基本計画」では、国が目指すSociety 5.0の未来社会像を具体化し、「持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」と定義しています。このビジョンの下、政府は次の5年間で30兆円の研究開発投資を行い、官民合わせて120兆円の投資を促進する計画を立てており、これによりウェルビーイング関連の技術やイノベーションが大幅に進展することが期待されます。

このように、日本は教育から科学技術に至るまで、ウェルビーイングを社会の中核に据え、国民一人ひとりが豊かな生活を享受できるよう努力しています。これらの政策は、教育現場での具体的なカリキュラム改革にも反映され、子どもたちは「自分の感情の理解」と「友だちや家族との健康な関係の築き方」を学びながら、自己管理と社会的スキルを身につけることができます。

「こども大綱」と「こどもまんなか社会」の推進

2024年12月22日、内閣府特命担当大臣 加藤鮎子は、「こども大綱」の閣議決定を発表しました。この大綱は「こども基本法」に基づき、すべての子どもや若者が健やかに成長し、将来的に幸せな生活を送れるよう支援する政策の一環です。大綱の核となるのは「こどもまんなか社会」の実現であり、以下の三つの重点領域が挙げられています:

  1. 子どもや若者の権利の尊重:生まれながらに持っている権利を重視し、子どもや若者の現在と将来にとって最善の選択を行います。具体的には、教育へのアクセス拡大や健康サービスの提供が強化されます。

  2. 子どもや若者の意見の尊重:彼らの意見を積極的に聴取し、政策形成過程においてその声を反映させます。例として、年間を通じて開催される子ども議会や青少年のためのフォーラムが設けられています。

  3. 持続的な支援:子どもや若者が自立し、自分らしい生活を送れるよう成人に至るまで支え続けます。この支援には、職業訓練プログラムやメンタリングシステムの充実が含まれています。

加藤大臣は、「これからも、こどもや若者の一人ひとりの意見を聴いて、その声を大切にして、社会を『こどもまんなか社会』へと変えていく」と述べています。この政策は、日本の未来を担う若者が直面している現代の挑戦、たとえば教育機会の不平等や社会的孤立といった課題に対処するためのものです。この動きは、子どもや若者のウェルビーイングを重視する現代の教育および社会政策の方向性を示すものであり、彼らが社会に積極的に貢献できる人材として成長するための土台を築いています。

地方自治体における実践例:沖縄県教委の取り組み

沖縄県教育委員会は、令和6年度から新たな働き方改革プランを策定し、これは教育現場における革新的な取り組みとして注目されています。このプランは、児童・生徒だけでなく教職員のウェルビーイング向上を目的とし、「働きやすさ」「働きがい」「心身の健康」に特に焦点を当てています。改革は、教育現場の生産性向上と教職員と学生双方の満足度向上に寄与することを目指していますが、その具体的な影響は今後の評価が待たれるところです。

SDGsとの比較

ウェルビーイングは、SDGsのように国際的なフレームワークと比較しても、特に日本国内で迅速に認知されています。SDGsが提供する環境保護や公平な社会の目標と並行して、ウェルビーイングはこれらの目標を個人の日常生活にどう落とし込むかを考える動機付けになっています。たとえば、環境関連の目標に対応するために、多くの学校がエネルギー効率の良い施設への改修を進めており、それが教育環境の質の向上にも寄与しています。

メディアや教育を通じて、ウェルビーイングの概念が日本全国に広まりつつあります。この流れは、個人だけでなく社会全体の健康と幸福の向上に寄与するため、非常に重要です。今後もウェルビーイングの推進は、日本が直面する多くの社会問題の解決策として、さらに重要性を増していくでしょう。

ウェルビーイングと持続可能な社会の構築

福岡市のイニシアティブ

福岡市は、ウェルビーイングを積極的に推進する企業に特別な評価を行っています。市長の髙島宗一郎が推進するこの制度は、企業が社員の健康管理や働き方改革にどれだけ取り組んでいるかを評価します。参加企業には大企業だけでなく中小企業も含まれており、福岡市はこれらの企業を「ウェルビーイング優良企業」として公表しています。


出典:福岡市Well-being&SDGs登録制度について

企業が得られる特典

この制度に登録された企業は、さまざまな金銭的優遇を受けることができます。たとえば、西日本シティ銀行はウェルビーイングに積極的な企業に対して低利での融資を提供しており、これにより企業は社内のウェルビーイング施策への投資を促進できます。

出典:SDGs・Well-being宣言書・西日本シティ銀行

地方自治体や金融機関によるこのような評価は、企業がどれだけ社会的責任を果たしているかを示すものであり、投資家や顧客からの信頼獲得につながる重要な要因です。福岡市の取り組みは、企業がウェルビーイングにどのように取り組むかによって、その社会的評価や地域社会全体の生活の質が向上することを示しています。

このように、ウェルビーイングへの投資は、単なるコストではなく、企業と地域社会にとって長期的な利益をもたらす重要な戦略です。

終わりに

前編では、ウェルビーイングの新しい理解とその社会への広がりを深堀しました。私たち一人ひとりの日常生活にどのような変化が起こっているのか、そしてそれがなぜ重要なのかを探求しました。後編では、これらの概念がどのように具体的な政策や実践に取り入れられているのかを明らかにします。

私たちがどのようにしてこれらの変化に参加し、具体的に貢献できるのか、日本国内外の成功事例をもとに探ります。特に、地方自治体がウェルビーイングの理念を生活の中にどのように組み込んでいるかに焦点を当て、読者自身がこの動きにどう関われるかを示します。引き続き、後編もお楽しみに。

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コメント1件

  • […] 今日はゴールデンウィークの中日。明日からは後半の4連休が始まります。久々に劇や音楽の世界に触れ、そのつながりを味わうことで、人間関係のおもしろさを改めて感じています。ウェルビーイングサポートサイトとして、人と人のつながりを研究する社会ネットワーク研究者たちを応援する私たちは、理論だけでなく人間の感情の深さにも触れることを大切にしています。このゴールデンウィーク、感情豊かな体験を通じて、日常から少し離れた豊かな時間をお過ごしいただければと思います。さて、今回公開した「日本のウェルビーイング新時代・前編」では、2023年9月に京都で開催されたICC KYOTOを基に、日本がいかにしてウェルビーイングの先進国として歩んでいるかを探ります。👦👧 本記事では、日本全国で展開されているウェルビーイングの主導を、豊富な事例と共に紹介。特に子どもたちの教育や社会全体のウェルビーイングへの取り組みを詳しく解説しています。📚 学ぶべき点が多く、これからの日本を支える若い世代への投資がどれほど大切かを示す内容です。未来を担う子どもたちのジャンプが印象的なアイキャッチと共に、新たなウェルビーイングの形をご紹介します。この記事を読むことで、日々の生活や将来の計画において、どのようにウェルビーイングを考慮に入れるべきかの洞察を得ることができます。ウェルビーイングについての理解を深めたい方、具体的な行動を始めたい方に特にお勧めの内容です!🌐 記事はこちらからご覧いただけます:「日本のウェルビーイング新時代・前編」ぜひ、この機会に日本のウェルビーイング新時代の一歩をご一緒に踏み出しましょう! […]

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