
2023.05.30 │ PIVOT 公式チャンネル【日本人と天才論】
日本に今必要なのは、人を尊敬する力なんじゃないか、という話をしてみました。
でも、この文化の中で、人を尊敬できる子供を育てるにはどうするか、というのは難しい問いなのかもしれない。@takuyakitagawa
尊敬も、一つの“能力”なんですね。教えるのは難しいけれど、もし身につけられたら社会を変える力になる気がします。
フワッとした現象を言葉にできる人は本当にすごい。
北川さんのように、みんなの“もやもや”を『まさに!』と表現できる姿に強い尊敬を覚えます。私も今からでも、本気で“尊敬する力”を育てたいです。
目次
人を尊敬する力と日本の未来を語る
【日本人と天才論】日本人は他人を尊敬できない/AIは実験科学に生まれ変わった/More is Different/共同生活とウェルビーイングの関係
👤 プロフィール
・茂木健一郎(脳科学者・理学博士)
脳と心の関係を研究。『脳と仮想』で小林秀雄賞を受賞。
・北川拓也氏(経営者・理論物理学者)
Well-being for Planet Earth共同創業者。元楽天CDO。理論物理で20本以上の論文を出版。
・竹下隆一郎(編集者・ジャーナリスト)
PIVOTチーフ・グローバルエディター。元朝日新聞経済部記者。
本記事では、茂木健一郎氏と北川拓也氏によるPIVOT対談の後半部分を取り上げます。対談のテーマは日本における人を尊敬する力と、その育成についてです。

天才の定義と日本の教育
茂:日本のメディアって馬鹿だから、東大理三に受かった時点で天才とか言いがちじゃん。
北:日本はもう圧倒的に人を褒める力が弱いです。褒めることはできない、っていうよりかは心の底からすごい、と思えてない。尊敬することができない。
北:コンピューターサイエンスって理論的にわかったことを再現する領域だ、っていうに思ってる人も多いと思うんですけど、ChatGPTのAIに関してはパラメータ数をファーっと出してったらいきなり相転移のように、できることがワッと増えたんですね。だから、実験科学になったんだと思います。
茂:この番組、PIVOT(方針転換)って言うじゃないですか。実は俺ずっとね、北川さん見ててPIVOTだな〜と思ってて。物理やってて、そのあと楽天行って、その後ブロックチェーンの会社やってたんだよね。
北:その会社、今も一応あるんですけれども、最近のフォーカスは量子コンピュータの会社の仕組み…
茂:でウェルビーイングもやってて。だからPIVOTしてますよね。意外と。
北:そうっすね。ちょっとPIVOTしてますね。
茂:どうですか?PIVOT。
北:僕、好きなんすよ。今でも覚えてるんですけど、ハーバードで初めて行ったとき、秋なんでちょっと肌寒い季節で。英語も僕、元々そんな喋れるタイプじゃないんで。
茂:タイプって。
北:(笑)帰国子女じゃないってことですね。帰国子女じゃないんで英語はあまり、できない人間だったんで。行ったときにnobody(誰でもない)な感じですね。だから、何者でもない感覚。でも、そこにはすごいものがあるはず、っていうワクワク感をすごい覚えてて。ちょっと寒い肌寒い感じで。なんかフレッシュなエアーみたいな、空気みたいな感をすごい覚えてて。あれが結構、やっぱ好きだったんですよね。
茂:PIVOTしたときに、新しい分野に行くとnobodyだから。
北:そうです。
茂:その感じが好きなんだ。
北:その感じが好きなんですよ。
竹:じゃあ、somebody(誰かである)になったら次行く・・・
北:・・・っていう癖が若干ありますよね。
茂:竹下さんも実は朝日からハフィントンポスト行って、ここ来たからPIVOTしてますよね。今、何だっけ?
竹:チーフ・グローバルエディター。

竹下隆一郎氏 noteプロフィールより
北:良いですね。
茂:だからPIVOTしてるんですよ。どうですか?今のお話聞いて。
竹:僕も結構、共感しますね。ただ、僕はなんか「根本は伝えたい」ってのがあるんですけど。今はやっぱり映像で伝えるのが一番いいので映像にPIVOTした、っていうのは大きいかもしれないですね。
北:軸がありつつ。
竹:そう。軸がありつつ、手段がどんどん変わってる感じですね。
北:はい。
茂:うん。何なんだろうね。ハーバード、ユナイテッドのボストンの優秀さって。なんかインサイト(洞察)あります?なんか…。俺なんか通り過ぎたことしかないから。おそらくね、最長で数日しか居たことないから。何なの?

ハーバード大学キャンパス俯瞰 / 出典:Wikipedia
北:やっぱり、常に価値とは何かっていうところに関する、それぞれの人が持ってる信念がありますね。だから、今でも量子コンピュータの会社のメンバーの人、スーパー優秀な天才だらけなんですけど話してると、自分の中に世の中においての価値っていうのはこういうものなんだ、っていう、すごい強い信念があって、それをもう結構とことん実践してますよね。あそこの人たちって。っていう感覚が僕の中にはありますね。
茂:エクストリーム(過激)に実践してますよね。でも必ずしもアライン(そろえる)しないこともあるじゃん。
北:もちろんです。もちろんです。でも優秀な人になればなるほど幅広く「価値とは何か」っていう感覚を持っているので。この人の価値はこういう、すごいことを生んでいて、それに関してはリスペクトをして自分はこうだから上手く、こういう風にコラボしようってことを、よくやっていますね。
竹:そういう価値観とIndividual(人格、個性、個体)な感じと、さっきのIndividualがもしかしたら再現できるかもしれないっていうのは、どういうふうに北川さんだったら整合性とっているんですか?
北:あー。でも、それはでも難しい質問ですね。面白い質問だと思いますね。でも…。時間軸の話なんすかね。だから結局、今の生成技術って割と今ここで、たとえば画像作って絵を作って文章を作ってって話をしてますけども。
さっきの山下さんの話って、人を生むときって10年20年の熟成を経て、その経験だとか苦労だとか成功だとかを引きずって次の一歩を踏み出す、っていうキュミュレイティブ(cumulative / 積算的、蓄積的、累積的)な、イクスピリエンス(experience / 体験、知識、全経験)な活動をしてるんで、今まだAIが考え出してないのは多分そういうエンティティ(実態、存在、本質)を育てる。育てるときにどういうふうに育てるべきか、っていう議論にはまだ至ってないですね。
茂:そうなんだよ。竹下さん、よく名前間違えられる。今、山下さんっつったじゃん。俺も初回の収録で佐々木さんって言っちゃったんだよ。
竹:全部スルーするっていう方針で。
茂:何で間違えやすいかって言うと、おそらく世の中の竹下イメージと合ってないんだよ。名前変えた方がいいよ。
北:おかしいですね
茂:なんかね、竹下っぽくない。
竹:先祖代々・・
茂:山下っぽい。あるいは佐々木っぽい。
竹:でも北川さんは、北川さんぽい。
北:茂木さんは、めっちゃ茂木さんぽい。
茂:本当に…。だから、MITだとメディアラボとかよく行ってたんですけど。

MITメディアラボ / 出典:Wikipedia
MIT:米国マサチューセッツ工科大学
メディアラボ:IT・デザイン・メディアが交わる先端研究拠点
ボストンのあの雰囲気って今言ったようなことって、ひとつあると思うし。MITですげえなと思って聞いたのは1人1個、IPアドレス?、グローバルのIPアドレスを持ってて。それで何に使ってもよくて。それを何かやらかしちゃってても全然それを気にしないっていうか…とか。いろいろ聞くんだよね。
北:おもしろいっすね。思想を感じますよね。そういう話には。
茂:だよね。ハウスの話とかね。ハウスはどういう感じだったんですか?自分の居たの。
北:僕…ローウェル・ハウス(Lowell House)っていう。

ハーバード大学ローウェル・ハウスの外観。出典: Harvard Gazette
ハーバード大学ローウェル・ハウスの図書室。出典: Harvard Gazette
竹:ハウスって何ですか?
北:ハウスってあの…。ハーバードの学部生が、2年生以降になったときに住む寮の名前なんですよ。寮のことをハウスって呼ぶんですね。
茂:いろんなメジャーな方がバーっと。
北:うん…共同生活してるんで、まさにいろんな分野の方が同じ食堂でずっとご飯食べてるんで仲良くなる。
竹:北川さんのハウスは、どんなハウスだったんですか?
北:僕は基本やっぱり友達、居なかったんで。どこに住んでも同じだったんですけど。まあでも、そうですね。川沿いの、ひとつのハウスで非常に思い出深いですね。一応、雅子さまが昔住まれていたハウスと同じ。
で僕たまたま…彼女はハーバードなんですけども。1年生の寮も、2年から4年間の寮も全部、雅子さまと同じなんですよ。

ローウェル・ハウスのロシアの鐘、ハーバード大学。出典: Harvard Gazette
茂:雅子さまストーリー。
北:たまたま。っていうストーリーは聞きましたね。
茂:僕はね、どっちかというとアメリカの大学が良い、っていうストーリーばっかりは日本にベースしてる人間としては、ちょっと…何か変な感じ。僕もケンブリッジ留学してたけど。

ケンブリッジ大学トリニティカレッジ / 出典:Wikipedia
ケンブリッジの、たとえばトリニティカレッジとめっちゃ良いけど、「トリニティ良いでしょ」って言ったって。それよりも日本の大学をもっと良くした方が良いんじゃないの?って。あれ、日本の大学って何か関わったことあるんだっけ?
北:いや、あんまりないです。一応、物理学者ってところに呼んでいただいて話をするぐらいのことはありましたけど…。
茂:何かうまく…コストかけないで…そんなお金かけられないと思うんで。日本てお金ないんで。何かいいアイディアないっすかね?

北:僕の後輩で小林亮介ってご存知かもしれないですけど、ハーバード行ったやつが今、寮を日本に作ろうとしていて。下北カレッジって。下北に作ってるんですけど。寮は僕は結構、本質的に有りだと思うんです。っていうか学生の寮も、すごい有りだと思うし。
僕、二子玉に住んでいたころに実は長屋みたいな所に住んでて。大家さんが、すっげえ気のいい人で。バーベキューセットを庭のところに真ん中にボンと置いて。もうコロナの間も毎日のように肉を焼いてた時期があって。
そういった共同生活。核家族の拡大。子どもをお互い一緒に育てる、っていうか。そういう共有生活スタイルは、僕はウェルビーイングの観点でも人間の進化という観点でも非常に寄与度は高いと思うんです。
竹:それは、ウェルビーイングでよく時間の話をされているんですけど同じ時間を過ごしてる、っていうのが大事なんですかね。
北:特に、やっぱり学生の時期っていうのは教育とは、僕のなかでは新しい価値の獲得なんですね。今まで価値だと思ってなかったものを、すごいこれ価値あるねって思えることは教育だと思っていて。それって、まるで興味ないことに興味を持つ、っていう矛盾したことをやらなきゃいけないですね。
興味ないことに興味を持たせるのが「人間関係」
それを唯一起こせるチカラって僕は唯一、人間関係だと思っていて。だから共同生活は僕は新しい価値観を獲得するのに絶対、必須だと思う。
感情とAIと意識
竹:それって今後、人間にしかできないんですか?要するにバグった価値観を入れていくっていうのは人間だけができるのか。それとも何か量子コンピュータもシミュレーションして・・・
北:もっと価値があるとかないとか、の判断基準が「感情」だと思ってるんです。僕は。別に人間じゃないといけない、ってこと無いんですけども、感情というものをAIに宿らせる必要性がある。その感情って、どっから来るかっていうと結局ゆくゆくは進化論的な人間の、結局サバイバルフィット*の中からある程度出てきてるので。そういう文脈にAIを載せてしまえば、その中に感情の獲得っていうのがあり得る。
サバイバルフィット:困難を生き抜く力。柔軟性・忍耐力・問題解決力など。
茂:それ、ものすごくおもしろい話です。僕のライフハック(効率化の方法)は意識なんで。
すごく今Uターンしてる、っていうか安心してるのは今の人工知能の先には意識はない、っていうのは確信してるんで安心してるわけ。そこは大丈夫。ただ、本当に意識のやってる99.9%は、もうできちゃうと。AIで。そういう意味においては脅威を感じてる、っていうか。チューリングテスト*合格しちゃったし、おそらく。
チューリングテスト:AIが人間と区別できない自然な会話をできるか判定するテスト
心の理論、誤信念課題も、おそらく合格しちゃってるし。
北:誤信念課題って何ですか?

茂:Aってとこに入ってると思ってるんだけど実はBも客観的には映ってて。それを間違った信念を抱いてて、それを分かるかっていうのが、もうLLMは合格しちゃってるんで。
ただ今、感情って言ったじゃないですか。意識と感情って、おそらく人間の本当に微妙なところに属するんで。だから、いわゆるAI効果*ってあるじゃないですか。

AIができたってことは、もはや人間の本領ではないって思うバイアス(かたより)みたいな。どんどんハードルが上がっていく、っていうか。

逆に言うとAI効果で、この集合がもうできちゃうっていうのと、この余集合がどんどん狭くなっていくんだけど、ここが意識とか感情の領域だと思うんだよね。だから、それが狭くなっていくんだけど水が干上がっていって水たまりがもう無いよ、みたいな。そこを見据えていくのが、すごく大事だと思うんだよね。
北:逆に広がる、っていう感覚はありますけどね。狭くなるんですけど、そこに集中して我々が理解を深めることによって高評価されていると思います。普通に感じはします。
日本企業とGAFAMの競争力
GAFAMとは、Google・Amazon・Facebook(現Meta Platforms, Inc)・Apple・Microsoftの企業名の頭文字をとった呼び名で、ガーファムもしくはガファムと発音されています。
茂:あと僕、強く感じるのは北川さんもこれからアメリカの会社コミットしていくってことで。優秀な人が外国から来ちゃうじゃないですか。だって、イーロン・マスクも南アフリカから来たし。あの構造って日本で作れないんですかね。

北:作れると思いますよ。
茂:どうやったら作れる?最優秀層。ベストプラクティス(最良)。天才たちを呼んで、東京とか京都とか大阪に呼び寄せる。
北:意外とでも、そういうコミュニティって多分Tedとかのコミュニティも同じだと思うんですけど。そんなに人数いらないじゃないですか。
茂:そうだね。
北:本質的には。たとえば、量子コンピューターを作った物理学者の集合体って20人程度なんで。20人ぐらい、その人たちがすごく居心地よくなるような…
茂:居心地良い空間って何か、というね。これが重要なんだ。
竹:食べ物が美味しかったりとか。
茂:それは間違いなく。じゃ日本に来てくんないのって何が足りないんだろう?
北:何かクリティカル・マス*が無いんでしょうね。
クリティカル・マス:集団が影響力を持つ「臨界点」
茂:あー。なるほどな。
北:1人2人は当然、いらっしゃるんでしょうけど。そういうイシュー(課題)で面白い人たちは。あとは、やっぱりビジョンの共有があるんじゃないですか?その20人で集まった時に、どこに向かって何をするんだっていうビジョンの共有は、やっぱり簡単ではないですよね。
茂:サム・アルトマン(ChatGPTの生みの親。出典:Wikipedia)が、OpenAIの拠点を日本につくるとか言ってたじゃん。岸田さんに。あれが単にローカライズ、たとえば日本のデータを集めるためとか、日本語対応とか言うだけだったらスケール感小さくなっちゃうから。あれは、だから本当にOpenAIの実は東京…かどうかはわかんないけど研究拠点てすげえよ、ってするための条件って何なんだろう?
北:やっぱり・・。シェインって会ってないです?まだ。そこの代表になるシェインって僕の昔からの知り合いなんですけど実は。OpenAIに行くか行かないか、みたいな相談にも乗ったんですけど。シェインがこれからやるチャレンジだと思うんですけども。
超天才の20人を集めたときに、その20人が心の底から邁進できるような環境作りをするリーダーシップ。サイコロジカル・セーフティ(心理的安全性)とかリソースですね。お金とかOpenAIのへのアクセスだとか全部を含めて、その場作りをいかにできるか、っていう。

これでも正直、吉田松陰的な話だとは思うんですよね。志の共同体。簡単じゃないし…。
吉田 松陰:幕末の思想家。松下村塾で多くの志士を育成
竹:ソートリーダー(thought leader 思想的リーダー)って必要ですよね。
北:その人が、thought leadership をとるかどうかは、別なんだと思う。まあ吉田松陰はそうだったんですけども。そうじゃなくて僕はいいと思ってるんですけど。ただ、いるんですね、そういう人がね。やっぱりメディアラボとかも、そういう場所だと思うんですけど。当然トップもすごいんだけど。
まさに、そこに集まってることが、とにかくプラウド(proud)誇りで、ハッピーで、このビジョンに対しても全身全霊やっていくんだ、っていうのをすごい信じられる場所かどうか、っていう。
竹:それ日本に可能だと思います?
北:あ、全然できると思います。
茂:それやんないと駄目だよね。今まで意外と経産省とかお金はあるんだけど、あんまりちょっと言えないけど第5世代コンピュータとか。情報大航海時代とか。ちょっとね、2、3周遅れてる感じの。ただ後からトロンなんかもそうだけども、皆さんも意外と要素技術みると良いことやってる気がするんだよ。
トロン:日本発の「すべての機器が連携する社会システム」構想
北:全然ありますね。
茂:ビジョンが確かに足りないんだよね。

北:後は人を褒める力だと思うんですよね。やっぱ日本は圧倒的に人を褒める力が弱いっすよね。
茂:なんでアメリカって、Awesome(最高!)ってすぐ言うんだろうね。オーサムじゃねえだろ、みたいな。良い質問だね!みたいに。
北:そうですそうです。僕も量子コンピューターの会社を手伝うときも改めていいなと思ったのが、いい仕事をしたときに、いろんな人がすごい良かったよっていうのを口に出して言うんですよね。もう圧倒的に、これいいです。やっぱり育てないと才能は。
なんで、茂木さんも昔からね。いろんな人と対談する中で、やられてたことだと思うんですけど。やっぱりメディアがですね。まさにPIVOTみたいなメディアが、まさに田中秀宣みたいな才能を褒めまくると。
竹:なるほど。まだ発見されていない人っていうことですね。メディアって、どうしても褒められてる人を褒めるっていうのは、すごいんですけど。引き上げるのは日本は得意じゃないですよね。
北:そういうのを、もっとしっかりローカルでやるべきだと。
茂:しかも、日経テレ東大学みたいなんじゃないやつ。俺この前もさ、ハーバードの医学部の女性と喋ってて、日経テレ東大学、良いんだけど褒め方が…イエール大学准教授とかさ。ああいう肩書き主義やめてくれないかな。ダサいから。
北:そうっすね。
茂:佐藤ママの本読んでたらすごく佐藤ママの息子たちって偉くて全員、灘中、灘高から理三に行ってるんだけど。取材対応が来た時に、その息子たち偉くて。僕たちは、ただ受験で受かったってだけで何もまだ成し遂げてないんでって。何かしてからマスコミの取材を依頼を受けますって。偉くない?
北:偉いですね。灘のやつは、そういうのが多いです実は。
茂:なんだけど日本のメディアって馬鹿だから、東大理三に受かった時点で天才とか言いがちじゃん。
竹:週刊誌は全部、名前とか載せてましたからね。昔は。
茂:だから、ああいうダサい褒め方じゃなくて本当に実質を見た…
竹:だから、褒め方わかんないんすよ。そういう東大とかイエールとか、、
茂:イエール大学准教授の、あのおでんみたいなメガネした成田悠輔とか…でも、成田悠輔の論文はめちゃくちゃ面白い。だからね、実質をちゃんと理解して分かればいい。
北:でも、それは、まダーパっていう。
ダーパ(ダーパ):米国国防総省の研究機関。インターネットやGPSを開発
アメリカの軍の生き方を僕は、もう大学の頃もあったんですね。たとえば、ダーパのプログラム・マネージャーって、どの量子コンピュータのプロジェクト研究に対してお金をつけるかっていうのの判断をするんですけども。そういった人たちって、ちゃんと物理の博士を持っていて中身を超理解した上でやる。
で、投資家も同じですね。投資家もバリバリの理論的な体系を理解していてスーパー理解した上で、しっかりと投資するみたいなところがあって。
竹:なるほど。
北:評価する側…
竹:あ目利き側?
北:そう、目利き側が、めちゃくちゃインデプス(in depth / 深く掘り下げた)にプレーヤーだった目利きが、基本的にはジャッジ側にもいるんで。そのコミュニケーションがすっごいスムーズなんですよ。でも、日本はジャッジする側の人たちが、もう諦めてることが多いんですね。
論文を読まないとか、その領域に対してちゃんと時間を使って理解しようとしないとか、心の底からそういう領域に興奮してるんじゃなくて、すごいアングルかけた感じで何か興味を持ってるんですね。たとえば、なんかその…そう。そうなんです。
竹:ぐっと飲み込みましたね(笑)
茂:言いにくい言葉を(笑)
北:だから、褒めることができないっていうのは、褒めることができないって言うよりかは、心の底からすごいと思うことができていない、が正しいと思うんです。
竹:あーなるほど。
北:こいつ何なの?みたいな。
茂:なるほど。例外があってさ。
望月新一のABC予想についてのさ、「宇宙際タイヒミューラー理論」…訳わかんない。あれを作ったNHKのスタッフの中には、数学の修士か博士持ってる…
北:NHK、僕すごいと思うんです。あの人たちは分かってます。
茂:だから、あの人たちは分かってるけど…
北:ドキュメンタリー見たら、やっぱ心の底からそれを尊敬してるドキュメンタリーって分かりますよね。やっぱり。
竹:あー作り手のね。
茂:だから、ああいうことはある。あるんだけど、ほとんどは肩書きとか・・。
竹:何か半分ばかにしてるんでしょうね。肩書きしか判断できないっていうのは・・。
茂:ばかにしてるのかな。
竹:ばかにしてるっていうか・・。何ていうんですか。
北:だから、そういう・・、何か商業的価値のあるものとして扱っちゃってるっていう。
竹:商品として扱ってる。
北:だから多分…、撤回すると、褒めることができないんじゃなくて「尊敬」することができない。
茂竹:良いこと言うね〜
北:日本人は「他人を尊敬することはできない」。これがイシュー(課題)ですね。
茂:もともと、でも柔道でも何でも、礼から始まって礼に終わるっていうか。相手に対するリスペクトってのはあるはずなのに…。
北:本来的にはある。素地はあります、だから。素地はすごいあるのに、尊敬するということはどういうことかを忘れちゃってるんでしょうね。
竹:なるほど、それを思い出せば。
AIは実験科学に生まれ変わった

竹:ちょっとAIの話に戻りたいんですけど、北川さんのtweetで面白かったのは、これから何か実験科学の時代に入ってくるって…
北:これも田中秀宣の。
竹:あ、元々、田中秀宣さんの…。

北:(笑笑笑)
竹:すごい人なんですね!
茂:どういうこと?
北:コンピューターサイエンスって理論的にわかったことを再現する領域だ、ってふうに思ってる人も多いと思うんですけど。今回のchatGPTのAIに関しては、パラメータ数をバーっと出してったらいきなり相転移のようにできることがワッと増えたんですね。だから、実験科学になったってことなんですよ。そう。だから、コンピュータハウスは、これから物理とかノーベル賞を取るように現象でノーベル賞を取る時代が来る。
で、この実験科学っていうのは他のサイエンスの領域では十分に発達した領域で、どういうふうにやっていけばその分野が発達するかまで分かってるのでコンピュータサイエンスも実験科学として、これから実験科学と理論化学の両方をしっかりと伸ばしていくことが必要なんだと。
・実験科学:実験データに基づき仮説を検証して知見を積み上げるアプローチ。理論中心の領域と対比される。
・理論化学:既存データを踏まえつつ、一般原理から個別現象を導くスタイル(=演繹的)。計算化学と重なる部分もあるが、理論枠組みの構築・検証が中心。
※演繹=一般原理→個別の結論を導くこと。
竹:なるほど。
北:で、田中秀宣は、実験科学のあり方を分野として確立したいって言って今ハーバードに居るんですよ。
竹:それは自然現象みたいに今後、観察が大事になってくるんですか?こう、いろんなことを考えて…
北:まさに。観察手法というものの発展。
茂:確かに。トランスフォーマー(機械学習モデル)のアーキテクチャ(コンピュータ システムの論理的構造)が発表されたときに、まさかGPT4みたいな能力持つとは本人たちも思ってなかった・・
北:思ってなかったし、やった後に誰も理解してないです。
竹:もう、いろんなことがボコボコおこっちゃってるみたいな…。
茂:だから僕LLM(large language model)の、やっぱりずっと脳科学やってきた人間としての衝撃は本当に何であんな能力持ってるのか理解できなくて。説明できなくて。ただ、考えてみたら人間の脳もそうじゃん。これもlarge language model(大規模言語モデル)みたいなものだから。
北:ちなみに田中秀宣の専門は、AIと脳科学のブリッジング(bridging)なんで。次回ぜひ、ここに(笑)
竹:Tweet載せときますね、ここに。

北:ぜひ。
More Is Different

茂:ところでさ。フィリップ・アンダーソン(Philip Anderson)の「More is Different(量が質を変える)」の論文も最近、意外と愛引してるじゃん。ってか前から。本文の意味ってどうですか、今。
北:いやいや。もうますます正しかったなと。
茂:どういうところ?今これを見てるレイマン(layman / 素人。門外漢。専門知識のない人)に、ちょっとざっくり説明を・・
北:あ、レイマンにですね。まその、フィリップ・アンダーソンが言ったMore is Differentって思想は、いわゆる科学持っていた、いわゆる還元主義ですね。つまり、複雑なものがあったときに、どんどん物をちっちゃくしていって要素のことを理解すれば再構築できるはず、っていう科学の思想がニュートン時代から、ずっとあったと。
だから、どんどんちっちゃい、素粒子学とかそういうふうに理解が進んでいったわけなんですけども。フィリップ・アンダーソンが、1970-80年代ですかね。
茂:71年かな。あの辺りね(1972)。
北:に、もうその時にはだいぶ分かっていたんだけれども。要素を理解して構築しても、実は大きなものの理解は得られない、っていうことを数理的に実は証明した、っていうか発表した…
茂:出してる例が、オタッキーすぎるけどね。アンモニア分子の何かだよね。おたくだよね。

北:まさに。ま超おたくなんですけど。までもその当時、実はいわゆる相転移というそのコンセプトをわかりやすく説明しようとして、そういうことを言ったんですけども。言ってしまえば水分子、アンモニア分子でも良いんですけども、分子を1つで見ると…ただの分子なんですけど、それをどんどん数を増やしていって10の23乗個とかを用意すると水になったり氷になったり、いろいろすると。
で、その変化、相転移が起こる変化というものは実は、すごく再構築するのはファーストプリンシパル(第一原理)って言って、いわゆる一番基礎的な理解から積み立てていくのは極めて難しいんすよ。実はそこには、すっごいジャンプがあって。
竹:じゃ個別を見ても全体が分からない…。
北:分からない、かもしれません。
茂:それ、まさにLLMで分かったことだよね。
北:まさに。だから、それを彼は物理的な概念を使って正確に証明をしに行った人なんですけれども。それでノーベル賞取った人だったんで。たとえば、その現象というのは、より一般的であるって彼はすごい議論しようとしたんですね。つまり生物における複雑性だとか、いうものも実は元々そういう思想がもしかしたら裏にあるんじゃないかと。ってことを提案して。
僕ら普通の人からすると当たり前に感じるのが、人間もそうだよねと。1人という人間と2人という人間は、まるで違うと。2人いたら、もう友達ができる。3人になった瞬間に、2人と3人はまた全然違う。関係性が。3人と10人が違うみたいな組織論の中でも結局、還元主義みたいな考え方が成り立たない。1人ひとりがどういう性格だからグループになったらどうだよね、っていうのは全く成り立たないんで。
竹:しかも大衆だったらナショナリズムが起こったりだとか、ファシズムが起こったりしますよね。
ナショナリズム/ファシズム:国家意識や共同体を重視する思想。ファシズムはその極端例
北:まさに。
茂:だから、この場が洒落ててね、さらにフィッツジェラルドとヘミングウェイ会話が引用されてんすよ。パリで。
竹:オシャレですね。
茂:フィッツジェラルドが言ったのかな、「何かお金持ちでいろいろ違うところあるよね」とか、いうわけ。そうしたらヘミングウェイが「そうだよね。金をたくさん持ってる」って。このラストがすごくカッコよくて。
フィッツジェラルド/ヘミングウェイ往復書簡集
竹:またヘミングウェイが出てきましたね。
茂:だから要するに、お金持ちは確かに教養があったりとか。ちょっと振る舞いが違ったりするじゃないですか。服をたくさん持ってるとか。住んでる家が違うとか。それはイマージェント(emergent / 出現した)なビヘイビア(behavior / 行動、態度、振る舞い)だとするじゃないですか。お金持ちの。いろいろ違うよね、っていったときに確かに「彼らは、たくさんお金を持っている」。
元に戻るんだけど、パラメーターのスケールアップによって何か全然違うことがビヘイビア、イマージェントとするっていうのが。あの論文の最後は笑えるよね。
北:面白いですよね。洒落てます。
茂:だから、LLMってまさに、それが起こったって。実験科学っていうのは、確かに良いです。だから、さっき言った外国の方、天才を呼ぶっていうのも、10年、20年、30年で、それを3年、5年、10年とやっていくと、なんかイマージ(出現)するかもしれない。
竹:なんか浮かび上がってくる、かもしれないですよね。
北:うん。うん。うん。
茂:それじゃ、このPIVOTも何か一つ、いっちょかみで・・。何かやったらね。
北:かなり貢献してますよね。PIVOTって割と1軸に捉えられるじゃないですか。
竹:そっから浮かび上がってくる一般意志なのか何かが、ちょっとオカルトチックなんですが何か出てくるはずだ、って確信があるんですよね。
北:めちゃくちゃありますよね。竹下さんとか佐々木さんが、人に対する興味とか尊敬が、PIVOTっていうメディアなんだと。いうふうに若干やっぱり感じますよね。
竹:多分、昔の雑誌はテーマを決めて当てはめてるだけなんですよ。
北:あーそうでしたね。
竹:でも今は人から浮かび上がっている何かを多分、捉えようとしてるのがPIVOTなのかなって思ってるんですよね。
茂:そういう意味でいると全て、ここからイマージする可能性がありますね。
竹:ありますね。
茂:ところで、どうですか?ロードマップとしては、どういうこと考えてんですか?量子コンピュータの会社の。言える範囲で。
北:はい。今年が、ちょっと内容複雑なんで、ちょっとはしょりますけれども。量子コンピュータって、とにかくデカくしていくのが難しいんですよね。今まで256Qビットって話しましたけども。これを間違える量。今って大体1回計算すると0.3パーセントぐらい間違ったりするんで。それを0.00…っつって10個ぐらい並べて、しか間違いない、0.000000…1%しか間違えない機械を作って…

茂:クォンタム・コネクション(Quantum Connection: 量子のつながり) の、何かこうアルゴリズムを変えるってこと?
北:まさに。量子誤り訂正技術を実装する。スケールして実装する。まさに量子誤り訂正技術の内容自体も遥かに良くする
茂:で、北川氏はその理論的なところの担当?
北:いや、僕はもう。
茂:あ、もうマネジメントなんだ。
北:僕は、そうなんす。僕は、だから理論家として10年やって、経営として10年やったんで。両方わかるということで経営として手伝ってる・・。
茂:わーじゃあ、ちょっと一癖も二癖もある人たちがマネージする・・
北:逆にこれ面白くて、僕からすると僕は心の底から尊敬する研究者とかの方々を、いかにサポートするか、なんですね。
これは本当に、何か僕は心の底から絶対自分じゃできない仕事をチームとしてやる、っていう話なので完全にサポーターに回る感じです。僕自身も当然、理解はできるんでやるんですけども、結局ま、しょぼいわけじゃないですか。そんなね、もう。本当の天才たちが、そこにいるんで。
なんで、だからそういう意味では僕はさっきの場作りの面白さというものを体験させてもらおうかなと。だから、僕はちゃんと場が作れる経営者なのか、っていう。
竹:人間ってややこしい面倒くさいじゃないすか。そういうのは得意なんですか?マネージしたりとか。
北:やっぱり、この10年間やってたんで、かなり得意な方だと思うんです実は。そもそも興味があるんで。あと「人に対して尊敬したい」っていう念が基本的には、すごい強いですね。
竹:あ、そこがベースなんですね。
北:人への尊敬が僕は、その場作りをしたい、という気持ちの根源になってますね。
竹:楽天に行ったのは、私なんかデータを把握したいのかなって思ったんですけど…
北:元々はそうですね。
竹:それより、もうちょっと半ゾーンのマネジメントの方が好き、ってことなんですね。
茂:なっていったんだよね。
北:そうですね。
茂:最初はね、単純にもうオタクだったよね。
北:(笑)
竹:経歴を見るとデータが欲しくて行かれたのかなと思ったら…
茂北:最初の頃は。
北:仰るように変わったんですね。ただ、基本的にやったことないことをやりたい人間なんで。やってると、あ、これが本当に価値あることなんだな、って思えるようになったって感じですね。
茂:そろそろ時間になってしまったんですけど何か北川さん、最後に何かメッセージないですかね。これだけは言いたい、ってこと。
北:までも今日良いテーマ出ましたよね。この
「日本人は人を尊敬できなくなってるんじゃないか」
っていう。
竹:それ、すごく面白いっすね。
北:はい。このテーマを是非お2人と、これからも詰めていきたいっすね。
茂:そうですね。それでPIVOTの何かメディアとしての役割も見えてきちゃったんじゃないですか?
竹:ありがとうございます。そう言っていただけまして。
北:ビジョンみたいなものが(笑)。
竹:茂木さん、どうですか?最後、何かコメントを。
茂:そうですね。いや僕は、やっぱり北川さんって会うたびに変わってるんですよね。それがすごいなーと思って。やっぱり変われるって僕はすごい…
北:あ、そうなんですね。自分は感じないっすね。
茂:ポケモンで言うとメタモンみたいなもので。だから本当に、、何か今度また会うときはどういうふうに変わってるのかな、って。めちゃ楽しみですね。(メタモン / 出典:pixiv百科事典)
北:ちょっとね。日が空きすぎるんで。ちょっと開かない時に会いましょう(笑)
茂:ですね。これはボストンでグリーンモンスター見ながらビール飲める時期に行きたいですね。ぜひ。冬は寒いんで。

グリーン・モンスター/ 出典:Wikipedia
竹:もうアメリカ行くっていう・・。
北:2、3ヶ月後にビザが下りれば・・。
茂:楽しみにしています。
竹:はい、ということで北川さん茂木さん、どうもありがとうございました。
茂北:ありがとうございました。
【対談を通して感じたこと】
研究者のお話を聞くのは本当に楽しい体験です。今回の対談も驚きと学びに満ちており、まだ理解しきれていない部分は多いのですが、その「人となり」に触れられることが大きな魅力だと改めて感じました。特に北川さんの「友達はいなかった」「新しいことをやるのが好き」「本物の天才がそばにいるときはサポートに回る」という率直な言葉に、恐れ多くも親しみを覚えました。

茂木さんと北川さんの“他己紹介”は、本当に見事でした!

知識人のすごさは、知識や経験を瞬時に整理し、分かりやすく伝える力。そして、場を柔らかく包み込む雰囲気をつくる力にあります。今回の対談も期待を裏切らず、驚きの連続で、「これはまるで世界会議を覗いているのでは?」と感じるほどの衝撃でした。
AIの話題は新しくて面白いけれど、テキスト化してみると8割は理解できていないことに気づきました。だからこそ残る“深さ”がありました。
その中で特に印象的だったのが、北川さんの「尊敬は努力の賜物」という言葉です。尊敬するには、
①相手をよく知ること
②自分の経験を広げて相手のすごさを理解すること
③それを言葉にして伝えることが必要だと。
自分が文章を書き始めた理由も、「人について上手に伝えることができない」というコンプレックスからだったので、この言葉には深く共鳴しました。
壁は3つです。
1. 尊敬する力(尊敬 or 愛がないと、そもそも伝える情熱がない)
2. 知る力(時間、もしくは頭を使うので時に苦痛を伴う)
3. 伝える力(お粗末。ひどい。月並みで落ち込む。)
─── 中略 ───
私の経験では、尊敬とは努力の賜物だ。
尊敬する、ということは
1. その人の生き様や行動、歴史をしっかりと見て理解すること。
2. 自分が「すごい!」と思える事柄が多く存在すること
が必要だ。
前者はその人の話を聞いたり調べたりしないとわからない。時間がかかる。
後者は自分の経験や努力がないと広がらない。サッカーをやったことがないとサッカー選手の凄さがわからない。物理を齧ったことがないとまるでノーベル物理学賞のすごさはわからない。ビジネスを理解して初めて経営者のすごさがわかる。
ものごとの価値を理解することはそれ自体がすごい大切で、努力が必要なのだ。
その価値理解を起因に他人への尊敬が生まれるので、より広い世界を知れば知るほど、本来は尊敬できる人が増える。
─── 中略 ───
2023.05.27|@takuyakitagawa
さらに強く感じたのは「魔法のような影響力」です。北川さんの言葉に触れると、自分の態度や視点が変わる。その背後には、知識だけでなく、人を導くマネジメント力や場づくりの力があるのだと気づきました。
知識人の話は、私たちの「態度と行動の変化」を生み出します。つながりを強めるのは単なる情報の共有ではなく、この変化そのものだと実感しました。今回のPIVOT対談は、その意味でかけがえのない時間でした。
人に対する尊敬は、自然と出てくる感情ではなく、努力である。
2023.05.27|@takuyakitagawa
(5月はその一歩を踏み出したら、環境が一変して寝込み、、、。寝ても寝ても眠い、、、。という現象が起きました。)
【対談から得た4つの気づき】
1. 研究者の言葉は「魔法」である
まとめ: 筆者にとっての「魔法」とは、研究者の言葉に触れることでした。
研究者の言葉は、意味深く実用的な知恵を授けてくれます。世界を変えるために粘り強く挑戦し続ける姿勢を知ると、「自分も成長に投資しなくては」と強く思わされます。こうした言葉に触れることで、自分だけでなく周りの意識まで変化していくのだと感じました。
2. 強い絆を生むのは「態度と行動の変化」
まとめ: 情報よりも、人の行動を変える力こそが、真のつながりを生む。
この10年で情報取得の手段は劇的に変化しました。ZoomやYouTube、そしてAIが普及したいま、知識人は画面越しに“友達”のように隣に存在します。私たちは彼らの問いや答えを通じて心を動かされ、態度や行動を変える。その瞬間こそが、もっとも強い絆だと実感しました。北川さんの語る「尊敬」という概念も、この「変化」と深く結びついていると思います。

©Clem Onojeghuo
3. 尊敬は自然ではなく、努力から生まれる
まとめ: 尊敬は生まれつきの感情ではなく、知ろうとする努力の先にある。
北川さんは「尊敬は努力の賜物」と語ります。相手をよく知ること、自分の経験を広げてその価値を理解すること──その積み重ねによって初めて尊敬が生まれます。誰にでも自然に備わる力ではありません。けれども、心から尊敬できる人に出会ったとき、自分の態度や行動は確実に変化します。それが関係を築く最初の一歩になるのだと思います。
4. つながりは「カルチャーの共有」から生まれる
まとめ: 言葉や文化を共有することが、深い関係性を生む。
PIVOTを観て初めて「つながりはカルチャーの共有だ」と感じました。番組内で飛び交う独自の言葉や共通理解を少しでも掴んだとき、「同じ映像を共有できた」という快感がありました。それは単なる情報交換ではなく、人生を一緒に味わう感覚に近いものでした。知識人たちの問いや答え、国家機密のような知識や未来のヴィジョンの共有は、まさに「カルチャーを分かち合う」経験そのものでした。

まとめ
今回の後編を通して、知識人の言葉はまさに“魔法”のように人を変え、行動を導くのだと感じました。尊敬は努力から生まれ、その努力が私たちの態度を変える。カルチャーを共有することで、強い絆も生まれていくのですね。
ちなみに、北川拓也さんのツイートや解説もとてもユニークで学びがあります。気になる方はぜひチェックしてみてください!
PIVOTレポートの前半はこちらから。未来には、どんなAIが登場するのでしょうか?
»【ChatGPTの次の次は量子AI】
出典:記載以外はPIVOT動画
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