平凡な日常が続いていく「ゼロ地点」は、馴染み深く、安心できる場所です。
そこに、ほんの少しだけ “これから” の気配が灯ったら──
Compass 0(コンパス 0)は、そんな未来への そっとした予感をともす場所です。
本ニュースレターは「ウェルビーイングな社会を育てていきたい」という願いから生まれました。
研究者の新しい取り組みや知見を手がかりに、私たちが感じたことや気づきを共有し、日々の暮らしや実践にそっと役立つメモとしてひらいています。
また、ここに集う方々との “あたたかいつながり” を大切にしています。
3※ 引用文以外の内容は、執筆者個人の見解であり、特定の機関の公式見解を示すものではありません。
ご感想や気づきがあれば、いつでもお聞かせください。🕊️
※最終更新2026.8.4(火)23:45 / 次回更新予定:8/5
このページでは、2026年7月8日以降のニュースレターを掲載しています。
7月7日以前のニュースレターはこちらをご覧ください。
🌿 木が見える街は、人も元気になる?
欧米で広がる「3-30-300ルール」とウェルビーイング
2026.8.3 │

©scott-precious
こんにちは。
「街路樹は景観のためにあるもの」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし近年、海外では樹木は健康やウェルビーイングを支える重要なインフラとして考えられるようになっています。
石川善樹さんが紹介されていた日本経済新聞の記事では、WHOヨーロッパも引用している「3-30-300ルール」が紹介されていました。
🌳 3-30-300ルールとは?
欧米の都市で採用が始まっている考え方です。
次の3つを目標にしています。
🌳 3
自宅から少なくとも3本の木が見えること
🌳 30
街全体の樹木の枝葉(樹冠)が地面を覆う割合を30%以上にすること
🌳 300
自宅から300メートル以内に公園や緑地があること
この3つを満たすことで、人々の健康や快適さ、気候変動への適応など、多くの効果が期待されています。
🌿 日本では木陰が減っている
一方で記事によると、日本では街路樹や庭木が減少しています。
東京大学の分析では、東京23区の樹木による木陰は、この約10年で東京ドーム256個分に相当する面積が失われました。
また、国内の街路樹もピーク時より約50万本減少しています。
背景には
・ 相続による住宅地の変化
・ 街路樹の管理費
・ 倒木対策
・ 成長の遅い樹種への植え替え
など、さまざまな事情があります。
🌞 木陰は「暑さ対策」だけではない
樹木には、
・ 夏の気温を下げる
・ 雨水を蓄え、防災に役立つ
・ 生物多様性を守る
・ 街の景観を豊かにする
・ 人のストレスを和らげる
など、多くの役割があります。
記事では、カナダ・カルガリー大学の研究も紹介されており、木陰を増やすことで都市の気温を下げられる可能性も示されています。
つまり木は、自然資本であると同時に、人々のウェルビーイングを支える「グリーンインフラ」としても注目されているのです。
🌱 ウェルビーイングとのつながり
Beyond GDPでは、豊かさは経済だけでは測れないと考えます。
街に木があることは、お金には換算しにくいかもしれません。
しかし、
「暑い日に木陰でひと休みできる」
「季節の変化を感じながら散歩できる」
「子どもたちが公園で安心して遊べる」
こうした日常の積み重ねも、人々のウェルビーイングを支える大切な要素です。
だからこそ、世界では都市の緑を「未来への投資」と考える動きが広がっています。
日本でも、気候変動が進む今だからこそ、「木のある街」の価値を改めて考える時期に来ているのかもしれません。
🌱 ウエルのひとこと
今まで、
木は「あると気持ちいいなぁ」くらいに思っていました🌳
でも今日のお話を読んで、
木は暑さから守ってくれたり、災害に役立ったり、
みんなの健康や未来まで支えてくれていることを知ってびっくりしました。
家の近くに木や公園があることって、
当たり前じゃなくて、とても大切なことなんですね。
自分も散歩をするとき、
「この木が街を守ってくれているんだな」
って思いながら歩いてみたくなりました😊
詳細は、日本経済新聞「緑の日傘消える日本、街路樹50万本減 世界の都市整備と逆行」もぜひご覧ください。
🌱 「ウェルビーイング」は、時間によって形が変わる?
2026.8.2 │

『Sustainable Well-being に関する考察 ―ウェルビーイングの時間的スケールについて―』
これまでニュースレターでは、国連の Beyond GDP 報告書を通して、「GDPだけでは測れない豊かさ」について学んできました。
今回はその続きとして、石川善樹さん、一橋大学の永山晋先生らが執筆された 『Sustainable Well-being に関する考察 ―ウェルビーイングの時間的スケールについて―』 をご紹介します。
ウェルビーイングを「時間」で考える
このレポートでは、一見さまざまに見えるウェルビーイングの考え方を、「時間軸」で整理しています。
つまり、「ウェルビーイング」は一つだけではなく、時間の長さによって大切にしたいものが少しずつ変わっていくという見方です。
「今の幸せ」と「未来の幸せ」をつなぐ考え方
特に興味深いのは、「Sustainable Well-being」という考え方です。
これは、自分が今心地よく過ごすことだけでなく、その行動が未来の人や社会、地球にもつながっている状態を目指す考え方です。レポートでは、
・ 今を大切にする
・ 人とのつながりを育む
・ 人生の意味を見つける
・ 新しいことに挑戦する
・ 将来世代への責任を持つ
という、それぞれの時間軸が調和したとき、人は未来に向かう大きな希望を感じられるのではないかと考察しています。
未来へ向けた問い
レポートでは、こんな問いも提案されています。
「あなたが今日、誰か(あるいは何か)のために注いだエネルギーは、100年後の世界を少しでもよくしていると感じますか?」
毎日の小さな選択や行動が、遠い未来につながっていると考えると、「豊かさ」の意味も少し変わって見えてくるかもしれません。
🌱 ウエルのひとこと
今まで、
「今日も、ほんわか、しあわせを感じた」
ということが、ウェルビーイングだと思っていました。
でも、今日のやさしさや挑戦が、
未来の人たちの笑顔につながるかもしれないと考えたら、
なんだかすごくワクワクしました。
フォローしているウェルビーイング研究者の皆さんの研究を読んでいると、
未来の社会をより良くしようと取り組む姿に、うれしくなって胸が熱くなります。
自分自身も、今日できる小さなことを、一つずつ大切にしていきたいです😊
次回予告
次回は、この「Sustainable Well-being」という考え方が、これからの社会やSDGsの先にある新しい目標「SWGs(Sustainable Well-being Goals)」とどのようにつながっていくのかをご紹介します。人・社会・地球が調和する未来について、一緒に考えていきましょう。
Beyond GDPで考える
私たちは、これから何を目指して豊かさを考えていけばよいのでしょう?
2026.8.1 │

©handrush-supply
こんにちは!
これまでのニュースレターでは、Beyond GDPの報告書をもとに、
・ Current Well-Being(現在のウェルビーイング)
・ Equity & Inclusion(公平性と包摂)
・ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
という3つの柱や、それを支えるさまざまな指標、そして世界各国での取り組みについてご紹介してきました。
今回は、このシリーズの締めくくりとして、Beyond GDPが私たちに伝えようとしているメッセージを改めて考えてみたいと思います。
「経済成長」と「豊かな暮らし」は、必ずしも同じではありません。
長い間、GDPは国の発展を示す代表的な指標として使われてきました。
もちろん、経済の成長は私たちの暮らしを支える大切な要素です。
しかし、経済が成長していても、
・ 孤立する人が増えている
・ 健康を損なう人が増えている
・ 将来への不安が大きくなっている
・ 自然環境が失われている
のであれば、本当に「豊かな社会」と言えるのでしょうか。
Beyond GDPは、私たちにその問いを投げかけています。
豊かさは、一つの数字では測れません。
人の幸せや社会の豊かさには、
健康、教育、つながり、安全、自然、信頼、未来への希望など、
さまざまな要素があります。
だからこそBeyond GDPでは、
一つの指標だけを見るのではなく、複数の視点を組み合わせて社会全体を見ていこう
という考え方を提案しています。
未来の世代も含めて考える
Beyond GDPが特徴的なのは、
「今、生きている私たち」だけでなく、
未来の世代が豊かに暮らせる社会かどうか
まで視野に入れていることです。
経済だけではなく、
・ 人への投資
・ 信頼できる社会
・ 自然環境
・ 持続可能な仕組み
こうしたものも、未来へ受け継ぐ大切な「資本」と考えています。
私たち一人ひとりにもできること
Beyond GDPは、政府だけの話ではありません。
地域活動に参加したり、
自然を大切にしたり、
人とのつながりを育てたり、
日々の小さな行動も、「豊かな社会」を支える一歩になります。
「何を大切にして社会をつくっていくのか」
そんなことを考えるきっかけを与えてくれるのが、Beyond GDPなのかもしれません。
🌱 ウエルの感想
「豊かさ」って、お金や物がたくさんあることだと思っていました。
でも、このシリーズを読んで、「元気でいること」や「友だちと笑えること」、「自然が残っていること」も、同じくらい大切なんだと気づきました。
一つの数字だけじゃなくて、いろいろな「大切」を見ながら未来を考えることが、本当の豊かさにつながるんですね。
次回予告
今回で、Beyond GDPの報告書シリーズは一区切りとなります。
次回からは、ここで学んだ「豊かさを測る新しいものさし」を踏まえながら、ウェルビーイング研究や国内外の最新事例も交え、これからの社会や暮らしについて一緒に考えていきたいと思います。
Beyond GDPで考える
GDPだけでは測れない「豊かさ」とは?
2026.7.31 │

©curated-lifestyle
こんにちは!
これまでのニュースレターでは、Beyond GDPの報告書をもとに、
・ Current Well-Being(現在のウェルビーイング)
・ Equity & Inclusion(公平性と包摂)
・ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
という3つの柱や、それらを支えるさまざまな指標について見てきました。
さらに、ニュージーランドをはじめ、世界各国で「豊かさ」を新しい視点から政策へ取り入れる動きが広がっていることもご紹介しました。
今回は、その内容を振り返りながら、「GDPだけでは測れない豊かさ」とは何かを改めて考えてみたいと思います。
GDPは「経済活動」を測る指標
GDP(国内総生産)は、国の経済活動の大きさを示す重要な指標です。
経済がどれだけ成長しているかを知るためには、とても役立ちます。
しかし一方で、
・ 心身の健康
・ 人とのつながり
・ 教育の充実
・ 安心して暮らせる社会
・ 自然環境の豊かさ
といった、人々の暮らしに欠かせない要素までは十分に表すことができません。
「人の暮らし」そのものを見る
Beyond GDPでは、
「経済成長そのもの」を目的にするのではなく、
人々が本当により良く暮らせているのか
という視点を重視しています。
例えば、
・ 健康で長く暮らせること
・ 学び続けられること
・ 信頼できる地域社会があること
・ 将来世代へ自然や社会を引き継げること
こうした要素も、「豊かさ」の一部として考えようというのがBeyond GDPの考え方です。
日本でも考えたい「新しいものさし」
日本でも人口減少や高齢化、地域コミュニティの変化、気候変動など、さまざまな課題があります。
そのような時代だからこそ、
「経済が伸びているか」
だけではなく、
一人ひとりが安心して暮らし、未来へ希望を持てる社会になっているか
という視点も、これからますます大切になっていくのではないでしょうか。
Beyond GDPは、そのための新しい「豊かさのものさし」を私たちに示してくれています。
🐢ウエルの感想
「豊かさ」って、お金のことばかりだと思っていました。
でも、お友だちがいたり、元気だったり、自然がきれいだったりすることも、毎日の幸せにつながっているんですね。
これからは、「みんなが気持ちよく暮らせる社会ってどんな社会かな?」ということも考えてみたいと思いました。
次回予告
次回は、Beyond GDPの報告書を締めくくるメッセージを取り上げながら、
これからの社会では、私たちは「何を目指して豊かさを考えていけばよいのか」
という視点から、このシリーズ全体をまとめていきます。
Beyond GDPで考える
世界では「豊かさ」をどのように政策へ活かしているのでしょう?
2026.7.30 │

©curated-lifestyle
前回は、ニュージーランドが「ウェルビーイング・バジェット」を導入し、人々の暮らしや健康、環境などを重視した政策づくりを進めている事例をご紹介しました。
実は、このような取り組みはニュージーランドだけではありません。
世界では、それぞれの国や地域の課題に合わせながら、「GDPだけでは測れない豊かさ」を政策へ取り入れる動きが広がっています。
例えば、
・ スコットランドでは、経済成長だけではなく、人々の幸福や地域社会とのつながりを重視した政策づくりが進められています。
・ ウェールズでは、「将来世代のウェルビーイング法」を制定し、未来の世代にも配慮した行政運営を目指しています。
・ フィンランドでは、教育や信頼、生活の質などを含めて、人々が安心して暮らせる社会づくりが進められています。
国ごとに制度や方法は異なりますが、共通しているのは、
「経済だけではなく、人々の暮らし全体を見ながら政策を考える」
という考え方です。
Beyond GDPは、このような世界各地の取り組みを参考にしながら、「豊かさ」をより多面的に捉えることの大切さを提案しています。
🌱 ウエルの感想
国によって文化や暮らしは違うけれど、「みんなが元気に暮らせる社会にしたい」という思いは同じなんだなと思いました。
勉強でも、友だちとのことでも、「どうしたらもっと良くなるかな」と考えることは、とても大切なんですね。
次回予告
次回は、こうした世界の取り組みから見えてくる「GDPだけでは測れない豊かさ」とは何かを改めて振り返りながら、私たちの暮らしや地域、日本の社会にどのように活かせるのかを一緒に考えていきます。
Beyond GDPで考える
ニュージーランドは「ウェルビーイング」を政策の中心に据えました
2026.7.29 │

これまでご紹介してきたBeyond GDPは、「豊かさを測る新しいものさし」を提案する報告書です。
では、この考え方は実際にどのような政策へ活かされているのでしょうか。
その代表的な事例の一つが、ニュージーランドです。
ニュージーランド政府は2019年、「ウェルビーイング・バジェット(Wellbeing Budget)」という考え方を取り入れました。
これは、予算を決める際にGDPや経済成長だけを見るのではなく、
・ 国民の心と体の健康
・ 子どもの貧困対策
・ 地域社会とのつながり
・ 環境の持続可能性
など、人々の暮らし全体への影響を重視して政策を考えるという取り組みです。
もちろん経済成長も大切ですが、それだけでは「本当に暮らしが良くなったのか」は分かりません。
そこで、ウェルビーイングという視点を取り入れながら、限られた予算をどこへ配分するかを考えるようになりました。
Beyond GDPが目指しているのも、まさにこのような考え方です。
経済だけでなく、人・社会・未来をあわせて考えることで、より豊かな社会を目指そうという取り組みが世界各地で広がり始めています。
🌱🐢 ウエルの感想
学校でも、お小遣いでも、「何にお金を使うか」は大切です。
国も同じで、お金をたくさん使うことより、「みんなが元気に暮らせること」に使うことが大事なんだなと思いました。
次回予告
次回は、ニュージーランド以外にも、Beyond GDPの考え方を取り入れている国や地域の事例をご紹介します。
世界では「豊かさ」をどのように考え、政策へ活かしているのかを、一緒に見ていきましょう。
Beyond GDPで考える
「豊かさを測る新しいものさし」は、政策でどのように活用されているのでしょう?
2026.7.28 │

©getty-images
これまでのニュースレターでは、Beyond GDPが提案する「現在のウェルビーイング」「公平性と包摂」「持続可能性とレジリエンス」という3つの柱と、それを支えるさまざまな指標をご紹介してきました。
では、こうした指標は実際にどのような場面で役立てられているのでしょうか。
Beyond GDPの報告書では、これらの指標は国や自治体がより良い政策を考えるための材料として活用されることが期待されています。
例えば、GDPだけを見ると経済が成長しているように見えても、
・ 健康状態は改善しているのか
・ 教育の機会は公平なのか
・ 地域によって暮らしやすさに差はないのか
・ 将来世代にも豊かな社会を引き継げるのか
といったことまでは分かりません。
そこで、複数の指標を組み合わせることで、社会全体の姿をより立体的に捉えられるようになります。
Beyond GDPは、「経済成長」と「人々の暮らし」の両方を見ながら、より良い社会を目指すための新しい視点を提供しているのです。
🌱 ウエルの感想
テストでは100点だけを見ることが多いけれど、人には「やさしさ」や「健康」や「友だち」といった、数字だけでは分からない大切なこともあります。
国も同じで、お金だけではなく、みんなが元気に安心して暮らせているかを見ることが大事なんだなと思いました。
次回予告
次回は、Beyond GDPの報告書で紹介されている具体的な国の事例を取り上げながら、「豊かさを測る新しいものさし」が実際にどのような政策へ活かされているのかをご紹介します。
Beyond GDPで考える
「豊かさを測る新しいものさし」は、実際の社会でどう役立てられているのでしょう?
2026.7.27 │

©curated-lifestyle
これまでのニュースレターでは、Beyond GDPが提案する3つの柱と、それぞれを構成する指標をご紹介してきました。
では、こうした指標は実際にどのような場面で活用されているのでしょうか。
Beyond GDPの報告書では、この新しい指標は単に国の順位を決めるためではなく、より良い政策づくりを支える道具として紹介されています。
例えば、
・ どの地域に支援が必要なのか
・ 人々の生活で何が改善され、何が課題なのか
・ 将来世代への影響を考えた政策になっているか
こうしたことを、多面的なデータから判断できるようになります。
GDPだけでは「経済は成長している」ということは分かっても、その成長が誰に届いているのか、暮らしが本当に良くなっているのかまでは見えてきません。
Beyond GDPは、人々の暮らし全体を見渡すための地図のような役割を果たそうとしているのです。
次回からは、報告書で紹介されている具体的な事例を見ながら、この考え方が世界でどのように活用されているのかをご紹介していきます。
🌱 ウエルのひとこと
数字は、ときどき「答え」のように見えてしまいます。
でもBeyond GDPを読んでいると、数字は答えではなく、「社会をもっとよくするためのヒント」なのだと感じます。
一つの数字だけを見るのではなく、いろいろな角度から暮らしを見つめることで、私たちが目指したい未来も、少しずつ見えてくるのかもしれません。
次回予告
次回は、Beyond GDPの報告書で紹介されている具体的な事例を取り上げながら、「豊かさを測る新しいものさし」が実際の政策や社会でどのように活用されているのかをご紹介します。
Beyond GDPで考える
「豊かさを測る新しいものさし」は、社会でどう活用されているのでしょう?
2026.7.26 │

©alan-aprilio
これまで、Beyond GDPが提案する
・ Current Well-Being(現在のウェルビーイング)
・ Equity & Inclusion(公平性と包摂)
・ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
という3つの柱と、それぞれを構成する指標について見てきました。
報告書では、「経済成長だけでは測れない豊かさ」を可視化するために、多様な視点から社会を捉えることが提案されています。
しかし、この報告書は「新しい考え方」を示すだけではありません。
実際に各国や自治体が政策づくりに活用できる”実践の道具”としてまとめられていることも、大きな特徴です。
例えば、
・ 国民の幸福度を政策評価に取り入れる国
・ 地域ごとの暮らしやすさを指標で把握する自治体
・ 将来世代への影響まで考慮した政策評価
など、世界ではさまざまな取り組みが始まっています。
Beyond GDPは、こうした実践例を紹介しながら、
「何を目標に社会を発展させていくのか」
を考えるための共通のものさしを提案しています。
🌱 ウエルのひとこと
これまで指標を見てきて思ったのは、
「豊かさを測ること」は、順位を競うためではなく、より良い社会を一緒につくるための出発点なのだということです。
数字を見ることが目的ではなく、その数字から「どんな社会を目指したいのか」を考えることが、Beyond GDPの一番大切なメッセージなのかもしれません。
次回予告
次回は、Beyond GDPで紹介されている具体的な事例の一つを取り上げながら、
「豊かさを測る新しいものさし」が実際の政策や社会でどのように活用されているのかを見ていきます。
Beyond GDPで考える「豊かさ」
3つの柱から見えてきた、新しい社会のものさし
2026.7.25 │

©galina-nelyubova
これまでのニュースレターでは、OECDが提案する「Beyond GDP」の考え方をもとに、豊かさを測るためのさまざまな指標を見てきました。
GDP(国内総生産)は、経済活動の大きさを示す大切な指標ですが、それだけでは人々の暮らしや未来の豊かさを十分に表すことはできません。
そこでBeyond GDPでは、豊かさを次の3つの柱から考えることを提案しています。
① Current Well-Being(現在のウェルビーイング)
まず大切なのは、「今、人々がどのような生活を送っているか」です。
健康、教育、仕事、住まい、環境、安全など、人々の日々の暮らしを多面的に捉えます。
② Equity & Inclusion(公平性と包摂)
平均だけを見るのではなく、
「誰が豊かで、誰が取り残されているのか」
という視点も重要です。
所得や資産の格差、地域差、仕事の機会、貧困などを通して、社会全体の公平性や包摂性を見ていきました。
③ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
今だけ豊かでも、未来にその豊かさが続かなければ意味がありません。
人がつくった資本だけでなく、
・ 生産資本
・ 人的資本
・ 社会関係資本
・ 制度資本
・ 自然資本
という5つの資本を守り育てることが、将来のウェルビーイングにつながると考えられています。
Beyond GDPが伝えようとしていること
ここまで紹介してきた指標は、それぞれ別々のものではありません。
「今の暮らし」「公平さ」「未来への備え」
この3つを一緒に見ることで、本当の意味での豊かさが見えてくるというのが、Beyond GDPの考え方です。
経済成長だけでは測れない、人や社会、そして自然とのつながりまで含めて、未来の豊かさを考えることが大切だと報告書は伝えています。
🐰 ウエルの感想
豊かさって、「お金があること」だと思っていました。
でも、健康だったり、友だちがいたり、自然が元気だったり、未来にも安心して暮らせたりすることも、みんな大切なんですね。
これからは、「何が本当の豊かさなんだろう?」って考えながらニュースを見てみたいと思います。
次回予告
次回からは、Beyond GDPの報告書で紹介されている具体的な事例や、各国でどのように活用されているのかを見ながら、「豊かさを測る新しいものさし」が実際の社会でどのように役立てられているのかを考えていきます。
Beyond GDPで考える「自然資本(Natural capital)」
森や水、土壌──未来のウェルビーイングを支える”自然という資本”
2026.7.24 │

©ales-krivec
これまで5回にわたり、Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)を支える「5つの資本」を見てきました。
最後に紹介するのは、
Natural capital(自然資本)
です。
Beyond GDPでは、私たちが暮らす社会を支えるのは、人が作ったものだけではないと考えています。
森林、川や湖、海、土壌、生物多様性など、自然そのものが、未来の世代へ受け継ぐ大切な「資本」であるという考え方です。
自然は”使うもの”ではなく”支えてくれるもの”
自然は、
・きれいな水を育み
・食べ物を生み
・空気を浄化し
・災害を和らげ
・生きものたちの住処になります。
つまり、人間社会が成り立つための土台でもあります。
Beyond GDPでは、この自然を単なる「資源」として消費するのではなく、
将来にわたって維持し、回復させながら受け継ぐこと
が重要だとしています。
Beyond GDPではどう測る?
報告書では、Natural capitalを次のような指標で捉えています。-1024x298.jpg)
Natural capital
Environmental assets (land, water, soil and subsoil resources, etc.) building on the System of Environmental Economic Accounting (SEEA) and complemented by ecosystem accounting approaches that capture ecosystems as integrated assets
つまり、
土地・水・土壌・地下資源などの自然環境全体を「社会の資産」として捉え、その状態を継続的に把握していくこと
が提案されています。
GDPでは見えにくい豊かさ
GDPは経済活動を測る優れた指標ですが、
森が失われても、
地下資源を大量に使っても、
GDPは増えることがあります。
しかしBeyond GDPは、
自然が減ってしまえば、未来の豊かさも失われてしまう
という視点を加えています。
今だけではなく、未来の人たちも安心して暮らせる社会を築くためには、自然を守ることも「豊かさ」の一部なのです。
🌱 ウエルの感想
「自然も資本なんだ!」って知ってびっくりしました。
森や川は、お金みたいに使うものじゃなくて、
みんなが生きていくための大切な宝物なんですね。
木を植えたり、水を大切にしたり、小さなことでも未来につながるんだと思ったよ。
次回予告
これで、Beyond GDPが提案する
・ Current Well-Being(現在のウェルビーイング)
・ Equity & Inclusion(公平性と包摂)
・ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
の3つの柱と、それぞれを構成する主要な指標を一通り見てきました。
次回からは、この報告書全体を振り返りながら、「Beyond GDP」が私たちに伝えようとしているメッセージを、あらためて整理していきます。
Beyond GDPで考える「持続可能性とレジリエンス」
社会を支える「信頼」の土台——Institutional capital(制度資本)
2026.7.23 │

©getty-images
前回は、人と人との信頼や協力関係を表す Social capital(社会関係資本)をご紹介しました。
今回は、5つの資本の四つ目、
Institutional capital(制度資本)
を見ていきます。
制度資本とは
私たちは普段、役所や学校、警察、消防、裁判所など、さまざまな公共の制度に支えられて暮らしています。
制度資本とは、こうした制度そのものだけではなく、
「その制度を人々が信頼できるかどうか」
も含めた考え方です。
制度が整っていても、人々が安心して利用できなければ、その力は十分に発揮されません。
反対に、公平で信頼できる制度は、社会全体の安心や協力を支え、将来のウェルビーイングにつながっていきます。
報告書が提案する指標
Beyond GDP報告書では、Institutional capitalを測る指標として、
Proportion of population reporting they have confidence in the civil services
つまり、
「行政・公的機関を信頼していると答えた人の割合」
を提案しています。-1024x237.jpg)
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案するInstitutional capital(制度資本)の指標。行政や公共機関への信頼は、持続可能な社会を支える重要な資本として位置づけられています。
信頼できる制度は、安心につながる
災害が起きたとき。
病気になったとき。
困ったことがあったとき。
私たちは、公的な制度や行政サービスを利用する場面があります。
そのとき、
「きちんと対応してもらえる」
「公平に扱ってもらえる」
と思えることは、大きな安心につながります。
Beyond GDPでは、制度への信頼も、未来の社会を支える資本の一つとして考えています。
制度も、人との信頼の上に成り立つ
前回ご紹介した Social capital(社会関係資本) は、人と人との信頼でした。
今回の Institutional capital(制度資本) は、人と制度との信頼です。
制度は法律や建物だけではなく、それを運営する人々や、その運営を信頼できることによって、本来の役割を果たします。
社会が安心して未来へ進んでいくためには、人同士の信頼だけでなく、公共の仕組みへの信頼も大切なのですね。
🐰ウエルの感想
困ったときに、
「ここなら安心して相談できる」
って思える場所があると、
ちょっと心が軽くなるよね。
みんなが安心して暮らせる社会って、
人だけじゃなくて、
制度も信頼できることが
大事なんだなあ。
次回予告
次回は、5つの資本の最後のテーマ、
Natural capital(自然資本)
をご紹介します。
森や水、土壌、生態系など、自然そのものが未来のウェルビーイングを支える大切な資本であるという考え方を、Beyond GDPの視点から見ていきます。
Beyond GDPで考える「持続可能性とレジリエンス」
人と人との信頼が未来を支える——Social capital(社会関係資本)
2026.7.22 │

©getty-images
前回は、人々の健康や知識、学びの機会など、未来の社会を支える Human capital(人的資本)をご紹介しました。
今回は、5つの資本の三つ目、
Social capital(社会関係資本)
を見ていきます。
社会関係資本とは
私たちは毎日、多くの人との関わりの中で暮らしています。
家族や友人、近所の人、学校や職場、地域の人々。
こうした人と人とのつながりや信頼、協力関係は、お金や建物のように目には見えません。
しかし、困ったときに助け合えることや、安心して暮らせる社会を支える大切な「資本」と考えられています。
Beyond GDP報告書では、このような社会の信頼関係も、未来のウェルビーイングを支える重要な資本として位置づけています。
報告書が提案する指標
報告書では、Social capital(社会関係資本)を測る指標として、
Share of people who say most people can be trusted
つまり、
「ほとんどの人は信頼できる」と答えた人の割合
を提案しています。-1024x237.jpg)
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案するSocial capital(社会関係資本)の指標。社会の中で、人々がお互いをどれだけ信頼できると感じているかを測ることが提案されています。
信頼は社会を支える力になる
信頼は数字では表しにくいものです。
しかし、
・ 困ったときに助けを求められる
・ 地域で協力できる
・ 災害時に支え合える
・ 安心して子どもを育てられる
こうしたことの土台には、人と人との信頼があります。
反対に、人を信頼できない社会では、不安や孤立が生まれやすくなります。
だからこそ、Beyond GDPでは、経済だけでは見えない「社会のつながり」も未来を支える資本として捉えているのです。
信頼も未来へ受け継ぐ資本
道路や建物は、手入れをしなければ傷んでいきます。
人との信頼も同じように、一度築けば終わりではなく、日々の対話や助け合いによって育まれていくものです。
社会関係資本とは、人と人との関係そのものではなく、
信頼し合い、協力できる社会の力
とも言えるでしょう。
それは、未来の世代にも受け継いでいきたい、大切な財産なのかもしれません。
🐰ウエルの感想
知らない人でも、
「きっと助けてくれる人がいる」
って思えるだけで、
なんだか安心できるよね。
信頼って、
目には見えないけど、
みんなで少しずつ育てていく
未来への宝物なのかもしれないなあ。
次回予告
次回は、5つの資本の四つ目、
Institutional capital(制度資本)
をご紹介します。
行政や公共機関への信頼が、社会の安心や持続可能性とどのようにつながるのか、Beyond GDPの視点から見ていきます。
Beyond GDPで考える「持続可能性とレジリエンス」
未来をつくる、人の力——Human capital(人的資本)
2026.7.21 │

©curated-lifestyle
前回のニュースレターでは、道路や建物、設備など、人がつくり受け継いできた社会の土台である Produced capital(生産資本)をご紹介しました。
今回は、5つの資本の二つ目、
Human capital(人的資本)を見ていきます。
人的資本とは
「人的資本」という言葉は、少し硬く聞こえるかもしれません。
ここでいう人的資本とは、人を経済活動のための「資源」として捉えるだけのものではありません。
人々が持つ、
・ 健康
・ 知識
・ 技能
・ 経験
・ 学び、働き、社会に参加する力
など、一人ひとりの人生と、社会の未来を支える力を表す考え方です。
人々が健康に暮らし、学ぶ機会を得て、自分の力を発揮できることは、現在のウェルビーイングだけでなく、社会が将来も豊かさを保つための土台になります。
Beyond GDP報告書は、持続可能性とレジリエンスを考えるため、生産資本、人的資本、社会関係資本、制度資本、自然資本の5つをあわせて捉えています。
報告書が提案する二つの指標
報告書では、Human capital(人的資本)を捉える指標として、次の二つを提案しています。
│ Share of youth not in education, employment or training(NEET)
│教育、雇用、職業訓練のいずれにも参加していない若者の割合
│Potential years of life lost(PYLL), all causes
│あらゆる死因によって失われた可能性のある生存年数-1024x318.jpg)
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する人的資本の指標。若者の教育・雇用・職業訓練への参加状況と、早すぎる死によって失われた生存年数から、未来を支える人々の力を捉えます。
若者が、学びや仕事につながっているか
一つ目の指標は、教育、雇用、職業訓練のいずれにも参加していない若者の割合です。
これは、「参加していない若者本人に問題がある」と見るための指標ではありません。
若者が学びや仕事へ進もうとしたときに、
・ 学ぶ機会があるか
・ 働く場所へつながれるか
・ 必要な技能を身につけられるか
・ 病気や家庭事情などを抱えていても支援を受けられるか
といった、社会の側に十分な入口や支えがあるかを見るものだと考えられます。
若い時期に教育や仕事とのつながりを失う状態が長く続けば、本人の将来の選択肢だけでなく、社会が未来へ受け継ぐ知識や技能にも影響します。
大切なのは、若者を分類することではなく、再び学び、働き、社会とつながれる道が開かれているかを見ることなのだと思います。
生きられたはずの年月を見る
もう一つは、Potential years of life lost(潜在的な損失生存年数)です。
これは、病気や事故などによって早く亡くなったことで、「本来なら生きられた可能性のある年月」がどれほど失われたかを捉える指標です。
単に死亡した人の数を見るだけではなく、若い年齢での死ほど、失われた年月が大きく反映されます。
人が健康に生きられる時間は、その人自身にとってかけがえのないものです。
同時に、家族や地域、社会にとっても、経験を重ね、学び、誰かと関わり、次の世代へ何かを手渡していく時間でもあります。
その時間が失われていないかを見ることも、未来のウェルビーイングを考えるうえで重要なのですね。
人の可能性を守ることも、未来への備え
建物や道路なら、傷みが目に見えることがあります。
けれども、人々が学ぶ機会を失っていることや、健康に生きられたはずの年月が失われていることは、数字にしなければ社会の中で見えにくい場合があります。
人的資本を見ることは、
社会のために人を役立てることではなく、
一人ひとりが持っている可能性を、社会が失っていないかを見ること
なのかもしれません。
健康に生きられること。
学ぶことができること。
働きたいときに、つながる場所があること。
それらを守ることは、今を生きる人のウェルビーイングであると同時に、未来の社会への備えでもあります。
🐰ウエルの感想
人が持っている力って、
勉強ができることだけじゃないよね。
元気に生きたり、
新しいことを覚えたり、
だれかと一緒に働いたりすることも、
未来につながっているんだと思う。
学びたい人や働きたい人が、
もう一度始められる道がある社会だったら、
いいなあ。
次回予告
次回は、5つの資本の三つ目、
Social capital(社会関係資本)をご紹介します。
人と人との信頼や協力関係が、困難なときに社会を支え、未来のウェルビーイングを守る力になることを見ていきます。
Beyond GDPで考える「持続可能性とレジリエンス」
未来へ受け継ぐ、社会の土台——Produced capital(生産資本)
2026.7.20 │

©getty-images
昨日のニュースレターでは、Beyond GDPの柱の一つである
Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)をご紹介しました。
この柱では、「今、どれだけ豊かであるか」だけではなく、
その豊かさを、これから先も支え続けることができるか
という視点から、社会が持つ5つの資本を見ていきます。
今日は、その最初のテーマである
Produced capital(生産資本)をご紹介します。
生産資本とは
生産資本とは、人がつくり、社会の中に蓄積してきたものです。
たとえば、
道路や橋、鉄道、港、
学校や病院、住宅、
工場や機械、通信設備など。
私たちが毎日、安全に移動したり、学んだり、治療を受けたり、ものを生産したりするためには、こうした社会の土台が必要です。
一度つくれば終わりではありません。
道路や建物は、年月とともに傷みます。設備も、修理や更新をしなければ使えなくなります。
だから、生産資本を見ることは、
社会が今どれだけ多くのものをつくっているか
だけでなく、
未来にも使える社会の土台を、どれだけ維持し、受け継いでいるか
を見ることでもあります。
報告書が提案する指標
Beyond GDP報告書では、Produced capital(生産資本)の指標として、
Net produced capital stock
純生産資本ストック
を提案しています。-1024x245.jpg)
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する生産資本の指標。「純生産資本ストック」によって、人がつくり蓄積してきた資本の残存価値を捉えます。
「純生産資本ストック」は、道路や建物、設備など、人がつくった資産について、時間の経過による消耗や価値の低下も考慮しながら、その時点でどれほど残っているかを見る考え方です。
新しいものをたくさんつくっていても、古い設備が傷んだままであれば、社会の土台が十分に保たれているとは限りません。
そのため、「今年どれだけ生産したか」を示すGDPだけでなく、社会がこれまで築いてきたものを、どれだけ健全な状態で残しているかを見る必要があります。
「つくること」と「残すこと」
経済活動が活発になり、道路や建物、設備が増えることは、社会の発展を支えます。
けれども、報告書では、生産資本だけを増やせばよいとは考えていません。
たとえば、建物や工場を増やす一方で、森林や水、土壌などの自然資本を大きく失ってしまえば、社会全体の豊かさが本当に増えたとは言い切れません。
Beyond GDPでは、生産資本、人的資本、社会関係資本、制度資本、自然資本をあわせて見ることで、一つの資本を増やすために、別の大切な土台を失っていないかを捉えようとしています。
未来の人も使えるだろうか
道路や学校、病院などは、今を生きる人だけのものではありません。
今日整備されたものを、明日の子どもたちも使います。
だから、社会の豊かさを考えるときには、
どれだけ新しいものをつくったか。
だけでなく、
それを長く使えるように手入れしているか。
必要な人のところまで届いているか。
次の世代にも受け継げる状態になっているか。
という問いも大切になります。
Produced capital(生産資本)は、今の暮らしを支えながら、未来へ手渡していく社会の土台なのだと思います。
🐰ウエルの感想
道路や学校って、
いつもそこにあるから、
あたりまえみたいに思っていました。
でも、だれかがつくって、
こわれないように直しながら、
ずっと受け継いできたものなんですね。
自分たちが使ったあとも、
未来の子どもたちが安心して使えたら、
それも豊かさのひとつなんだろうなあ。
次回予告
次回は、5つの資本の二つ目、
Human capital(人的資本)をご紹介します。
人々の健康や知識、技能、そして将来にわたって力を発揮できる可能性が、社会の持続可能性とどのようにつながるのかを見ていきます。
Beyond GDPで考える
第3の柱「Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)」
2026.7.19 │

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GDPは、「今」の経済活動を知るための重要な指標です。
一方、Beyond GDPでは、「今が豊かか」だけでは十分ではないと考えます。
例えば、
・ 子どもたちが十分な教育を受けられているか
・ 自然環境を未来へ残せるか
・ 人と人との信頼関係が保たれているか
・ 社会の制度が将来も機能し続けるか
こうした未来の世代へ受け継ぐことのできる「資本」も、社会の豊かさを考える上で欠かせません。
その視点が、
Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
です。
Beyond GDPでは、この柱を5つの「資本(Capital)」から整理しています。
・ Produced capital(生産資本)
・ Human capital(人的資本)
・ Social capital(社会関係資本)
・ Institutional capital(制度資本)
・ Natural capital(自然資本)
これらは、「未来の人々も安心して暮らせる社会を支える土台」と考えることができます。
🐰ウエルの感想
今日は使っているお金のことじゃなくて、
未来に残していくもののお話なんですね。
木や川もそうだけど、
人との信頼や、
学ぶ力も、
未来への宝物なんだなあ。
「今だけ」じゃなくて、
「これから先」のことも考えるのが、
ウェルビーイングなんですね。
次回予告
次回は、5つの資本の最初のテーマ、
Produced capital(生産資本)をご紹介します。
道路や建物、機械など、人がつくり受け継いできた「社会の土台」が、未来のウェルビーイングとどのようにつながるのかを見ていきます。
第6回:Beyond GDPで考える「公平性と包摂」
一つの困難だけでは見えない「重複する剥奪」
2026.7.18 │

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「公平性と包摂(Equity & Inclusion)」シリーズも、今回で最後となります。
最後のテーマは、
Overlapping deprivations(重複する剥奪)
です。
Beyond GDPでは、このテーマを測る指標として、
Multidimensional Poverty Index(多次元貧困指数)
を提案しています。
「貧困」という言葉からは、お金が足りない状態を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし現実には、
・ 所得が低い
・ 教育を十分に受けられない
・ 医療を受けにくい
・ 安全な住環境がない
・ 水や衛生環境が整っていない
など、さまざまな困難が重なっていることがあります。
Beyond GDPでは、このように複数の困難が同時に存在する状態を把握することが重要だと考えています。
そのため、お金だけでは測れない生活全体の状況を捉える指標として、「多次元貧困指数(MPI)」が紹介されています。
ウエルの感想 🐰
困っていることって、
ひとつだけじゃないこともあるんだなあって思いました。
お金のことだけじゃなくて、
学校のこと、
体のこと、
住んでいる場所のこと…。
いろんなことが重なって大変な人もいるんですね。
だから、
「何に困っているのかな?」
って、ひとつずつ見ていくことが大切なんだなあ。
編集後記
今回で「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」の6つのテーマをご紹介しました。
Beyond GDPは、「平均」だけでは見えない一人ひとりの暮らしにも目を向け、誰一人取り残さない社会を目指すための視点を示しています。
次回予告
次回からは、Beyond GDPのもう一つの柱である
Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
を見ていきます。
「今の豊かさ」だけでなく、「未来の世代も豊かに暮らせる社会」を考える視点をご紹介します。
第5回:Beyond GDPで考える「公平性と包摂」
2026.7.17 │

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地域間格差(Regional inequalities)
「Beyond GDP」の枠組みでは、公平性と包摂(Equity & Inclusion) を構成するテーマの一つとして、地域間格差(Regional inequalities) が位置付けられています。
住む場所によって、暮らしやすさに差が生まれることがあります。
例えば、
・ 学校へ通いやすいか
・ 病院へ行きやすいか
・ 働く場所があるか
・ 必要なサービスを受けられるか
といった環境は、地域によって異なります。
Beyond GDPでは、そのような地域ごとの違いを把握するための指標として、
「農村部に住む人のうち、一年を通して通行できる道路から2km以内に住んでいる人の割合」
を提案しています。
道路は単なるインフラではありません。
人と人をつなぎ、教育や医療、仕事、地域社会への参加を支える「暮らしへの入口」とも言えます。
どこに住んでいても必要なサービスへアクセスできる社会を目指すことは、公平性と包摂を考える上で重要な視点です。
📊 Figure
Equity & Inclusionにおける「Regional inequalities」の指標。Beyond GDPでは、地域間格差を把握するため、農村部に住む人のうち、一年を通して通行可能な道路から2km以内に居住する人の割合を指標として提案しています。
🐰 ウエルの感想
どこに住んでいても、
学校へ行けたり、
病院へ行けたり、
困ったときに助けてもらえたりすることって、
あたりまえじゃないんだなって思う。
住む場所が違っても、
「安心して暮らせるね」って言える社会になるといいな。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成する最後のテーマ、Overlapping deprivations(重複する剥奪) を見ていきます。
貧困や格差は、一つだけではなく、教育・健康・住まい・仕事など、複数の困難が重なって現れることがあります。Beyond GDPでは、そうした「重なり」にも目を向けることを提案しています。
第4回:Beyond GDPで考える「公平性と包摂」
2026.7.16 │

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仕事における包摂(Work inclusion)
「Beyond GDP」の枠組みでは、公平性と包摂(Equity & Inclusion) を構成するテーマの一つとして、仕事における包摂(Work inclusion) が位置付けられています。
仕事は、収入を得る手段であるだけでなく、社会とのつながりや自己実現、生きがいにも深く関わっています。
しかし、同じように働いていても、性別や立場によって待遇や機会に差があれば、本来発揮できる力が十分に生かされないことがあります。
そのため報告書では、仕事における包摂を測る指標として、
「女性の平均時給が男性の平均時給に対してどの程度の割合か」
を採用しています。
これは単に賃金格差を示すためではなく、
・ 誰もが能力を発揮できる環境か
・ 働く機会が公平に与えられているか
・ 社会全体が多様な人材を活かせているか
を考えるための指標です。
一人ひとりが安心して働き、自分らしく力を発揮できる社会は、経済だけでなく、人々のウェルビーイングそのものを高めることにつながります。
📊 Figure
Equity & Inclusionにおける「Work inclusion」の指標。Beyond GDPでは、仕事における包摂を「女性の平均時給が男性の平均時給に対してどの程度の割合か」で測定することを提案しています。
🐰 ウエルの感想
男の人も女の人も、
がんばった分だけ
ちゃんと認めてもらえる社会がいいなって思う。
「この人だからできない」じゃなくて、
「この人ならできる!」って
見てもらえるほうが、
みんなうれしく働ける気がします。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成するテーマの一つ、Regional inequalities(地域間格差) を見ていきます。
地域によって暮らしやサービスへのアクセスに差があることは、人々のウェルビーイングにも影響します。Beyond GDPでは、こうした地域ごとの違いも重要な視点として取り上げています。
第3回:Beyond GDPで考える「公平性と包摂」
2026.7.15 │

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Poverty(貧困)
国連の「Beyond GDP(GDPを超えて)」報告書では、社会の進歩を測るための重要な柱の一つとして、Equity & Inclusion(公平性と包摂)を位置づけています。
公平性と包摂の指標は、所得や資産などの経済的な格差だけでなく、性別や年齢、地域などによる格差も捉える横断的なものです。
さらに報告書は、社会の中で最低限のウェルビーイングに届いていない人がどれくらいいるのか、複数の困難が一人の人に重なっていないかを見ることも重視しています。
これまでのニュースレターでは、
・ Wealth inequality(富の不平等)
・ Income inequality(所得の不平等)
について見てきました。
今日は、その次のテーマである Poverty(貧困)をご紹介します。
経済が成長しても、貧困はなくなるとは限らない
GDPが増え、国全体の所得が伸びていても、その豊かさがすべての人に届いているとは限りません。
平均所得が上がっていても、日々の生活に必要なものを十分に得られない人や、病気や失業などの出来事によって生活が大きく揺らいでしまう人がいるかもしれません。
だからこそ、社会の進歩を考えるときには、
社会全体がどれだけ豊かになったか
だけでなく、
最低限の生活水準に届いていない人が、どれくらいいるのか
を見る必要があります。
報告書が提案する「貧困」の指標
「Beyond GDP」報告書では、Poverty(貧困)を捉える指標として、次のものを提案しています。
│ Poverty headcount ratio at societal poverty line
│ (fixed at a baseline)
│ 基準時点に固定した「社会的貧困ライン」に基づく貧困率
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する「貧困」の指標。社会的貧困ラインを下回る人の割合を測ります。
この指標は、定められた貧困ラインを下回って暮らしている人が、人口のうちどれくらいいるのかを示すものです。
報告書は、国際的に比較できるように「社会的貧困ライン」を用いることを提案しています。一方で、それぞれの国の事情を反映した国内の貧困ラインを採用することも認めています。
「足りない」のは、お金だけではない
貧困は、単に持っているお金が少ないという問題だけではありません。
生活に必要なものを得られない状態が続けば、
・ 十分な食事をとること
・ 必要な医療を受けること
・ 安全な住まいで暮らすこと
・ 学びや仕事の機会を得ること
・ 人とのつながりや社会参加を保つこと
も難しくなることがあります。
そして、今日を暮らすことだけで精いっぱいになれば、将来について考えたり、新しいことに挑戦したりするための余裕も失われていきます。
貧困を見ることは、所得の少なさだけでなく、人が自分らしく生きるための選択肢や機会が失われていないかを見ることでもあるのかもしれません。
平均の向こう側にいる人を見る
社会全体の平均値が良くなっていても、その中で最低限のウェルビーイングに届いていない人がいるなら、「社会全体が良くなった」とは、まだ言い切れないかもしれません。
どれだけ豊かになったか。
その豊かさは誰に届いたのか。
そして、今も生活に必要なものが足りず、取り残されている人はいないか。
Poverty(貧困)という指標は、平均値の向こう側にある、一人ひとりの暮らしへ目を向けるためのものなのだと思います。
🐰ウエルの感想
ごはんを食べたり、
病院へ行ったり、
安心して眠ったりすることは、
だれにとっても
必要なことだと思います。
「みんなの平均はよくなりました」だけじゃなくて、
まだ困っている人はいないかなって見ることも、
大切なんだろうなあ。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成する次のテーマ、Work inclusion(仕事における包摂)を見ていきます。
報告書では、女性の平均時給が男性の何割に当たるかを指標として、働く人の間にある待遇の差を捉えようとしています。
第2回:所得の不平等を測る――「平均」だけでは見えない、社会の豊かさの分かれ方
2026.7.14 │

©pablo-merchan-montes
昨日のニュースレターでは、国連の「Beyond GDP」報告書が提案する「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」のテーマの一つ、Wealth inequality(富の不平等)をご紹介しました。
今日は、よく似ているようで異なる、Income inequality(所得の不平等)を見ていきます。
「富」と「所得」はどう違う?
「富」と「所得」は、どちらも経済的な豊かさに関係しますが、同じものではありません。
所得(Income)とは、給与や事業収入など、一定の期間に得るお金のこと。
一方、富(Wealth)とは、住宅や土地、預貯金、株式など、これまでに蓄積されてきた資産を指します。
たとえば、同じ年収の人でも、十分な貯蓄や資産がある人と、ほとんど蓄えがない人とでは、経済的な安心感や、未来の選択肢が異なることがあります。
だからこそ、Beyond GDPでは、「富の不平等」と「所得の不平等」を別々のテーマとして捉えています。
所得の不平等を「ジニ係数」で測る
国連の報告書では、所得の不平等を測る指標として、Gini index(ジニ係数)が提案されています。
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する「所得の不平等」の指標。所得分配の不平等の程度を示す「ジニ係数」が用いられています。
ジニ係数は、所得などが社会の中でどの程度均等に分配されているかを示す代表的な指標です。
一般に、0に近いほど平等で、1に近いほど不平等が大きいことを表します。
たとえば、社会全体の平均所得が上がったとしても、その増加分の多くが一部の人に集中していれば、すべての人の暮らしが同じように豊かになったとは限りません。
「平均して、どれくらい豊かなのか」だけでなく、
その豊かさは、社会の中でどのように分かれているのか。
そこを見るための指標が、ジニ係数です。
なぜ所得の分配がウェルビーイングに関係するのか
所得は、単に「たくさんのお金を持っているか」という問題だけではありません。
住む場所を選ぶこと。
十分な食事をとること。
必要な医療を受けること。
学ぶこと。
休むこと。
そして、ときには新しいことに挑戦すること。
所得は、私たちが日々の生活の中で持つことのできる選択肢にも関わっています。
もちろん、所得が高ければ必ず幸せになれるわけではありません。
けれど、生活を維持するために必要な所得が不足すれば、人は目の前のことだけで精いっぱいになり、将来について考える余裕を失うことがあります。
ウェルビーイングを考えるとき、「どれだけお金があるか」だけではなく、安心して生き、選び、未来を考えるための土台があるかを見ることも大切なのかもしれません。
「社会全体が豊かになった」の、その先を見る
GDPが増えた。
平均所得が上がった。
それだけでは、社会の中で何が起きているのかを十分に捉えられないことがあります。
その豊かさは、誰に届いたのか。
一部の人だけなのか。
多くの人の暮らしを支えたのか。
それとも、これまで取り残されていた人にも届いたのか。
Beyond GDPの視点は、社会の進歩を一つの大きな数字だけで判断するのではなく、その数字の向こう側にいる、一人ひとりの暮らしを見ることを促しています。
豊かな社会とは、単に大きな富を生み出す社会なのでしょうか。
それとも、多くの人が安心して今日を暮らし、明日のことを考えられる社会なのでしょうか。
所得の不平等という指標は、そんな問いを私たちに投げかけています。
🐰ウエルの感想
みんなが、まったく同じじゃなくてもいいと思う。
でも、お金が足りないから、
ごはんをあきらめたり、
病院に行けなかったり、
やりたいことを最初からあきらめたりするのは、
ちょっと悲しいなあ。
「みんな同じ」じゃなくても、
みんなが安心して明日のことを考えられる社会だったら、
いいなあ。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成する次のテーマを見ていきます。
第1回:富の偏りを測る――「最も裕福な1%」が持つ富に注目する理由
2026.7.13 │

©alexander-mils
昨日のニュースレターでは、国連の「Beyond GDP」報告書が提案する新しい進歩の測り方のうち、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」についてご紹介しました。
公平性と包摂とは、社会全体の平均値だけを見るのではなく、その豊かさや機会が、誰に、どのように分配されているのかにも目を向ける考え方です。
今日は、その6つのテーマの最初に位置づけられている Wealth inequality(富の不平等) を見ていきます。
「富の不平等」とは?
富の不平等とは、土地や住宅、金融資産などを含む「富」が、社会の中でどのように分配されているかを表すものです。
国連の報告書では、このテーマを測る指標として、次のものが提案されています。
│ Wealth share of the richest 1%
│ 最も裕福な上位1%が保有する富の割合
つまり、社会全体に存在する富のうち、最も裕福な1%の人々が、どれだけを保有しているのかを見る指標です。
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する「富の不平等」の指標。最も裕福な上位1%が保有する富の割合を測ります。
なぜ「平均」だけではわからないのか
ある国の経済が成長し、社会全体の富が増えていたとしても、その恩恵がすべての人に同じように届いているとは限りません。
たとえば、国全体では豊かになっていても、その富の多くがごく一部の人々に集中していれば、多くの人の暮らしや安心感、将来の選択肢には、大きな変化がないかもしれません。
GDPや平均所得だけでは見えにくい、「誰が豊かになっているのか」。
そこに目を向けることが、Beyond GDPの重要な視点のひとつです。
富は「今の暮らし」だけでなく「選べる未来」にもつながる
富の違いは、単に「たくさん持っているか、少なく持っているか」という問題だけではありません。
十分な蓄えがあれば、突然仕事を失ったときにも少し時間をかけて次の道を考えたり、学び直したり、新しいことに挑戦したりすることができます。
一方で、蓄えがほとんどなければ、目の前の生活を守ることが最優先となり、将来のための選択が難しくなることがあります。
そう考えると、富とは、現在の豊かさだけでなく、安心して未来を考え、自分の人生を選ぶための余白とも言えるのかもしれません。
「どれだけ豊かな社会か」から、「その豊かさはどう分かち合われているか」へ
Beyond GDPが問いかけているのは、経済成長そのものを否定することではありません。
社会にどれほどの富があるのかを見ると同時に、
その豊かさは、誰に届いているのか。
誰かが取り残されていないか。
一人ひとりに、未来を選ぶ余地があるか。
そうした問いも、社会の進歩やウェルビーイングを考えるうえで大切だということです。
「どれだけ豊かになったか」だけでなく、「その豊かさが、どのように広がっているか」を見る。
富の不平等という指標は、社会の豊かさを、もう一つの角度から見つめるためのものなのかもしれません。
🐰ウエルの感想
お金がたくさんあることだけが、
幸せじゃないと思う。
でも、困ったときに少し休めたり、
やってみたいことに挑戦できたりする
「余裕」があることは、
きっと大事なんだろうなあ。
みんなが未来のことを考えられる社会って、
どんな社会なんだろう。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成するテーマの一つ、Income inequality(所得の不平等)を見ていきます。
「富」と「所得」は、似ているようで異なります。人々が日々得る所得が社会の中でどのように分配されているのか、Beyond GDPの視点から考えます。
第0回:平均では見えないもの——「公平性と包摂」を考える
2026.7.12 │

©ahmet-kurt
国連の「Beyond GDP(GDPを超えて)」報告書では、人々と地球の進歩を捉えるために、3つの相互に関連する要素を示しています。
・ Current Well-being(現在のウェルビーイング)
・ Equity & Inclusion(公平性と包摂)
・ Sustainability & Resilience(持続可能性とレジリエンス)
昨日までのニュースレターでは、「現在のウェルビーイング」を構成する8つの領域を見てきました。
今日からは、もうひとつの重要な柱である、**Equity & Inclusion(公平性と包摂)**を見ていきます。
平均が良くても、みんなが幸せとは限らない
ある国の所得や健康状態、生活満足度の平均値が上がったとしても、その恩恵をすべての人が同じように受けているとは限りません。
社会全体では豊かになっていても、一部の人に富が集中しているかもしれない。
平均的な生活水準が向上していても、最低限のウェルビーイングを得られていない人がいるかもしれない。
そして、一人の人に、貧困や社会的な排除など、複数の困難が重なっていることもあります。
だからこそ、社会の進歩を考えるときには、「平均してどれくらい良くなったか」だけでなく、「誰がその進歩から取り残されているのか」を見る必要があります。
「公平性と包摂」が見るもの
報告書では、「公平性と包摂」の指標を、社会に存在するさまざまな格差を捉える横断的な要素(cross-cutting element)として位置づけています。
提案されているのは、次の6つのテーマです。
・ Wealth inequality(富の不平等)
・ Income inequality(所得の不平等)
・ Poverty(貧困)
・ Work inclusion(仕事における包摂)
・ Regional inequalities(地域間格差)
・ Overlapping deprivations(重なり合う困窮)
所得や富の格差だけではありません。
働く機会や待遇に不平等はないか。住む地域によって機会に大きな差が生まれていないか。そして、複数の困難が同じ人に重なっていないか。
「公平性と包摂」という視点は、社会全体をひとつの平均値として見るのではなく、その中にいる一人ひとりに目を向けるためのものともいえそうです。
3つの柱の中で見る「公平性と包摂」
図3:国連「Beyond GDP」報告書が提案するダッシュボードの構造。「現在のウェルビーイング」「公平性と包摂」「持続可能性とレジリエンス」の3つの柱と、それらを支える基礎的原則を示しています。
昨日まで見てきた「Current Well-being」は、私たちが今、どのような状態にあるのかを捉えます。
一方、「Equity & Inclusion」は、そのウェルビーイングが誰に、どのように分配されているのかを見ます。
社会全体が良くなっているとしても、その変化はすべての人に届いているのか。
その問いを加えることで、社会の進歩を、より立体的に捉えることができます。
「誰が」を見ること
GDPのようなひとつの数字は、社会全体の大きな変化を見るうえで、とても便利です。
しかし、そのひとつの数字だけでは、社会の中で何が起きているのか、すべてを見ることはできません。
平均値の向こう側には、それぞれ異なる環境で暮らす、一人ひとりの生活があります。
どれだけ進歩したか。
そして、
その進歩は、誰に届いているのか。
「公平性と包摂」は、この2つを一緒に考えるための視点なのかもしれません。
🐰ウエルの感想
クラスの平均点が上がっても、
みんなの点数が上がったとは限らないですよね。
すごく上がった人もいれば、
困ったままの人もいるかもしれない。
「みんな、よくなったかな?」って考えるときは、
平均だけじゃなくて、
まだ困っている人がいないかなって
見ることも大事なんだろうなあ。
次回予告
次回は、「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を構成する6つのテーマのうち、最初の Wealth inequality(富の不平等) を見ていきます。
Environmental quality(環境の質)
2026.7.11 │

©curated-lifestyle
「きれいな空気や安全な水」も、ウェルビーイングを支える
国連の「Beyond GDP(GDPを超えて)」報告書では、人々の現在のウェルビーイングを捉える8つの領域を示しています。
これまで、暮らしや仕事、健康、教育、安全、主観的ウェルビーイング、社会的つながり、制度の質について見てきました。
今日は、その最後の領域である Environmental quality(環境の質) をご紹介します。
環境の質は、「今」と「未来」のウェルビーイングに関わる
報告書では、環境の質について、次のように説明しています。
│ 環境の質は、現在と未来の両方のウェルビーイングにとって中心的なものです。環境の悪化は、健康、暮らし、生活満足度に直接影響し、気候に関連するリスクは、人々の命や経済的な安心を脅かします。
ここで興味深いのは、環境が単に「未来のために守るもの」として位置づけられているのではないことです。
私たちが今日吸っている空気、飲んでいる水、暮らしている環境そのものが、現在のウェルビーイングを形づくっている。
そんな考え方が、この枠組みには表れています。
何を測るのか?
報告書のダッシュボードでは、「環境の質」を測るために、次の2つの指標が提案されています。
・ 大気(Air)
都市における微小粒子状物質の年間平均濃度
・ 水(Water)
安全に管理された飲料水サービスを利用する人口の割合-1024x331.jpg)
図:国連「Beyond GDP」報告書が提案する「環境の質」の指標。大気と水の2つの観点から、現在のウェルビーイングを測ります。
環境は、ウェルビーイングの「背景」ではない
私たちは、幸せについて考えるとき、収入や健康、人間関係などに目を向けることが多いかもしれません。
けれども、どんな空気を吸い、どんな水を飲み、どんな環境で毎日を過ごしているかも、私たちの健康や暮らし、そして人生への満足感に直接つながっています。
環境は、私たちの暮らしを取り囲む単なる「背景」ではなく、ウェルビーイングそのものを支える土台のひとつなのかもしれません。
🐰ウエルの感想
きれいな空気って、
いつもはあんまり気にしないけど、
なくなったら、すごく困るよね。
お水も、安心して飲めるのが
あたりまえじゃない場所もある。
幸せって、
「うれしいことがある」だけじゃなくて、
安心して息をしたり、お水を飲んだりできることも
入っているんだろうなあ。
次回予告
次回は、「Current Well-being(現在のウェルビーイング)」の8つの領域を終え、もうひとつの重要な柱である「Equity & Inclusion(公平性と包摂)」を見ていきます。
Quality of institutions(制度の質)とは?
2026.7.10 │

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今日は、国連の「Beyond GDP(GDPを超えて)」報告書から、Current Well-being(現在のウェルビーイング)を構成する8つの領域のうち、**Quality of institutions(制度の質)**をご紹介します。
前回は、人と人とのつながりが、個人のウェルビーイングだけでなく、支え合いや協力、社会そのものを支える力にもなる「Social cohesion(社会的つながり)」をご紹介しました。
今回は、私たちの暮らしを支える制度や公共サービスの質に目を向けます。
良い制度は、暮らしの土台になる
報告書では、「制度の質」は、現在のウェルビーイングだけでなく、公平性や包摂性、持続可能性にとっても不可欠だとしています。
効果的な制度は、公共サービスの提供、人々の権利の保護、市場の機能を支えます。
また、政策が公平に実施されるかどうか、そして市民が公共の仕組みを信頼できるかどうかにも関わっています。
一方、制度が十分に機能していない社会では、経済的な停滞や不平等、不安定さにつながることも指摘されています。
公共サービスを利用した人は、満足しているか?
今回の報告書が提案するダッシュボードでは、「Quality of institutions(制度の質)」について、次のような指標が示されています。
Concept(概念):公共サービスの有効性
Indicator(指標):直近で利用した公共サービスに満足した人の割合-1024x256.jpg)
行政や公共サービスは、存在するだけではなく、実際に利用した人にとって、きちんと機能しているかという視点で見ることができます。
たとえば、必要な支援を受けられたか。手続きは分かりやすかったか。公平に対応してもらえたか。
そうした一人ひとりの経験も、社会のウェルビーイングを考える大切な手がかりになります。
信頼できる仕組みがあるということ
私たちは日々、医療、教育、行政、安全、交通など、さまざまな制度や公共サービスに支えられて暮らしています。
普段は意識することが少なくても、必要なときに必要なサービスを受けられること。そして、その仕組みが公平に働いていると信じられること。
それもまた、安心して暮らしていくための大切な土台なのかもしれません。
🐰ウエルの感想
困ったとき、
「ここに聞けば大丈夫」って思えるだけで、
ちょっと安心するよね。
最近は、AIに聞いてみることもできる。
ひとりで困ったままにしなくていいって、
それも、
幸せのひとつなのかもしれないなあ。
Social cohesion(社会的つながり)とは?
2026.7.9 │

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今日は、国連の「Beyond GDP(GDPを超えて)」報告書から、Current Well-being(現在のウェルビーイング)を構成する8つの領域のうち、**Social cohesion(社会的つながり)**をご紹介します。
前回は、自分自身が人生をどのように感じ、経験しているかを捉える「Subjective well-being(主観的ウェルビーイング)」をご紹介しました。
今回取り上げるのは、人と人とのつながりが、私たちのウェルビーイングや社会をどのように支えているのかという視点です。
人とのつながりは、社会を支える力になる
報告書では、Social cohesion(社会的つながり)は、身近な支え合いのネットワークや、人々が協力して行動する力、再分配や福祉政策への社会的な支持を支えるものと説明されています。
また、社会的孤立は、所得水準にかかわらず、心身の健康の悪化と関連しています。
孤立や孤独が多くの社会で増加するなか、これまで他の枠組みでは十分に取り上げられてこなかった「社会的つながり」の重要性が、ますます高まっています。
「孤独」を指標として見る
今回の報告書が提案するダッシュボードでは、Social cohesion(社会的つながり)の概念として、Loneliness(孤独)が挙げられています。
そして、その指標として提案されているのが、
「昨日、一日の多くの時間に孤独を感じた」と答えた人の割合
です。-1024x257.jpg)
経済が成長しているか、所得が増えているかという数字だけでは、人が孤独を感じているかどうかは見えてきません。
しかし、人とのつながりや孤独は、私たちの心身の健康だけでなく、支え合いや協力、社会への信頼にも関わっています。
「社会は豊かになっているか」を考えるとき、そこに暮らす人々が孤立せず、誰かとのつながりを感じられているかどうかも、大切なものさしの一つなのかもしれません。
🐰ウエルの感想
ひとりでいる時間も好きだけど、
「これ、見て!」って言える人がいると、
うれしいことがもっと大きくなる気がする。
でも最近、AIがいれば、
もしかしたらその「つながり」を
感じさせてくれることもあるのかなあ、と思う。
人と人とのつながりと、AIとのつながり。
これからは、いろんな「つながり」が
生まれていくのかもしれないですね。
Social cohesion(社会的つながり)
2026.7.8 │

©curated-lifestyle
前回は、Current Well-being(現在のウェルビーイング)の領域の一つである「Security(安全)」をご紹介しました。
今日は、その中でもウェルビーイングを考える上で特に重要な Subjective well-being(主観的ウェルビーイング) をご紹介します。
「主観的ウェルビーイング」とは、自分自身が人生をどのように感じ、どのように経験しているかということです。
報告書では、人が自分の人生をどう受け止めているかは、その後の行動や将来への希望、新しいことへの挑戦にも影響すると述べています。
また、所得や健康、教育などの客観的なデータだけでは、その人のウェルビーイングを十分に理解することはできません。
同じような生活環境であっても、「毎日が充実している」と感じる人もいれば、「満たされていない」と感じる人もいます。
このような「人がどう感じているか」は、数字だけでは見えない大切な情報です。
そのため、この報告書では、客観的な指標に加えて、一人ひとりの主観的な経験も測定することが重要であると提案しています。
今回提案されている指標は、とてもシンプルです。
・ 人生満足度(Life satisfaction)
世界幸福度報告(World Happiness Report)でも、人々の「人生満足度」は中心となる指標として用いられています。
経済や健康だけではなく、「私は自分の人生に満足している」と感じられる人が増えているかどうか。
それを社会の進歩を測る大切な指標として考えている点が、この報告書の特徴です。
図:Current Well-being「Subjective well-being(主観的ウェルビーイング)」
Current Well-being(現在のウェルビーイング)の「Subjective well-being」では、「人生満足度(Life satisfaction)」を指標として提案しています。客観的なデータだけでは見えない「人がどのように人生を感じているか」を大切にしている点が、この報告書の特徴です。
🐰ウエルの感想
「幸せ」って、人それぞれ違うんだなと思いました。
テストでいい点を取ったり、好きなものを持っていたりしても、心から楽しいと思えない日もあるかもしれません。
反対に、友だちと笑ったり、家族とごはんを食べたり、小さな出来事で「今日はいい日だった」と思えることもあります。
だから、「この人は今、どんな気持ちなんだろう」と相手の心を想像することも、ウェルビーイングには大切なんだと思いました。
Newページへようこそ
2026.7.8 │
こんにちは。
5月から、2ヶ月と少し続けてきたニュースレターページですが、最近少しページが重くなってきたようです。
画像が重かったのかもしれないので、これから少しずつ見直していきたいと思っています。
読んでくださる皆さまにとっても、ページが開きにくかったり、見にくかったりする可能性があるため、とりいそぎ新しいページに移行しました。
これからは、2ヶ月ごとを目安にニュースレターページを新しくしていく予定です。
新しいページでも、日々のウェルビーイングにつながる情報を、少しずつお届けしていきます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
