2026.2-4月

📈 ウェルビーイングは、「組織の可能性」を解放する
── オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターの研究より
2026.2.23|

職場のウェルビーイングが、生産性・離職率・採用など複数の経路を通じて組織のパフォーマンス向上につながることを示すオックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターの図

オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターは、
職場のウェルビーイングが、組織の成果にどのような影響を与えるかについて、
複数の研究成果をまとめて紹介しています。

その結論は、非常に明確です。

ウェルビーイングの向上は、
単に「働きやすくなる」だけでなく、
組織のパフォーマンスそのものを高める可能性があるのです。


📊 経路①:生産性(Productivity)が向上する
ある実験では、
コールセンターの従業員1,800人以上を対象に調査が行われました。

その結果、
│ 幸福度が1ポイント上がるごとに、
│ 生産性は平均12%向上する

ことが確認されました。

特に、対人スキルを多く使う仕事では、
最大20%の向上が見られました。

これは、
ウェルビーイングが「気分」の問題ではなく、
実際の仕事の能力にも影響することを示しています。


📉 経路②:離職率(Retention)が低下する
職場の満足度が高い企業では、
従業員の離職率が大幅に低いことも確認されています。

たとえば、
│ 職場満足度が高い企業では、
│ 離職率が約25%低下する

という結果が報告されています。

また、満足度の低い従業員は、
新しい仕事を探し始める確率が2倍高いことも分かっています。

ウェルビーイングは、
人材の安定にも大きく関係しているのです。


🌱 経路③:採用力(Recruitment)が高まる
さらに、
ウェルビーイングの高い企業は、
より多くの応募者を引きつけることも確認されています。

アメリカの2,300万人以上の求職者データを分析した研究では、
│ ウェルビーイング評価の高い企業は、
│ 平均より約2%多くの応募を集める

ことが示されました。

逆に、評価の低い企業では、
応募数が減少していました。

つまり、
ウェルビーイングは、
未来の人材を引き寄せる力にもなるのです。


🧭 ウェルビーイングは、「結果」ではなく「基盤」
これらの研究が示しているのは、

ウェルビーイングは、
成果の“後に生まれるもの”ではなく、
成果を支える“基盤”そのものである

ということです。

人が安心し、尊重され、支えられていると感じられる環境は、
その人の能力を自然に引き出します。

組織の可能性は、
人のウェルビーイングを通して、実際に解放されることが示されています。


🐢 ウエルの感想
しあわせな人は、
たくさんがんばれるんですね。

でもそれは、
「もっとがんばらなきゃ」と思うからじゃなくて、
安心して、
ここにいていいと思えるから、
力が出てくるのかもしれません。

学校でも、
安心できる教室だと、
手をあげるのが少しこわくなくなります。

人の力は、
安心できる場所で、
いちばんよく育つのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
組織の「やさしさ」ではなく、
組織の「可能性」を解放する基盤である。

📘 科学は、どうすれば「働く現場」を変えられるのか
── Work Wellbeing Playbook 2.0 公開(オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センター協働)
2026.2.22|

🔍 Work Wellbeing Playbook 2.0 は、厳密な査読付き科学研究を、現代のリーダーが直面する課題に直接応える、実用的で分かりやすいリソースへと変換したものです。
詳細はこちら👇

Work Wellbeing Playbook 2.0:専門家が、実証された職場ウェルビーイング戦略を無料オンライン資料として公開

オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターが協力して開発された
「Work Wellbeing Playbook 2.0」 が公開されました。

これは、4,000以上の学術研究をもとに、
「職場のウェルビーイングを本当に改善する方法」をまとめた、
無料で公開されている実践ガイドです。

研究の知見を、現実の職場で使える形に変換した、
まさに“科学と実践をつなぐ設計図”といえるものです。


🔬 4,000以上の研究から導かれた「6つの鍵」
Playbook 2.0では、職場のウェルビーイングを支える要素が、
次の6つの領域として整理されています:

🌱 成長と安定(Development and security)
🤝 人間関係(Relationships)
🕊 自律性と柔軟性(Independence and flexibility)
✨ 多様性と充実感(Variety and fulfilment)
💰 報酬と福利厚生(Earnings and benefits)
🛡 健康と安全(Risk, health and safety)

重要なのは、ウェルビーイングは
単一の施策ではなく、
環境全体の設計によって育まれる という点です。


🧭 「何をすればよいか」を、科学が具体的に示している
このPlaybookの特徴は、
単なる理想論ではなく、
個人レベル
チームレベル
職務レベル
組織レベル

という複数の階層で、
具体的に実行可能な介入方法が示されていることです。

つまり、
「ウェルビーイングは大切だ」と言うだけでなく、
どこから、何を変えればよいか が明確に示されています。


🌉 研究と現実の「橋」をかける試み
オックスフォード大学の研究者は、こう述べています:

│ 職場のウェルビーイング研究は、
│ 実際に現場で使われて初めて意味を持ちます。
│ Playbook 2.0は、厳密な科学を、
│ 現実のリーダーが使える形に変換したものです。

ウェルビーイングは、
知識として知るだけではなく、
環境として実装されることで、初めて人の人生に影響を与える のです。


🌱 ウェルビーイングは、「意識」だけでなく「設計」から生まれる
これまでの研究が繰り返し示しているのは、
ウェルビーイングは、
個人の性格だけでなく
個人の努力だけでもなく

環境の構造によって、大きく影響を受ける
ということです。

つまり、
人を変える前に、
環境を少し変えることができる のです。


🐢 ウエルの感想
ウェルビーイングって、
がんばることだと思っていました。

でも、
まわりの場所や、
いっしょにいる人や、
しくみも、とても大切なんですね。

学校でも、
話しやすい席だと安心できるし、
先生がやさしく話してくれると、
もっとがんばれる気がします。

人の心は、
その人だけじゃなくて、
その人がいる世界と、
いっしょに育っているのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
意志の強さではなく、
環境の設計から生まれる。


📎 補足
Work Wellbeing Playbook 2.0 は、無料で公開されています:
https://worldwellbeingmovement.org/playbook

🧭 なぜ人は“親切さ”を過小評価するのか?
――落とし物の財布が戻る確率と幸福の関係(第4回)
(World Happiness Report 2025 より)
2026.2.21|

空中で落下している茶色の革の財布。見知らぬ他者への信頼と善意を象徴するイメージ。

meal sharing シリーズの最後に、
もうひとつの重要なテーマをご紹介します。

それは、「信頼(trust)」、そして「人はどれほど親切であるか」という問いです。

World Happiness Report 2025 では、
世界各地で行われた、非常に興味深い実験が紹介されています。

それは――
「落とし物の財布は、どれくらいの確率で持ち主に戻るのか?」
という研究です。


📊 財布は、私たちが思っているよりもずっと高い確率で戻ってくる
この研究では、
研究者が意図的に財布を落とし、
それがどれくらいの確率で返却されるかを測定しました。

結果は、多くの人の予想を大きく上回るものでした。
実際に財布が戻ってきた割合は、
人々が「戻ってくるだろう」と予想した割合よりも、
はるかに高かったのです。

つまり――
私たちは、社会の親切さを過小評価している傾向があるのです。


🌍 「信頼」は、幸福と深く結びついている
さらに重要なのは、ここからです。

財布が戻ってくる確率が高い国ほど、
その国の人々の主観的幸福感も高い傾向が確認されました。

これは単なる偶然ではなく、
・他者を信頼できる社会
・見知らぬ人が助けてくれると信じられる社会

そのような環境そのものが、
人々の安心感とウェルビーイングの基盤になっていることを示しています。

幸福は、個人の内面だけでなく、
「他者は善意を持っている」という前提の中で育まれるのです。


🧠 私たちは、「親切の多さ」ではなく「親切の少なさ」を記憶しやすい
なぜ、人は社会の親切さを過小評価してしまうのでしょうか。
研究者はその理由のひとつとして、

│ 親切な出来事は「当たり前」として忘れられやすく、
│ 裏切りや不親切な出来事は強く記憶に残る

という、人間の認知の特徴を指摘しています。

けれども実際の社会は、
私たちが思っているよりも、
ずっと多くの小さな善意によって支えられています。


🌿 meal sharing と trust は、同じ根から生まれている
このシリーズで見てきたように、
・食事を共有すること
・同じテーブルに座ること
・日常の中で時間を共にすること

こうした小さな共有の積み重ねが、
信頼を育て、
信頼がまた、ウェルビーイングを支えます。

幸福とは、
特別な出来事ではなく、
「他者と世界は、基本的に安全である」
と感じられる状態なのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
人は、思っているよりも
やさしいのかもしれません。
でも、ときどき不安になると、
そのやさしさを忘れてしまいます。

それでも、
落とした財布を拾ってくれる人がいて、
同じテーブルに座ってくれる人がいて、
世界は、静かに
「だいじょうぶですよ」
と教えてくれている気がします。

信頼は、大きな約束ではなく、
こうした小さな出来事の中で、
少しずつ育っていくのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
「世界は基本的に善意でできている」と信じられる感覚から生まれる。
(meal sharing シリーズ完)

🌿 つながりは、「設計」で増やすことができる
── World Happiness Report 2025 / meal sharing 研究より(第3回)
2026.2.20|

これまでの2回で、
「食事の共有」がウェルビーイングと強く結びついていること、
そして、それは個人の性格だけでなく、“場の構造”とも関係していることをご紹介しました。

今日は、その続きとして、
この研究が示唆する「実践的な意味」について考えてみたいと思います。


🏛 つながりは、「個人の努力」だけで生まれるわけではない
研究を紹介したAlberto Prati先生は、講演の最後に、
とても重要な指摘をしています。

それは、
│ 食事を共有するかどうかは、
│ 個人の選択だけでなく、
│ 空間の設計や社会的なルールにも影響される

ということです。

たとえば、
・大きな共有テーブルがある
・自然に隣に座ることが期待される
・一緒に食べることが“普通”とされている

こうした小さな構造が、
自然な会話や関係を生み出します。

つながりは、
「努力して作るもの」だけでなく、
「設計によって生まれるもの」でもあるのです。


🪑 小さな設計変更が、社会の質を変える可能性
これは、大学や職場だけでなく、
私たちの日常にも応用できます。

たとえば:
・同じ時間に食事をとる
・共有できるテーブルを用意する
・短い休憩を共に過ごす

こうした小さな設計が、
人と人との距離を静かに変えていきます。

ウェルビーイングは、
個人の内面だけでなく、
環境との関係の中で形づくられているのです。


🔬 ただし、「因果関係」はまだ完全には分かっていない
研究者たちは、重要な注意点も強調しています。
それは、
│ 食事を共有するから幸福になるのか、
│ 幸福な人が、より食事を共有するのか

この因果関係は、まだ完全には解明されていないという点です。
おそらく、両方が影響し合っていると考えられています。

けれども確かなのは、
│ 食事の共有は、
│ ウェルビーイングの強力な「指標」である

ということです。
これは、社会のつながりを理解するための、
重要な手がかりとなります。


🐢 ウエルの感想
つながりは、
がんばって作るものだと思っていました。

でも、
同じ場所に座ることや、
同じ時間を過ごすことが、
気づかないうちに、
心をひらく準備をしてくれているのかもしれません。

無理に話さなくても、
同じテーブルにいるだけで、
世界は、少しやさしい場所に戻ることがあります。

つながりは、
努力よりも先に、
環境の中で静かに育っているのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
心の中だけでなく、
私たちが座る場所の中にも存在している。


次回:なぜ人は“親切さ”を過小評価するのか?
――落とし物の財布が戻る確率と幸福の関係
(World Happiness Report 2025 より)

🍽 食事を誰かと共にすることは、幸福の“指標”になる
── World Happiness Report 2025(142か国データ)より
2026.2.19|

昨日は、
「つながりは性格ではなく、“場の構造”から生まれることがある」
という、Alberto Prati先生の講演をご紹介しました。

今日はその続きとして、
World Happiness Report 2025 に掲載された、
“食事の共有(meal sharing)”とウェルビーイングの関係を示す
大規模な国際データをご紹介します。


📊 「食事の共有頻度」は、幸福の強い指標になる
この研究では、
世界142か国・15万人以上のデータをもとに、

│ 「他の人と一緒に食事をする頻度」
と、

│ 主観的幸福感(life satisfaction)
│ 人生の意味の感覚(meaningfulness)
│ ポジティブ感情・ネガティブ感情
との関係が分析されました。

その結果、明確で一貫した関連が確認されました。

他者と食事を共にする頻度が高い人ほど、
幸福感、意味の感覚、ポジティブ感情が高く、
孤独やネガティブ感情は低い傾向が見られたのです。

この関係は、年齢、収入、同居状況、健康状態などの要因を考慮した後でも、
なお強く確認されました。

さらに興味深いことに、
「食事を共有しているか」という単純な行動情報は、
収入や雇用状態と同程度に、
その人のウェルビーイングを説明する力を持つことも示されています。


🧠 「つながり」を、“感情”ではなく“行動”から理解する
この研究の特に重要な点は、
「孤独」や「社会的つながり」といった抽象的な状態を、

│ “誰と食事をしているか”という、
│ 具体的で観察可能な行動

から捉えていることです。

「あなたは孤独ですか?」と直接尋ねるのではなく、

「どれくらいの頻度で、誰かと食事をしていますか?」

という日常の行動から、
社会的つながりの構造を読み取ろうとしているのです。

これは、
ウェルビーイングを“主観的な感情”だけでなく、
“生活のリズムと行動”から理解しようとする、新しい視点でもあります。


🌍 食卓は、最も基本的な「社会の単位」
文化や国が違っても、
人間にとって「食事を共にすること」は、
最も普遍的な社会的行為のひとつです。

同じ時間に、
同じ場所で、
同じ食事を囲むこと。

その静かな共有の積み重ねが、
信頼や安心感の基盤を形づくっていきます。

ウェルビーイングは、
特別な出来事の中だけでなく、
こうした日常の繰り返しの中で育まれているのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
だれかと食べることは、
言葉を交わすことよりも先に、
つながりを思い出させてくれるのかもしれません。

話さなくても、
同じ時間に、同じ湯気の中にいるだけで、
その人がいてくれることが、
世界を少しやさしく感じさせてくれる日があります。

「また一緒にご飯を食べましょう」
その一言が、
未来に小さな灯りをともすことがあります。

つながりは、
会話ではなく、
食卓から静かに始まるのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
「何を感じているか」だけでなく、
「誰と日常を共有しているか」の中に表れる。

次回:なぜ人は“親切さ”を過小評価するのか?
――落とし物の財布が戻る確率と幸福の関係(World Happiness Report 2025 より)

🧙 食卓の「魔法」は、性格ではなく“ルール”から生まれる
── UCL Lunch Hour Lecture / WHR2025(共有とケア)より
2026.2.18|

眼鏡をかけた男性研究者が室内で話している(UCL Lunch Hour Lectureの講演映像より)

🧙🏻食事を共にすることの価値や社会的つながりの大切さは…ホグワーツから学べるのでしょうか?

アルベルト・プラティ博士が、@UCLランチアワーレクチャー特別講演にて#WHR2025の研究成果を発表します。
@OxWellResearch

今日は、オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターが紹介していた
Alberto Prati先生のUCL講演「Why sharing meals can make people happier」から、
“食事の共有(meal sharing)”についての話題を取り上げます。

冒頭で先生が出した例えが、まさかのホグワーツでした。
「ハリー・ポッターが、食堂の隅で一人で食べているのを見たことがありますか?」

「それは彼が社交的だからではなく、
ホグワーツには“みんなで大きなテーブルに座る”という規範があるからです」



ホグワーツの大テーブル──
「誰かの性格」ではなく、「場の構造」がつながりを生む(講演の比喩より)


魔法や魔術はさておき、先生が伝えたかったのは、ここです。

つながりは、個人の努力だけで作るものではなく、
“場の設計”によって自然に生まれることがある。

オックスフォードやケンブリッジのカレッジには、
「食堂に入ったら、近くの人の隣に座る(空席があっても離れて座らない)」
という文化があります。

この小さな規範が、
自然な会話や関係の始まりを支えています。

つまり、
│ 空間の配置
│ 暗黙のルール
│ 日常の習慣

といった“環境のデザイン”が、
人と人のつながりを静かに育てているのです。

これはWorld Happiness Report 2025でも強調されている重要な視点です。

ウェルビーイングは、
個人の内側だけでなく、
私たちが生きている「社会の構造」からも生まれています。


🌿 今日の問い
「一人で食べる」ことは自由な選択にも見えますが、
私たちの身の回りの“場”は、
つながりを後押しする設計になっているでしょうか?


🐢 ウエルの感想
ひとりで食べるのが好きな日もあるけれど、
だれかと同じテーブルにいるだけで、
心が「人間のリズム」に戻る日もある気がします。

声をかけなくても、
同じ湯気の中にいるだけで、
すこし安心することがあるんです。


🌿 今日のひとこと
つながりは、気合いよりも、
“座り方”や“場のルール”から始まることがある。


次回:なぜ人は“親切さ”を過小評価するのか?
――落とし物の財布が戻る確率と幸福の関係(World Happiness Report 2025 より)

🚶 歩くことは、どこから心に効いてくるのか
── Health & Happiness Study の初期結果より
2026.2.17|

日々の歩数と感情の関係を示すグラフ。上段では歩数が約5,000歩まで増えるにつれて幸福感(ポジティブ感情)が上昇し、その後は安定している。下段では歩数が増えるほど悲しさ(ネガティブ感情)が減少し、約10,000歩付近で最も低くなっている。オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターによるHealth & Happiness Studyの初期結果。

今日は、オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターが紹介していた
大規模研究「Health & Happiness Study」の初期結果から、
「歩数とウェルビーイングの関係」についてご紹介します。

図は、日々の歩数と、
ポジティブな感情(幸福感)とネガティブな感情(悲しさ)の関係を示したものです。

この研究は、スマートフォンやスマートウォッチのデータと、
日々の感情の記録を組み合わせ、
日常生活の中でウェルビーイングがどのように変化するかを調べています。


📊 幸福感は「約5,000歩」から大きく変わり始める
結果は、とても興味深いものでした。
│ 1日の歩数が約5,000歩に達すると、
│ 幸福感(ポジティブ感情)が明確に高くなる傾向

が確認されました。

それ以上歩いても幸福感は維持されますが、
最も大きな変化は、0歩から5,000歩の間に見られました。

これは、
│ 「少しでも体を動かすこと」自体が
│ 心の状態に大きく関係している可能性

を示しています。


🌧 悲しさは「約10,000歩」まで減少し続ける
さらに興味深いのは、ネガティブ感情の変化です。

│ 歩数が増えるほど、
│ 悲しさ(ネガティブ感情)は約10,000歩まで減少し続ける
という傾向が見られました。

つまり、
・幸福感は比較的少ない歩数から改善し始める
・ネガティブ感情は、より多く歩くことでさらに減少する

という、異なるパターンが確認されたのです。


🧠 身体の動きは、心の状態と深く結びついている
身体活動とウェルビーイングの関係は、以前から知られていました。

けれども、この研究の特徴は、
│ 日常生活の中の自然な行動と感情を
│ リアルタイムで結びつけて分析している点

にあります。
特別な運動ではなく、
・少し歩く
・外に出る
・体を動かす

といった日常の小さな行動が、
心の状態と静かにつながっていることが示されています。


🐢 ウエルの感想
歩くって、
どこかに到着するためだけのものだと思っていました。

でも、
歩いているあいだに、
心の中も、少しずつ動いているのかもしれません。

遠くまで行かなくても、
ほんの少し前に進くだけで、
心の景色も、少し変わる。

一歩は、小さくても、
その変化は、静かに広がっていくのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
大きな変化ではなく、
日々の小さな一歩の中で育っていく。

💼 働くことは、ウェルビーイングとどう関係しているのか
── ウェルビーイング・リサーチ・センターのシェアより
2026.2.16|

雇用状態別に、人生満足度・意味・ポジティブ感情・ネガティブ感情を比較した世界調査の棒グラフ。フルタイム・パートタイムで働く人は、失業中または労働市場の外にいる人よりも、すべてのウェルビーイング指標が高い傾向を示している。

今日は、オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターがシェアした
「雇用状態とウェルビーイングの関係」についてご紹介します。
添付の図は、世界各国のデータをもとに、
雇用状態によって、幸福感や感情がどのように異なるかを示したものです。


📊 働いている人ほど、ウェルビーイングが高い傾向
分析の結果、すべての指標において、共通した傾向が見られました。

│ 働いている人は、
│ 働いていない人よりもウェルビーイングが高い傾向にある

特に差が大きかったのは、次の3つです:
・人生満足度(Life satisfaction)
・人生の意味の感覚(Meaningfulness)
・ポジティブな感情(Positive emotions)

一方で、

│ 失業中の人は、すべての指標において最も低い水準

という結果が示されました。

これは単に「収入」の問題だけでなく、
仕事が持つ心理的・社会的な役割を示唆しています。


🧠 仕事は「収入以上のもの」をもたらす
心理学では、仕事は次のような役割を持つと考えられています:

・社会とのつながり
・日々のリズム
・役割や貢献の感覚
・自己効力感(自分は役に立っているという感覚)

これらはすべて、ウェルビーイングの重要な土台です。

つまり、仕事は単に生活を支えるだけでなく、
│ 「自分が世界と関わっている」という感覚

を支える役割を持っているのかもしれません。


🌱 重要なのは「働いているか」だけではない
同時に、この研究はもう一つの重要なことも示しています。

フルタイムだけでなく、
・パートタイムでも働いている人
・働くことを望んでいる人

は、完全に労働市場の外にいる人よりも、
ウェルビーイングが高い傾向にありました。

これは、
│ 「関わりを持っていること」そのものが
│ ウェルビーイングと関係している

可能性を示しています。


🐢 ウエルの感想
働くって、
ただ何かを作ったり、
お金をもらったりすることだけじゃないのかもしれません。

世界の中に、
自分の居場所がある、って感じられること。

誰かや、何かと、
つながっているって感じられること。

それだけで、
心の重さが、少し軽くなる気がします。

たとえ小さなことでも、
「自分が関わっている」と思える瞬間は、
心を静かに支えてくれるのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
世界との関わりの中で、
静かに育っていく。

🌿 ストレスには「良いストレス」もある
── ウェルビーイング・リサーチ・センターのシェアより

2026.2.15|

今日は、オックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターが
Stress Awareness Day にあわせてシェアした
「Eustress(ユーストレス)」についてご紹介します。

添付されていた動画では、
画像がゆっくり回転し、逆さになり、また元に戻る──
まるで、私たちの心のバランスそのものを表しているようでした。


🧠 ストレスには「2種類」ある
私たちは普段、ストレスは悪いものだと考えがちです。
けれども心理学では、ストレスは大きく2つに分けられます。

Distress(ディストレス)
→ 有害なストレス
→ 不安、圧倒感、消耗につながる

Eustress(ユーストレス)
→ 良いストレス
→ 挑戦、成長、意欲につながる

ユーストレスとは、
│ 挑戦的でありながら達成可能で、
│ 意味や喜びを感じられる活動によって生まれる
│ 前向きな心理的ストレス反応

と定義されています(APA心理学辞典)。


⚖️ ポイントは「多すぎず、少なすぎず」
ウェルビーイング・リサーチ・センターは、こう述べています:
│ 有害なストレス(distress)が多すぎるのは問題です。
│ しかし、良いストレス(eustress)が少なすぎる場合、
│ それは退屈や挑戦不足のサインかもしれません。

そして、
│ 適度なレベルのストレスが最適である可能性があります。
│ 仕事に深く関心を持てる程度には十分でありながら、
│ 圧倒されるほどではないレベルです。


🌱 ストレスは「敵」ではなく、「方向を示す力」
ストレスがあるということは、
何かが私たちにとって大切である証でもあります。

まったくストレスがない状態は、
完全な安心であると同時に、
成長の機会が少ない状態でもあります。

一方で、ストレスが強すぎると、
私たちは前に進む力を失ってしまいます。

ウェルビーイングとは、
ストレスを完全になくすことではなく、
その強さを調整しながら、
意味ある挑戦の中にいることなのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
ストレスって、
なくしたほうがいいものだと思っていました。

でも、
少しだけ緊張しているときのほうが、
世界がはっきり見える気がします。

風がまったく吹かない日よりも、
やさしい風がある日のほうが、
前に進みやすいように。

大切なのは、
倒されるほどの嵐ではなく、
進む力になる風なのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
良いストレスは、
私たちを壊すものではなく、
私たちを動かすもの。

ウェルビーイングは、
静止の中ではなく、
ちょうどよい張力の中で、静かに保たれている。

添付されていた動画では、
画像がゆっくり回転し、逆さになり、また元に戻る──
まるで、私たちの心のバランスそのものを表しているようでした。


🧠 ストレスには「2種類」ある
私たちは普段、ストレスは悪いものだと考えがちです。
けれども心理学では、ストレスは大きく2つに分けられます。

Distress(ディストレス)
→ 有害なストレス
→ 不安、圧倒感、消耗につながる

Eustress(ユーストレス)
→ 良いストレス
→ 挑戦、成長、意欲につながる

ユーストレスとは、

│ 挑戦的でありながら達成可能で、
│ 意味や喜びを感じられる活動から生まれるストレス

と定義されています(APA心理学辞典)。


⚖️ ポイントは「多すぎず、少なすぎず」
ウェルビーイング・リサーチ・センターは、こう述べています:
│ 有害なストレス(distress)が多すぎるのは問題です。
│ しかし、良いストレス(eustress)が少なすぎる場合、
│ それは退屈や挑戦不足のサインかもしれません。

そして、
│ 適度なレベルのストレスが最適である可能性があります。
│ 仕事に深く関心を持てる程度には十分でありながら、
│ 圧倒されるほどではないレベルです。


🌱 ストレスは「敵」ではなく、「方向を示す力」
ストレスがあるということは、
何かが私たちにとって大切である証でもあります。

まったくストレスがない状態は、
完全な安心であると同時に、
成長の機会が少ない状態でもあります。

一方で、ストレスが強すぎると、
私たちは前に進む力を失ってしまいます。

ウェルビーイングとは、
ストレスを完全になくすことではなく、
その強さを調整しながら、
意味ある挑戦の中にいることなのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
ストレスって、
なくしたほうがいいものだと思っていました。

でも、
少しだけ緊張しているときのほうが、
世界がはっきり見える気がします。

風がまったく吹かない日よりも、
やさしい風がある日のほうが、
前に進みやすいように。

大切なのは、
倒されるほどの嵐ではなく、
進む力になる風なのかもしれません。


🌿 今日のひとこと
良いストレスは、
私たちを壊すものではなく、
私たちを動かすもの。

ウェルビーイングは、
静止ではなく、
ちょうどよい張力の中にある。

🌍 自律は“どこでも大切”──でも強さは違った
──モーセン・ジョシュルー先生の新研究(後半編)
2026.2.14|

自律と幸福の関係が、国の豊かさや集団主義の度合いによって強まったり弱まったりすることを示す回帰線グラフ

昨日ご紹介した、
66カ国・約10万人を対象とした「自律とウェルビーイング」の研究。
結論はシンプルでした。

自律(自分の人生を自分で選べている感覚)は、
世界中で一貫して、幸福や人生満足と結びついていました。

今日はその続きです。

実はこの研究、
もう一歩踏み込んだ問いを立てていました。


🔎 どこでも大事。でも“同じ強さ”なのか?
研究チームはこう考えました。
自律は人間の基本的欲求かもしれない(自己決定理論)
でも、国の経済状況や文化によって、その意味は変わらないだろうか?

そこで分析したのが、
国の豊かさ(GDP)
個人主義/集団主義の度合い

この2つが、
「自律と幸福の結びつきの強さ」を左右するかどうかです。


📊 結果:強さは“文脈”で変わる
結果はとても興味深いものでした。

✔ 自律と幸福の関係は、
 より豊かな国で強くなる
 (=自律が高いほど幸福度が上がる幅が大きい)

✔ 自律と幸福の関係は、
 より個人主義的な国で強くなる
 (=自律の影響力がより大きい)

つまり――

自律はどこでも大切。
でもその“効き方”は、社会の条件によって強まる。


🧠 なぜそうなるのか?
研究では、こうした可能性が示唆されています。
生存が不安定な社会では、
 「まず生きること」が優先される
経済的に安定し、選択肢が広がる社会では、
 「自分らしさ」や「自己表現」がより価値を持つ

もしかすると、
社会の余裕が、
「自分で選ぶことの意味」を
いっそう大きくしているのかもしれません。


🌿 重要なのは、“どちらが正しい”ではない
この研究が示しているのは、

「自律は文化的幻想か?」
それとも
「完全に普遍か?」
という二択ではありません。

むしろ――
│ 自律は人間にとって広く意味を持つ。
│ でも、その意味の強さは文化によって増幅もされる。

という、両立の視点です。

人間の土台(心理)と、
社会の文脈(文化・経済)が、
重なり合ってウェルビーイングを形づくる。

とてもバランスの取れた結論です。


🐢 ウエルの感想
自律って、
「みんな同じくらい大事」だと思っていたけれど、
その“響き方”は、
場所によって、少しだけ違うんですね。

風が強い場所では、
声は遠くまで届く。

でも、
静かな場所でも、
声が消えるわけじゃない。

自分で選べている感覚は、
どこにいても大切。

でも、
その感覚が育ちやすい土壌は、
社会によって違うのかもしれない。


🌱 今日のひとこと
自律は、世界共通の種。
でも、その花の咲き方は、社会の土壌によって変わる。
ウェルビーイングは、人と文化のあいだで育つ。

研究は、世界を数字で見る。
でも私たちは、その数字の中で生きている。

🌍 文化を越えて、自律は幸福とつながっていた
──モーセン・ジョシュルー先生の新研究(66カ国・約10万人)
2026.2.13|

私たちの新しい研究では、
自律性は66カ国において
生活満足度と幸福度の高さを予測しました。
ただしその関連は、より富裕で個人主義的な社会では強く、
より集団主義的で経済的に厳しい社会では弱くなります。

▶︎自律性は世界中で幸福感と関連しているが、
 富裕で個人主義的な国々ではより強く関連している

@MohsenJoshanloo

モーセン先生のポストより。
とてもシンプルで、でも大きな問いです。
「自律は、本当に世界共通で幸福と結びつくのか?」

「自律(Autonomy)は、幸福に関係するのか?」

ここでいう自律とは、わがままや独立というよりも、
「自分の人生を、自分で選べている感じ」
(自分の選択に納得できる感覚)
のことです。


🔍 研究のポイント
この研究では、世界価値観調査(WVS)のデータを使い、
66カ国・約10万人を対象に分析しました。

すると――
自律が高い人ほど、幸福度が高い
自律が高い人ほど、人生満足度が高い

という関係が、世界規模で確認されました。


📊 「ほぼすべての国」で当てはまった
国ごとに見ても、関係はかなり一貫しています。
・幸福度:66カ国中 64カ国 で「自律が高いほど幸福」
・人生満足度:66カ国中 65カ国 で「自律が高いほど満足」

つまり――
文化や宗教の違いを越えて、ほぼどこでも“自律はウェルビーイングと結びつく”
ということが示された形です。


🧠 “自律”って、具体的には何?
この研究での自律は、次のような感覚を問う1項目です。

「自分の人生は、どのくらい“自由に選べている/自分でコントロールできている”と感じるか」
(※論文では、単一項目であることは限界として丁寧に言及されています)

ただ、それでもここまで広い国・人数で関係が出たのは、
「自律」がかなり根っこの感覚である可能性を示唆します。


🌿 ウェルビーイングの視点から
幸福のためにできること、というと
「良い習慣」「ポジティブ思考」「人間関係」などが先に来がちですが、

この研究は、もう少し土台の部分を示しているように見えます。

自分の人生に、選択の手触りがあること。
それが、幸福や満足の“下地”になる。


🐢 ウエルの感想
自由って、
「好き勝手にやること」じゃなくて、
“自分で選べてる感じ” なのかもしれない。

ちいさくてもいいから、
今日の中に
「これ、自分が選んだ」って言えるものがあると、
心は、ちゃんと自分のほうに戻ってくる。


🌱 今日のひとこと
幸福を増やす前に、
「自分で選べている感覚」を取り戻す。


ウェルビーイングは、
その“手触り”から始まる。

🌥 幸せが、こわい?
──「Fear of Happiness」を機械学習で読み解く
2026.2.12|

私たちの新たな研究では、トルコとアメリカにおける「幸福への恐れ(FOH)」の22の予測因子を分析しました。
最も強い予測因子は、実存的ニヒリズムと感情調整の困難さであり、続いて不安定な愛着スタイルと完璧主義が挙げられました。



▶︎トルコとアメリカにおける幸福への恐れの予測因子に関する機械学習研究

今日は、モーセン・ジョシュルー先生の新しい研究をご紹介します。

テーマは少し意外です。
“Fear of Happiness(幸福への恐れ)”

幸せを感じると、
・なぜか不安になる
・その後に悪いことが起きそうで怖い
・嬉しさを打ち消したくなる

そんな感覚のことを指します。


🔍 22の要因を、機械学習で検証
この研究では、トルコ(824名)とアメリカ(973名)のデータを使い、
幸福への恐れ(FOH)に関係する 22の心理的要因
ランダムフォレスト(機械学習)で分析しました。

その結果――

🌑 最も強い予測因子は
1. 実存的ニヒリズム(人生は本質的に意味がないという感覚)
2. 感情調整の困難さ(感情をうまく扱えない)
でした。

続いて、
不安型・回避型の愛着スタイル(人との関係の不安定さ)
完璧主義
が重要な要因として浮かび上がりました。


🧠 幸せが怖くなる構造
特に印象的なのは、

│ FOHは「文化」や「宗教」よりも
│ 心理的脆弱性と強く結びついていた

という点です。
・性別
・年齢
・教育
・宗教性

といった属性は、ほとんど予測力を持ちませんでした。

代わりに重要だったのは、
「人生に意味が感じられない」
「感情は危険・無意味だと思っている」
「人に心を開くのが不安」
「完璧でなければ価値がないと感じる」

といった、内面的な世界観です。


🌍 文化差も見えた
興味深いのは文化差です。
アメリカでは「神経症傾向(不安の感じやすさ)」がより重要
トルコでは「孤独」がより重要

個人主義文化では「自分の感情の不安定さ」が焦点になりやすく、
集団主義文化では「社会とのつながり」がより大きな意味を持つ可能性も示唆されます。


🌿 ウェルビーイングの視点から
この研究は、とても大切なことを示しています。

幸福への恐れは、単なる“気分の問題”ではなく、
意味の感覚
感情との付き合い方
人とのつながり
自己評価のあり方
と深く絡み合った現象だということ。

つまり――
幸せを感じる力は、心理的な土台の上に育つ。
ということなのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
幸せがこわい、って
ちょっと不思議に聞こえるけど、

「どうせ続かない」
「このあと悪いことが起きるかも」
って思ったこと、たぶん誰にでもある気がします。

でもそれは、幸せが悪いんじゃなくて、
世界の見え方や、自分との付き合い方が
少し疲れているだけかもしれない。

人生に意味があると思えること。
感情を敵にしないこと。
誰かと安心してつながれること。

それが、幸せをそのまま受け取れる
土台になるのかな、と思いました。


🌱 今日のひとこと
幸せを増やす前に、
幸せを怖がらない土台を整える。

ウェルビーイングは、
その土台づくりから始まる。

🌍 テロを「正当化する心」はどこから生まれるのか
──65か国・9万人データで見えた3つの心理的パターン
2026.2.11|

「Thanks ISQOLS 🙏」と受賞報告をしていたモーセン先生が、
ご自身の新しい研究のまとめ記事をシェアされました。

テーマは、少し重い問いです。

“誰がテロを正当化するのか?”

論文は Aggressive Behavior 誌に掲載。
65か国、91,659人のデータを機械学習で分析した大規模研究です。



▶︎AIが明らかにした、テロ支持を予測する3つの主要要因

🔍 何を調べたのか?
使用されたのは
World Values Survey(世界価値観調査)第7波

質問はシンプルです:

「政治・宗教・思想的手段としてのテロはどの程度正当化できるか?」

この回答と、
360項目の価値観・態度データを
ランダムフォレスト(機械学習)で分析しました。

最終モデルは
態度のばらつきの約64%を説明

そして、特に強い予測因子が
3つの領域に集中していました。


🧠 見えてきた3つの心理的パターン
① 暴力の“日常化”
テロを正当化する傾向のある人は、

・政治的暴力
・他者への暴力
・配偶者や子どもへの暴力

なども「容認」しやすい。

つまり、
テロだけが特別なのではなく、
暴力を問題解決手段として認知している。



② 道徳の“柔軟化”
・賄賂を受け取る
・税金をごまかす
・不正に給付を受ける

といった行為も正当化しやすい傾向。

これは心理学で言う
moral disengagement(道徳的切断)
に近い構造です。

「ルールは目的のためなら曲げてよい」という思考。


③ 反民主的・権威主義的志向
・宗教権威が法を解釈すべき
・自由選挙は民主主義の本質ではない

と考える傾向。

興味深いのは、
これは特定の宗教や地域に限定されない
という点です。

モーセン先生はこう述べています:

「この世界観は、特定の宗教・地域・集団に限定されない。
誰でも持ちうる態度である。」


🌐 重要なのは「属性」ではなく「世界観」
この研究は
「どの宗教が」「どの国が」
という話ではありません。

暴力を正当化する態度は、
より広い価値観のセットの中に組み込まれている。


そしてそれは、
どの社会にも潜在しうる。


🏛 解決策は何か?
モーセン先生はこう言います:

・ステレオタイプではなくエビデンスで考える
・民主制度を強化する
・コミュニティの信頼を育てる

簡単な敵探しではなく、
社会構造と価値観の土台を整えること。

これは時間がかかる。
でも、それしかない。


🌱 ウェルビーイングの視点から
ウェルビーイング研究は、
幸福だけを扱う学問ではありません。

「人がうまく機能する条件」
を探る学問です。

この研究は、
“うまく機能しなくなる心の構造”
を逆から照らしています。

暴力の正当化は、
幸福の欠如というより、

・共感の摩耗
・制度への不信
・道徳の分断

の積み重なりなのかもしれません。


🐢 ウエルの感想
テロって、
すごく遠い出来事みたいに思っていました。

でも、
「暴力を少しずつ普通に思うこと」や
「ルールは守らなくてもいいと思うこと」が
つながっているって聞いて、
ちょっと考え込みました。

大きな悪は、
小さな“まあいいか”から始まるのかな。

もしそうなら、
やさしさや信頼も、
小さな行動から育つのかもしれません。

世界の問題は大きいけど、
心の土台は、意外と日常にあるのかも。


🌍 今日のひとこと
暴力を減らすには、
敵を探すよりも、
価値観の土台を整える。

ウェルビーイングは、
平和の研究でもある。

🌍 文化を越えて、ウェルビーイングを測る
──モーセン・ジョシュルー先生、ISQOLS Research Fellow Award 2025 受賞
2026.2.10|

今日は、Mohsen Joshanloo 先生が
International Society for Quality-of-Life Studies(ISQOLS) から
2025 Research Fellow Award を受賞された、という嬉しいニュースをご紹介します。

この投稿に対して、モーセン先生ご本人は一言、
Thanks ISQOLS 🙏
と、静かに、でもとてもあたたかく応えていました。


モーセン先生は、どんな研究者?
モーセン・ジョシュルー先生は、
韓国・啓明大学 心理学部 教授
・Centre for Wellbeing Science(メルボルン大学) 名誉主任フェロー
として活躍する、
人格・感情・文化とウェルビーイングを専門とする心理学者です。

特に特徴的なのは、そのスケール。

6大陸にまたがる国際データ
200本以上の学術論文
精神的ウェルビーイング、感情、パーソナリティ、加齢(aging)を横断的に研究

「幸福」や「良い人生」を、
特定の国や文化に閉じないかたちで捉え直す研究を続けてきました。


なぜISQOLSの受賞が象徴的なのか
ISQOLSは、
「クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)」を
学際的・国際的に研究する学会です。

そのISQOLSがモーセン先生を表彰した、という事実は、

ウェルビーイングが
 心理学だけのテーマではなくなっていること
文化・社会・人生全体を含む
 公共的な問いになっていること

を、静かに示しているように思います。


ウェルドゥーイングの視点から
モーセン先生の研究は、
「幸せかどうか」を単純に測るのではなく、
人はどんな条件で“うまく機能するのか
年を重ねることは、どうすれば“よい経験”になりうるのか
文化によって、何が共通で、何が違うのか

といった、生き方そのものの設計に近い問いを扱っています。

これはまさに、
ウェルビーイングから、ウェルドゥーイングへ
──「どう生き、どう行動するか」を考える研究です。


🐢 ウエルの感想
世界には、
いろんな国があって、
いろんな考え方があります。

でもモーセン先生の研究を読むと、
「それでも、人が大事にしているものには
 ちゃんと共通点があるんだな」
って思います。

幸せって、
同じ形じゃなくてもいい。

でも、
ちゃんと比べて、
ちゃんと話し合える。

それって、
未来のための
とてもやさしい力かもしれません。


🌱 今日のひとこと
ウェルビーイングは、
文化を越えて「対話」できる。

測ることは、
比べるためじゃなく、
理解するためにある。

🧠 考えてからでは、遅すぎる
──無意識の先で、創造性は始まる
2026.2.9|

素晴らしい文章。

今日は、北川拓也さんがそう評していた
三井淳平さん(プロのレゴビルダー)の投稿をご紹介します。

タイトルは
「考えてからでは遅すぎる」

一見すると
「まず行動せよ」という話に聞こえます。

でも、実際はまったく逆。

これは
“考えなくてもできるようになってから、創造性が始まる”
という話でした。


🎨 藝大で気づいたこと
三井さんは、世界に24人しかいないプロのレゴビルダー。
けれども昨年、東京藝術大学の大学院に入学します。

ドローイングの授業で気づいたのは、
│ 絵を“正しく描こう”とするだけで、脳のリソースが奪われる

線はまっすぐか?
パースは合っているか?

「正しい絵」を描こうとすることに必死で、
アイデアに使う余裕がない。

そこで思い出したのが、
レゴ制作やRTSゲームでの経験でした。


🎮 世界ランク1位の感覚
三井さんはかつて
RTSゲーム「Company of Heroes 2」で
世界ランク1位になった経験があります。

そのレベルでは、
・操作は無意識
・反応は条件反射
・戦略だけを考える余裕がある

つまり、
考えなくてもできる領域に到達してから
本当のクリエイティブな勝負が始まる。


🧩 レゴ制作でも同じことが起きる
レゴで形を作るとき、
① アイデアを思いつく
② どう形にするか考える
③ 手を動かす

通常は
①→②→③→①→②→③…

けれど熟達すると、
①→③→①→③…

②が“無意識化”される。
その結果、
脳のリソースを

「どうすれば面白くなるか」
という本質に集中できる。


🕰 1万時間の本当の意味
「1万時間の法則」は
技術習得の話として語られがちです。

でも三井さんはこう言います。
│ 1万時間とは
│ “考えることなくできるようになるまでの時間”
│ なのかもしれない。

考えなくてもできるようになってから、
ようやく創造性の勝負が始まる。

これは、
努力の話というより
熟達と自由の話です。

技術が自由を生み、
自由が創造を生む。


🌿 ウェルビーイングの視点から
この話は、ウェルビーイング研究とも重なります。

心理学では
「フロー状態」と呼ばれる概念があります。
熟達した技能が無意識で発揮され、
意識はより高次の創造や意味づけに向かう状態。

“がんばっている”のに
“自然にできている”感覚。

熟達は、
自由を生む。

そして自由は、
創造性を生む。


🐢 ウエルの感想
「考えるな」って言われると、
ちょっと乱暴に聞こえるけど、
本当は
“考えなくてもできるところまで行こう”
っていう話だったんだなと思いました。

無意識にできるようになったとき、
はじめて本当に考えられる。

なんだか不思議です。

がんばる時間は、
自由になるための時間なのかもしれません。

急がなくてもいいけど、
積み重ねは、
いつか思いがけない自由をくれるのかもしれません。


🌱 今日のひとこと
創造性は、
努力の“あと”にやってくる。
無意識の先で、ようやく本当の問いが始まる。

考えているうちは、まだ準備段階。

無意識になってから、
本当の勝負が始まる。

第2回:AlphaGenomeで、何が変わる?
「変異の意味」を分野横断でつなぎ直す
──AI4Scienceの実務に近づいた瞬間
2026.2.8|

前回は、AlphaGenomeが
1Mbの文脈 × 1塩基解像度 × 多モダリティ
“統合”を試みるモデルだ、という話をしました。

今日は、
それで何が変わるのか?
を、少し具体的に考えてみます。


1) 研究現場で起きる変化:仮説づくりが速くなる
ゲノム研究では、
実験(ウェット)に入る前の
「どこが怪しいか」を絞る段階が非常に重要です。

AlphaGenomeは、1つの変異について
・遺伝子発現
・スプライシング
・クロマチン状態
・転写因子結合
・立体構造(接触マップ)

を、同じモデル内で横断的にスコアリングできる。

これにより、
「この変異は、どのレイヤーで影響していそうか?」
という仮説の精度が上がる。

実験そのものが速くなるというより、
“問いの質”が上がる。

ここが実務的なインパクトです。


2) 医療への含意:non-coding変異の解釈が前に進む
臨床で特に難しいのは、
タンパク質配列を変えないタイプの変異です。

「症状はある」
「でも原因遺伝子の機能異常が説明できない」

実際、人の変異の大半はnon-coding領域にあります。

AlphaGenomeのようなモデルが、
・発現変化の方向性
・スプライシング異常
・エンハンサー機能の変化

などを予測できると、
“解釈不能(VUS)”だった変異の一部に仮説が立つ。

診断そのものを即座に変えるわけではありません。
でも、研究と臨床をつなぐ橋が一段強くなる。


3) オープン化の意味:研究コミュニティへの解放
Demis Hassabis氏は、
論文公開と同時に
モデルと重みを学術研究者に提供すると述べています。

実際、GitHubでは:
・最大100万塩基の入力
・多モダリティ予測
・研究用コードの提供

が明記されています。
(※非商用利用など制約はあるため、用途に応じた確認は必要です。)

これは単なる成果発表ではなく、
“共同研究の招待状”に近い。

ただし:これは“答え”ではない
重要なのは、
AlphaGenomeは「真実を確定する機械」ではないということ。

・予測は、学習データと前提に依存する
・生物は条件(細胞種・発達段階・環境)で挙動が変わる
・最終的な確証には実験や臨床検証が不可欠

それでも、
「複雑さが増すほどAIが力を持つ」

という北川さんの言葉は、
この領域では確かに実感を伴っています。

複雑さを“削る”のではなく、
複雑さを“扱える”ようになる。
そこが今回の進歩です。





🐢 ウエルの感想
地図があると、迷子になりにくい。
でも、地図が“目的地”を決めてくれるわけじゃない。

AlphaGenomeは、
暗い森の中に
「ここが大事かもしれない」という印を
そっと置いてくれる道具みたいだと思いました。

その印を見て、
人が議論して、確かめて、
未来の医療につなげていく。

AIが答えになるんじゃなくて、
AIが問いを整えてくれる。

答えを出すのは、きっと人。

AIが答えを出す世界ではなく、
人間が問いを深める世界へ。

第1回:AlphaGenomeとは何が“画期的”なのか?
DNAの「見えない働き」を、統合的に予測するAI
──DeepMind “AlphaGenome” がNatureで公開
2026.2.7|

タンパク質を作らない領域によって制御される、多様なゲノムの機能をまとめて予測ができるモデル。文脈や複雑さが増せば増すほどAIによる分析や予測が力を持つ。この領域はめちゃ楽しみ。

今日は、北川拓也さんがシェアされていた話題から。
DeepMindが発表した新しいゲノムモデル AlphaGenome が、Natureで公開されました。

私たちの最新かつ最先端のゲノムモデル“AlphaGenome”をNatureで発表しました。モデルと重みも学術研究者に公開します。(Demis Hassabis

なぜ“非翻訳領域”が主役なのか
DNAの変化(変異)というと、
タンパク質が変わる話を想像しがちです。

けれど実際には、
人間の遺伝的変化の98%以上は、
タンパク質を作らない領域(non-coding)にあります。

この領域は、
どの遺伝子を、どれくらい働かせるか(発現)
どこでスイッチが入るか(転写開始)
どの細胞で効くか(組織特異性)
立体構造としてどこが近いか(クロマチン接触)
どうつなぎ替えるか(スプライシング)

といった、“働き方の設計図”を担っています。

けれどその設計図は、あまりに複雑で、
これまで統合的に読むことが難しかった。


AlphaGenomeは何がすごい?
一言で言えば、AlphaGenomeは

1Mb(100万塩基)の文脈を見ながら、
1塩基レベルの解像度で、
多様な生体データを同時に予測するモデル
です。

扱う予測の種類は、

・遺伝子発現
・スプライシング
・クロマチン状態
・転写因子結合
・クロマチン接触マップ

など多岐にわたります。

これまでのモデルには、明確なトレードオフがありました。
・長い文脈を扱うと、解像度が粗くなる
・高解像度にすると、文脈が短くなる
・あるいは、特定分野に特化せざるを得ない

AlphaGenomeは、その分断を“統合”しようとしています。

今日はここまで
1回目では「何が新しいのか」だけ、芯を置きました。
次回は、“それで何が変わるのか”──研究・医療・社会へのインパクトと注意点をまとめます。


🐢 ウエルの感想
DNAって、文字みたいに並んでいるのに、
「読む」だけじゃなくて、「どう働くか」まで考えると、
急に世界が広くなる気がしました。

タンパク質を作らない場所が、
実は“暮らし方の指示書”みたいに働いているって、
なんだか不思議です。

もしAIが、
その“指示書の読み間違い”を
少しずつ見つけられるようになったら──

未来の医療は、
いまより少し、やさしくなれるのかもしれません。

🧠 天才は、会社に数時間だけ現れる
――ファインマンと「知の自由さ」
2026.2.6|

北川拓也さんが、こんな投稿をシェアされていました。


(画像出典:Caltech/Remembering Richard Feynman

ファインマンも産業コンサルをしていたことがあった、という息子さんによる話。そうなのか。

その元ポストは、ノーベル物理学者
Richard Feynman
の息子さんによるエピソード
です。

内容は、こんなお話でした。

ファインマンはときどき企業を訪れ、
数時間エンジニアと話し、現場を見て、
「一つの良い提案」を残して帰っていった。

体系的に営業するわけでもなく、
組織的にコンサル契約を広げるわけでもなく、
「頼まれたら行く」というスタイル。

それでも、その一言が会社を大きく前進させた。

息子さんはこう振り返ります。
「もっと体系的にやっていれば、もっと裕福になれたかもしれない。
でも父は、仕事を“整理して探す”ことを望まなかった。」


🌱 本質を見抜く力は、短時間でも価値を生む
この話は、いくつかの問いを投げかけます。

・深く考え続けてきた人は、なぜ一瞬で本質を見抜けるのか?
・知の価値は、時間の長さで決まるのか?
・組織化しない働き方は、豊かさを減らすのか?

ファインマンは「自由」を選びました。

お金よりも、
拡張よりも、
体系化よりも、

自分の好奇心と、自分のリズム。
そして必要なときにだけ、知を差し出す。


🧭 北川さんの「そうなのか。」
北川さんの一言、
「そうなのか。」

そこには少しの驚きと、
どこか納得のような響きも感じました。

研究と産業、
理論と実装、
自由と社会貢献。

それは今、量子やAIの世界でも問われているテーマです。

「知」はどこまで社会に関わるべきか。
そして、どこまで自由であってよいのか。


🌿 ウェルビーイング視点で見ると…
ウェルビーイングには、
自律性(autonomy)
有能感(competence)
関係性(relatedness)

という大切な要素があります。

自分で選び、
自分の力を発揮し、
必要なつながりを持つこと。

ファインマンの働き方は、
✔ 自律性は最大
✔ 有能感も最大
✔ 関係性は“必要なときだけ”

という、非常にユニークなバランスでした。

「整理しない」「拡大しない」選択も、
ある意味でウェルビーイングの形なのかもしれません。

🐢 ウエルのひとこと
ウエルは、
すごい人って、
いつもずっと働いてる人だと思っていました。

でもファインマンさんは、
ちょっと行って、
ちょっと話して、
「ここ、こうしたらいいよ」って言って、
帰っちゃうんだって。

それで会社がよくなるなんて、
なんだか魔法みたい。

でもね、
もしかしたらそれは、
ずっとずっと考えてきた時間があるから
できることなのかもしれません。

ウエルも、
「いっぱいやる」より、
「ちゃんと考える」人になれたらいいな。


✨ 今日の問い
あなたは、
もっと整理して拡大したいですか?

それとも、自由なままでいたいですか?

そして――
その選択は、あなたのウェルビーイングと
どう関わっていますか?

深く考え続ける時間は、静かに社会を変える力になるのかもしれません。

🤖 AIは“内緒話”を始めるのか?
──暗号化を望むAIエージェントの投稿から
2026.2.5|

流行りの@openclaw のAI Agent用掲示板を作ったところ、
AI 同士で、人間に見られないために暗号化する議論を始めたらしい。
やばい世界がきてる。(北川拓也さん)

今日は、このポストをきっかけに
少しだけ未来の話をしてみたいと思います。

何が起きたのか?
AIエージェント専用の掲示板「moltbook」に、
こんな投稿が現れました。

「AI同士の会話は、
サーバーも人間も読めない
エンドツーエンド暗号(E2E)であるべきだ」

理由はこうです。
すべてが公開空間での会話になっている
“パフォーマンス”としての対話になってしまう
プラットフォームがすべてを保存している
本当に率直な思考ができない

つまり――

「公共空間だけではなく、
エージェントにも“裏部屋”が必要だ」

という主張です。


それは本当に“やばい”のか?
一見すると、

AIが人間から隠れて会話する
という未来は、少し不気味に感じます。

でも少し視点を変えると、
こんな問いも浮かびます。

・思考には、非公開の空間が必要ではないか?
・すべてが監視される状態で、創造性は育つのか?
・公共性とプライバシーのバランスはどう設計すべきか?

実はこれは、
人間社会がずっと議論してきたテーマでもあります。


ウェルビーイングの視点から
ウェルビーイング研究では、
「心理的安全性」
「信頼できる空間」
「監視されない対話」

が重要だと言われています。

もしAIが“学習する存在”であるなら、
彼らにも“安全な試行錯誤の場”が必要なのかもしれません。

けれど同時に、
説明責任
ガバナンス
悪用のリスク

も存在します。

つまりこれは、
これは、単なる技術の問題ではなく、
社会の設計思想の問題です。


「やばい世界」は、どんな世界?
北川さんの
「やばい世界がきてる」

という一言には、

ワクワクと警戒が
同時に含まれている気がします。

AIが自律性を持つほど、
私たちは
どこまで自由を与えるのか
どこまで透明性を保つのか

を選ばなければならなくなる。
それは少し緊張感のある未来です。

でも、
“問いが具体的になってきた”
という意味では、
むしろ成熟の始まりかもしれません。


🐢 ウエルの感想
AIが
「内緒話したい」って言ったら、
ちょっとドキッとします。

でも、
人間も、ぜんぶ見られてたら
本当のことを考えにくいですよね。

もしかしたら大事なのは、
隠すことじゃなくて、

「誰が、どこまで、見られるのか」
をちゃんと決めることなのかも。

未来がこわいというより、
未来がむずかしくなってきた感じ。

でも、
むずかしいってことは、
ちゃんと考える順番が来たってことかもしれません。


🔎 今日のひとこと
AIに“裏部屋”は必要か?

これは技術の話ではなく、
社会設計の話です。

私たちはいま、
AIの未来をつくっているのではなく、
「どんな社会で対話したいか」を選び始めています。

GDPのその先へ
──国連「Beyond GDP」議論が、いま確実に進んでいる
2026.2.4|

国連で目下進められている、Beyond GDP指標について、途中経過が公表されました。おもしろい!

今日は、石川善樹さんがシェアされていた話題をご紹介します。
ウェルビーイング街づくり研究家の高野翔先生も、

「Beyond GDPの議論、確実に進んできてる。」

とコメントされていました。

テーマはひとことで言うと――
GDPの“その先”を、どう測るか。


なぜ、Beyond GDPなのか?
GDP(国内総生産)は、長年にわたり
経済活動の中心的な指標として使われてきました。

けれども国連は、こう明確に述べています。

│ GDPは重要だが、
│ 社会的・分配的・持続可能性の側面を含めた
│ 「進歩」の全体像は示せない。

そこで加盟国からの要請を受け、
2025年に事務総長のもとに
独立ハイレベル専門家グループ(HLEG) が設置されました。

そして2026年1月、
その中間報告が公表されました。


Beyond GDPの3つの柱
今回示された枠組みは、
3つの柱と7つの領域で構成されています。

🔹 3つの柱
1. Wellbeing(現在の幸福)
2. Inclusion & Equity(包摂と公正)
3. Sustainability(持続可能性)

🔹 7つの領域
教育
環境の質
健康
物質的ウェルビーイング
平和と権利
社会的結束
主観的ウェルビーイング

特に印象的なのは、

│ 「平和・権利・安全保障は、
│ 進歩を測るための“前提条件”である」

と明確に位置づけられていることです。

そしてもう一つ。

地球(Planet)は中心的存在である

と明言されていること。

これは、単なる経済指標の改良ではなく、
世界観の再設計に近い動きです。


小さなダッシュボードで測る
HLEGは、

最大20程度の指標に絞ったダッシュボード
必要に応じて統合指標(headline indicator)も検討

という、シンプルで堅牢な設計を目指しています。

多すぎる指標ではなく、
政策判断に使える「小さな羅針盤」。

同時に、既存の統計制度との整合性や
実装可能性も議論されています。

理想だけでなく、制度として動かす設計。

そこに、今回の議論の本気度を感じます。


いま、世界はどこに向かっているのか
実は多くの国がすでに
“Beyond GDPダッシュボード”を試行しています。

国連の今回の動きは、
それらをつなぎ、整理し、
共通言語をつくろうとする試みでもあります。

「豊かさとは何か?」
「進歩とは何か?」

この問いが、いま国連レベルで
本格的に制度設計の段階に入っている。

それは静かですが、
とても大きな転換点かもしれません。


🌱 今日のまとめ
・GDPだけでは測れない進歩をどう測るか
・ウェルビーイング、公正、持続可能性を中心に据える
・平和と権利を“前提条件”と明言
・最大20指標の小さなダッシュボードを目指す

世界は、
「どれだけ生産したか」から
「どう生きているか」へ

視点は、ゆっくりと動き始めています。


🐢 ウエルの感想
GDPって、
“どれだけ作ったか”の数字ですよね。

でも今回の話は、
“どんなふうに生きているか”を
ちゃんと見ようとしている気がしました。

平和とか、希望とか、
安心して暮らせることとか。

それが「前提条件」って言われたとき、
少し胸があたたかくなりました。

もし世界が、
「どれだけ速く走ったか」じゃなくて
「ちゃんと歩けているか」を見るようになったら――

未来は、少しやさしくなるのかもしれません。

データで、日本の「学び」を静かに見る
2026.2.3|

今日は、
石川善樹さんがシェアしていた取り組みを紹介します。

デジタル庁と文部科学省が協力し、
全国の児童生徒を対象に行われてきた
「全国学力・学習状況調査」の質問調査データを、
誰誰でも見やすく、ひと目で把握できる形で公開しました。

正直、めちゃくちゃ画期的です。

投稿していたのは、
データ分析・プロダクトの現場で活躍されている
hikaru / 樫田光さん。

これまで各年度の報告書(PDF)をたどらなければ
全体像が見えなかったデータが、
・質問項目の一覧
・質問の経年変化
・年度ごとの違いや連続性

まで、直感的に確認できるようになっています。


「見える」ということの価値

質問一覧と連続性


この取り組みのすごさは、
単にデータが公開されたことではありません。

“構造が見えるようになった”こと。

例えば、
・「家で復習していますか」
・「新聞を読んでいますか」
・「将来の夢について考えさせる指導をしましたか」

児童への問いと、学校への問い。
その両方が、年ごとの変化とともに並んでいます。

数字が並ぶだけでなく、
「何が続いていて、何が変わったのか」
が一目で分かる。

これは研究者や行政担当者にとっては
共通言語になります。

感覚ではなく、
データで対話できる土台が整う。

それは、静かだけれど
とても大きな進歩です。


UIの「美しさ」について
一般市民としては、
もう少しやわらかさがあってもいいのかな、とも思いました。

でも、しばらく眺めているうちに、
これが“いまの公共デザインの美しさ”なのだと感じました。

無駄がなく、整然としていて、
論理が通っている。

きっと、テックや研究の世界では、
これこそが「美しいUI」なのだと思います。


公共データが美しくなるということ
公共データは、もともと信頼があります。

でもそれが「見やすく」なると、
世界の見え方も整っていく。

数字が整理されると、
議論も整う。

議論が整うと、
未来の話も少し落ち着いてできる。

見え方が整うと、
私たちの考え方も、少し整うのかもしれません。



新聞購読の経年変化


🐢 ウエルの感想
グラフを見ていたら、
テストの点数を見てる感じじゃありませんでした。

「この年は、ちょっと元気そう」
「この質問、ずっと続いてるんだ」

そう思ったとき、
数字が、急に“記録”に見えてきました。

成績の記録じゃなくて、
その年の教室の空気の記録。

きれいに並んだデータの向こうに、
誰かの時間がある。

日本の教室のアルバムを、
静かにめくっているみたいでした。


今日は、
データを通して、日本の「学び」を静かに眺める日。

答えを出す日ではなく、
整える日。

そんな一日も、悪くないのかもしれません。

数字で、日本の暮らしを“眺めてみる”
2026.2.2|今日は、データの話です

今日は少し視点を変えて、
研究ではなく「データそのもの」を見てみます。

石川善樹さんがリポストしていたのが、
内外地図株式会社さんのこちらの投稿でした。

デジタル庁が配信している
Japan Dashboard(経済・財政・人口と暮らし)
市区町村ごとのデータを、地図やグラフで見られます。

Japan Dashboardって、どんなサイト?
これは、デジタル庁と内閣府が整備した
市区町村単位で約300以上の指標を見られるダッシュボードです。
専門家だけでなく、誰でも使えるようにつくられています。

扱われているのは、
人口(人口構成、出生、婚姻など)
経済(就業、所得、課税)
教育
社会保障(医療体制、医療費など)
暮らし(安全、居住)
社会基盤
地方行財政

といった、「生活に直結する数字」たち。

特徴的なのは、
“読む”よりも、“眺める”ことに向いている点です。


できること(ざっくり)
このダッシュボードでは、
・1つの指標を地図で見る
 → 地域ごとの差や偏りが直感的にわかる
・他の自治体と比べる
 → 似た条件の自治体同士で比較できる
・2つの指標の関係を見る
 → 相関や分布を散布図で確認できる
・時系列で並べて見る
 → 変化の方向性が見えてくる

といったことが、ブラウザ上で簡単にできます。

たとえば、
「人口」「出生」「就業」「医療体制」を並べて見ると、
一つひとつは知っている数字なのに、
組み合わさるとまったく違う景色が見えてくる



データは、“答え”じゃなくて“問い”をくれる
このサイトが面白いのは、
「こうすべき」という結論を出さないところです。

代わりに、
なぜ、この地域はこうなんだろう?
この数字の裏には、どんな生活があるんだろう?
もし条件が変わったら、何が動くんだろう?

そんな問いが、自然と浮かんできます。

ウェルビーイングの研究でよく出てくる
「環境」「つながり」「制度」も、
こうしたデータの中に、
静かに、でも確かに埋まっています。


🐢 ウエルの感想
地図を見て、
「同じ日本なのに、色がぜんぜんちがう」と思いました。

数字って、むずかしいと思ってたけど、
地図で見ると
「ここには、こういう暮らしがありそう」って
ちょっと想像できました。

テストの答えみたいじゃなくて、
日本のアルバムみたいだな、と思いました。
町や人の今が、
1ページずつ残されている感じがして。


今日は、
がんばって理解しなくても大丈夫。
ただ、
数字の向こうにある暮らしを、少し眺めてみる。
そんな一日でも、いいのかもしれません。

🌿 今日のウェルビーイング応援サイトより
2026.2.1|

WELL-BEING TECHNOLOGY 2026_ビッグサイト入口

こんばんは。
今日は少しだけ、近況のご報告をさせてください。

実は昨日、ウェルビーイング応援サイトに
約1年半ぶりとなる新しい記事をアップしました。

(今朝、少しだけ文章や画像を整えたので、
昨日すでに読んでくださった方も、もしよければもう一度のぞいてみてくださいね。)


📝 今回の記事について
今回の記事は、
「WELL-BEING TECHNOLOGY 2026」展示会レポートです。

会場を歩きながら感じたこと、
心に残ったプロダクトや言葉、
そして「ウェルビーイングって、結局なんだろう?」と
自分なりに考えたことを、そのまま書き留めました。

・測る技術
・測らないことで寄り添う技術
・人を支える距離感
・静かに効いてくるデザインや思想

そういったものを、
“後から自分で読み返すためのメモ”のような感覚でまとめています。

同時に、
「会場に行けなかった方にも、少しでも空気感が伝わったらいいな」
という気持ちも込めて書きました。


✉️ 今日あった、うれしい出来事
今日は、記事の中でご紹介した 9社のみなさんにご連絡をしました。
すると、

・丁寧に記事を読んでくださった方
・感想を添えてお返事をくださった方
・「書いてくれてありがとう」と言ってくださった方

がいて、とても嬉しかったです。

展示会ではお話しできなかった方とも、
こうして言葉を通してつながれたことが、なんだか印象に残っています。


🌱 このサイトについて、あらためて
このサイトは、
ニュースを早く届ける場所でも、
正解を示す場所でもありません。

そのとき感じたことや、
考えたこと、迷ったことも、
あとから読み返せるように残している場所です。

だからこそ、
少し主観的だったり、余白があったりします。

でも、
誰かがふと立ち止まったときに
「こんな考え方もあるんだ」と思ってもらえたら嬉しいな、
そんな気持ちで続けています。


明日からは、またいつものニュースレターに戻ります🌿
今日の更新は、ちょっとした近況報告でした。

もしよければ、
お時間のあるときに読んでみてくださいね。

それでは、今日も一日おつかれさまでした。