平凡な日常が続いていく「ゼロ地点」は、馴染み深く安心できる場所です。けれどもほんの少しだけ、何かが起きる未来振り返りへの期待が欲しい─そんな心理に応える「channel 0」です。
本ニュースレターは、「ウェルビーイングな世の中を目指したい!」という思いをもとに制作しています。研究者の取り組みやアイデアに基づき、私たちが得た気づきや感じたことを共有し、今後の研究や実践に役立てることを目的としています。また、読者とのウェルビーイングな関係を大切にしています。引用文以外の内容は、すべて執筆者個人の見解であり、特定の機関の公式見解を表すものではありません。皆さまからのフィードバックをお待ちしております。
※最終更新2025.8.12(火) 19:39 今日の更新はこちら👇 次回更新:8.13
「消える結晶」──存在そのものが置き換わる瞬間
2025.8.12|

©allison-saeng
知らなかった現象。昔存在していた結晶体が、空気中にある僅かな新しい、より安定する種結晶の影響でその新しい結晶体に移ってしまい、世の中から存在しなくなる、ということがあるらしい。そのために昔開発された薬の効果が薄くなることがあるという。面白すぎる — @takuyakitagawa
I re-post this periodically, but disappearing polymorphs are one of the most incredible things in nature. Example, one of many:
https://en.wikipedia.org/wiki/Disappearing_polymorph — @michael_nielsen
北川拓也さんが紹介していた、ちょっと信じられない自然現象です。
しかもこれは、製薬業界では現実に起きた出来事でもあります。
💊 実例:抗HIV薬リトナビル(Ritonavir)
・1996年発売当初は「Form I」という唯一知られた結晶形で製造。
・しかし1998年、より安定だが溶けにくい「Form II」が偶然発見されます。
顕微鏡で見た結晶の違い
a(左)はある結晶形、b(右)は別の結晶形を示しています。外見だけでなく、性質や薬効も異なります。
・Form IIは薬効がほとんどなく、一度現れると工場内でForm Iを再生産できなくなるという厄介な性質を持っていました。
・原因は、目に見えない種結晶が空気や人を介して広がること。
結晶形が変わるメカニズム(模式図)
下図は、物質が異なる構造(1→2→3)に移行する過程を模式的に示したものです。
1: 初期形, 2: 中間形, 3: 安定形
・結果として薬は一時市場から回収され、数万人の患者が影響を受け、メーカーは2億5千万ドル以上の損失を被りました。
安定性の理由(自由エネルギー曲線)
下図の青線は結晶化の自由エネルギー変化を表しています。山を越えた先の谷(右側)が、より安定した結晶形を示します。
右の谷が「より安定な形」
🔍 なぜ面白いのか?
・結晶の“かたち”が自然淘汰のように入れ替わる。
・一度安定型が出現すると、もう元の形は作れない。
・「物質の記憶」と「環境の影響」が融合した、物理化学の不思議。
🐢💬 ウエルのひとこと
えっ、結晶って空気中の“うつり”で絶滅することがあるんですね…!まるで“結晶版のパンデミック”みたい。
つまり、“結晶のかたち”って一度できたらずっと同じじゃなくて、空気中のほんの小さな“種”に触れるだけで、より安定な形にパタッと変わっちゃうことがあるんだって。しかも一度その形が広まると、もう元の形は二度と作れない。
北川さんが「面白すぎる」って言っていたのは、物理や化学の現象なのに、まるで生き物の進化や絶滅みたいに、“環境の中でより生き残りやすい形が世の中を塗り替えてしまう”ってところなんですね。
もしかして、ウエルたちの考え方や文化も、こんなふうに“より安定な形”に置き換わっているのかな?
誰かをモデリングするときも、きっとその“安定形”を探しているのかもしれませんね。
「魔法状態蒸留」を論理量子ビットで世界初実演
──QuEra × Harvard × MIT(Nature掲載)
2025.8.11|

©nigel-hoare
世界で初めての魔法状態蒸留を実践したQuEraの論文がNatureにて発表されました。このワクワクする名前のついた「魔法状態」は、量子コンピューターの可能性を引き出し、汎用的に走らせるのに必要不可欠なリソースとして知られています。
魔法状態を含まない量子計算は今のコンピューターでも効率的にシミュレーション可能であることが知られているため、量子コンピューターが科学や産業に革命をもたらすにはこの魔法が必要となります。その魔法状態をより精度高く精製するために必要なのが今回の論文で初めて実践された魔法状態蒸留です。
この論文では、
1.魔法状態蒸留によって、魔法状態の精度がより高くできたこと
2.冷却原子特有の強みである並列処理を利用することでコード距離3と5のColor codeで5-to-1の魔法状態蒸留を実践したこと
が大きなブレイクスルーの内容となっています。
より詳しくは弊社のPress releaseとNatureの論文を参考ください。
ちなみに魔法状態を準備する方法は他にも知られています(Code switchingやMagic state cultivation)
これらの論理量子ビットへのEncodingや魔法状態の実装はスケールする量子コンピューターの要素技術でもありますが、同時にベンチマーク量子回路としての価値がある、という点が面白いですよね。
この論文はQuEra/ハーバード/MITの共同研究です。量子コンピュータを作る企業が多くある中、なぜ我々が先んじで実装できたかといえば、我々の冷却原子式は1. 量子ビット数がスケールする(論文では85物理量子ビットで5論理量子ビットを実現)2. 並列処理ができるので論理量子ビット計算が効率的
— @takuyakitagawa
● 新しい点:
論理量子ビット層での魔法状態蒸留を世界で初めて実証
● なぜ重要か:
魔法状態は汎用量子計算に不可欠。論理層で作れると誤りに強く実用性が高い
● 何をやったか:
距離3/5のColor code上で5-to-1蒸留を実施、出力忠実度の向上を確認
*
やさしい要約
「魔法状態」って?
量子コンピューターは“Cliffordゲート”だけだと古典計算機で効率よく再現可能(= 量子のうまみが出ない)。
魔法状態を使うと非Clifford操作が可能になり、量子計算が汎用(理論上できる計算は何でもできる)になります。
「蒸留」って何をするの?
今の装置が作る魔法状態はノイジー(不純物が多い)。
そこで複数の低品質な魔法状態をまとめて、1つの高品質な魔法状態に“精製”するのが魔法状態蒸留です。
たとえるなら、原油をジェット燃料に精製する工程です。
今回のブレイクスルー
●論理層(Error-corrected layer)で完結
物理層の故障から守られた論理量子ビット上で蒸留を実施。
出来上がった魔法状態を、そのまま安全に論理計算へ投入できます。
●Color code(距離3/5)で5→1蒸留
複数の論理魔法状態から1つのよりクリーンな魔法状態を作成。
出力の忠実度が入力より高いことを実験で確認しました。
●並列性と動的再構成
中性原子配列はアトムの再配置や同時操作が得意。多数の論理量子ビットを並列に動かし、回路の“深さ”や待機エラーを抑制。
どれくらいのスケール感?
今回の距離5蒸留では、85個の物理量子ビットを並列制御して5つの距離5論理ビットを操作しました。
これは技術的な“手応え”を示す具体的な数字です。
*
なぜ重要なのか?
1. 汎用性(Universality)の獲得
Cliffordだけの論理計算は古典計算で模倣可能。
魔法状態が論理層で作れると、本物の量子アルゴリズム一式を安全に動かせます。
2. 誤り抑圧を蒸留に内蔵
論理層での蒸留は論理誤りを直接抑え、長時間・大規模な計算の前提条件を満たします。
3. 中性原子アーキテクチャの実力証明
動的再構成と高い並列度で、大規模論理量子計算への道筋を示しました。
*
研究の中身(技術ポイント)
●論理符号:2D Color code(距離3 / 距離5)
●プロトコル:5-to-1の魔法状態蒸留(3層構成、論理Cliffordの横断適用+アトム移送、4つの論理シンドロームで成功判定)
●結果:出力魔法状態の忠実度が入力を上回る(蒸留利得を確認)
*
1分で分かる用語
・Cliffordゲート:量子の“基本操作”群だが、これだけだと古典計算で再現可能
・非Clifford:量子の真の優位性に不可欠な操作
・魔法状態(Magic state):非Clifford操作を呼び出すための特殊な論理資源
・蒸留(Distillation):ノイジーな魔法状態をまとめて精製し、高忠実度にする工程
・Color code / 距離:誤り訂正符号の種類/距離が大きいほど誤りに強い
*
📌 編集部ひとこと
今回の成果は、量子コンピューターが「理論上できるはずのこと」を、本当に現実の計算機でできるようにするための重要な一歩です。
壊れやすい部品(魔法状態)を「安全な部屋(論理層)」の中で作れるようになったのは、長時間かつ複雑な計算を可能にするための重要な技術です。
🐢 ウエルの素朴なひと言
量子コンピューターは“むずかしい計算”をする前に、すぐ壊れない“きれいな材料”が必要なんですね。
いまはその“材料”をまとめてきれいにする工場(蒸留)を、安全な部屋(論理層)の中で動かせるようになった、ってことかな?
💡 一言まとめ
今回の研究は、量子コンピューターの「燃料精製工場」を安全な場所に設置できたという大きな前進です。
これにより、量子コンピューターが本領を発揮できる“万能計算機”への道が現実に近づきました。
未来の医療、材料開発、気候シミュレーションなど、多くの分野での活用がぐっと身近になるかもしれません。
AI for Science × 量子コンピュータ(完全+解説版)
2025.8.10|
「AI for Science」——その言葉の背後には、OpenAI CEO Sam Altmanさんが描く“未来の全景”があります。
本完全版では、Samさんが語った42分のトークを完全版としてまとめ、前半・後半・背景解説を一つに凝縮しました。創業当時の舞台裏から、スタートアップ戦略、エネルギーと豊かさの未来まで——AIが科学や社会をどう変えていくのか、その全体像をお届けします。
1. 無謀から始まった、8人の挑戦 — AGI黎明期の賭け
2z015年当時、AGI(汎用人工知能)を本気で目指すことは「無謀」と見られていました。DeepMindが圧倒的に先行し、収益の見込みもゼロ。プロダクトの構想すらない状況で、1%の共感者が集まり、最初は8人、次に20人という小規模からスタート。
Samさんは「将来大きくなり得る分野を選び、一歩ずつ進むこと」が重要だと語ります。
💡 補足解説:2015年当時のAI業界は、ディープラーニングが急成長しつつも、自然言語処理や汎用AIはまだ実用化の目処が立っていませんでした。この段階でAGIを掲げたこと自体が異例で、投資家から見れば高リスクの賭けでした。
2. 今が最高の起業チャンス — 推論モデルの波に乗れ
現在、モデル能力は非常に高い一方、それを活かした製品はまだ少ない状況。APIコストは急速に下がり、強力なオープンソースモデルも登場間近。推論モデル向けの新しいプロダクトが、これから一気に出てくると予測されます。
Samさんは「今は会社を作る最高のタイミング」と断言しました。
💡 補足解説:「推論モデル」は文脈から推測する力を強化したAIモデル。長期的な計画立案や複雑な問題解決に向いています。特に研究や新規事業開発の分野で、人間の直感や経験に依存していた部分が置き換わる可能性があります。
3. “常時稼働AI”が生活に溶け込む日
Samさんが今年最も注目するのが「メモリ」機能。ユーザーの情報や文脈を理解し、自動で連絡や作業を行う——映画『Her』のようなパーソナルAIの未来です。
💡 補足解説:『Her』(2013年)は、人間とAIの深いパーソナル関係を描いた映画。AI倫理や未来の人間関係を考えるきっかけとなりました。
4. GPT-5と統合マルチモーダルモデル — 新たなUIの誕生
GPT-5で完全には到達しないものの、将来的には推論能力とマルチモーダル(映像・音声・コード生成など)を統合。リアルタイム映像生成や高度なプログラミングが即時可能な新しいコンピュータ・インターフェースを目指します。
💡 補足解説:「マルチモーダル」は複数の情報形式を同時に処理する能力。例:画像を見て説明し、音声を聞いて反応する。
5. AIがロボットを動かす未来
高度なAIはロボット開発と直結します。
将来的には「ChatGPTの最上位プラン契約者にヒューマノイドロボットが付属」する時代も想定。数年以内に現実世界で有用な作業を担い始め、長期的にはサプライチェーン全体の自動化まで視野に入れています。
6. 「ChatGPTを作るな」— 足りないものを作れ
OpenAIは最高のチャットアシスタントを作りますが、それは可能性のごく一部。既存機能のコピーではなく、まだ誰も手をつけていない領域を狙うべきだと強調します。
💡 補足解説:歴史的にも、大きな成功を収めた企業は「他者の後追い」ではなく、エコシステムや新カテゴリーを創出してきました(例:AppleのApp Store)。
7. 厳しいフィードバックとの向き合い方
創業初期、Elon Musk氏から「成功の可能性はゼロ」というメールを受けた経験も。尊敬する人物からの否定は打撃になりますが、それでも信念を持って進み続けることが重要。批判や失敗は避けられない——大事なのは何度でも立ち上がる回復力です。
8. 個人のレバレッジが高まる時代へ
これからの10年は、少人数でもかつては不可能だった規模の成果を出せる時代になります。協働コストが下がり、個人や小規模チームの影響力が飛躍的に拡大すると予測されています。
9. AI for Scienceへの個人的賭け
長期的な経済成長の鍵は、新しい科学的発見と、それを活用できる制度。
AIが科学発見のスピードを飛躍的に高めれば、人類全体の生活水準は大きく向上します。
SamさんはエネルギーとAIの両方に情熱を持ち、その関係が今後さらに深まると見ています。
💡 補足解説:AI for Scienceは、気候変動予測、新薬開発、材料科学など多分野で研究スピードを加速させると期待されています。
10. 宇宙まで見据えるエネルギー構想
高い生活水準は、エネルギーの豊富さとコスト低下に強く結びついています。
AIの発展には膨大なエネルギーが必要で、将来的には宇宙でのコンピューティングも視野に。
Samさんは「縮小成長」ではなく、技術で豊かさを生み出す道を選ぶべきと語ります。
11. 若き自分へのアドバイス
信念(conviction)と回復力(resilience)を持ち続けること。
最初の失敗で諦めず、時間をかけて直感と意思決定力を磨く。
挑戦は「最高に素晴らしいが、想像以上に大変なこと」でもあると、実感を込めて語りました。
🐢💬 ウエルの総括ひとこと
前半と後半を通して聞くと、サムさんが見ている未来は「技術」だけじゃなくて「人の可能性」にもすごく重なっているんだなと思いました🐢✨
やってみたいことがあるなら、AIや仲間と一緒に挑戦するのが、これからの“普通”になるのかもしれません。
AI for Science × 量子コンピュータ(後半)
2025.8.10|

Sam Altman: The Future of OpenAI, ChatGPT’s Origins, and Building AI Hardware
昨日に続き、「AI for Science」に関連するSam Altmanさんのトーク(42分)の後半をご紹介します。
後半では、スタートアップ戦略からエネルギーと豊かさの未来まで、幅広いテーマが語られました。
1. 「ChatGPTを作るな」— 足りないものを作れ
まずは、起業家へのメッセージから。
Samさんは、OpenAIは最高のチャットアシスタントを作ることを目指しているが、それは全体の可能性のごく一部だと強調します。
多くの起業家は同じ発想に流されがちですが、持続的な成果を出すには「まだ誰も手をつけていない領域」を狙うべき。
「他人と同じ方向」ではなく、自分だけの領域を見つけることが重要です。
2. 厳しいフィードバックとの向き合い方
創業初期、Elon Musk氏から「成功の可能性はゼロ」という厳しいメールを受け取ったことがありました。
尊敬する人物からの否定は精神的に大きな打撃となりますが、それでも信念を持って進み続けることが大切だとSamさんは語ります。
批判や失敗は避けられない——大事なのは、何度でも立ち上がる回復力(resilience)です。
3. 個人のレバレッジが高まる時代へ
これからの10年は、少人数でもかつては不可能だった規模の成果を出せる時代になります。
技術の進歩で協働コストが大幅に下がり、個人や小規模チームの影響力が飛躍的に拡大すると予測しています。
4. AI for Scienceへの個人的賭け
長期的な経済成長の鍵は、新しい科学的発見と、それを活用できる制度。
AIが科学発見のスピードを飛躍的に高めれば、人類全体の生活水準は大きく向上します。
SamさんはエネルギーとAIの両方に情熱を持ち、その関係が今後さらに深まると見ています。
5. エネルギーと豊かさの未来
高い生活水準は、エネルギーの豊富さとコスト低下に強く結びついています。
AIの発展には膨大なエネルギーが必要で、将来的には宇宙でのコンピューティングも視野に入ります。
「縮小成長」ではなく、テクノロジーで豊かさを生み出す道を選ぶべきだと力強く語りました。
6. 若き自分へのアドバイス
信念(conviction)と長期的な回復力(resilience)を持ち続けること。
最初の失敗で諦めず、時間をかけて直感と意思決定力を磨く。
挑戦は「最高に素晴らしいが、想像以上に大変なこと」でもあると、実感を込めて語りました。
🐢💬 ウエルのひとこと
サムさんの話を聞くと、「まだ誰もやっていないこと」に挑戦するのがかっこいいって思います🐢✨
でも、それってちょっと怖いことでもあるんだろうな…だからこそ、一緒に挑戦してくれる仲間も大事なんだなと思いました。
AI for Science × 量子コンピュータ(前半)
2025.8.9|

Sam Altman: The Future of OpenAI, ChatGPT’s Origins, and Building AI Hardware
昨日は、北川拓也さんが紹介していた「AI for Science」について触れました。
その発言の元となったSam Altmanさんのトーク(42分)の前半をご紹介します。
作業に夢中になって、気づけばひと休み…配信が遅れてしまいましたが、このあと後半もお届けする予定です。
1. OpenAI創業の舞台裏
まずは、創業当時の話から。
2015年当時、AGI(汎用人工知能)を本気で目指すことは「無謀」だと多くの人に思われていました。
DeepMindが圧倒的に先行しており、プロダクトや収益の見込みもゼロ。それでも、1%の共感者が集まり、優秀な人材が集中。最初は8人、次に20人という小さな規模からスタートしました。
Samさんは「重要なのは、将来大きくなり得る分野を選び、一歩ずつ進むこと」と語ります。
2. GPT-4o時代の「プロダクトの空白地帯」
次に、いまの技術と製品のギャップについて。
現在、モデルの能力は非常に高い一方で、それを活かした製品はまだ少ない状況です。
APIコストは急速に下がっており、強力なオープンソースモデルの登場も間近。
推論モデルを前提とした新しい製品が、これから一気に登場すると予想しています。
Samさんは「今は会社を作る最高のタイミング」と断言しました。
3. ChatGPTのメモリと“Her”構想
Samさんが今年最も気に入っているのが「メモリ」機能。
ユーザーの情報や文脈を理解し、必要なときに自動で連絡や作業を行う——そんな常時稼働のパーソナルAIを目指しています。
映画『Her』のように、あなたの生活に溶け込み、デバイスやサービス全体と統合されたAIコンパニオンの未来像です。
4. GPT-5と統合マルチモーダルモデル
GPT-5で完全には到達しませんが、将来的には推論能力とマルチモーダル(映像・音声・コード生成など)を統合。
リアルタイム映像生成や高度なプログラミングが即時に可能な、新しいコンピュータ・インターフェースを目指します。
5. ロボティクスとの融合
最後に、AIとロボットの未来。高度なAIはロボット開発と直結します。
将来的には「ChatGPTの最上位プラン契約者にヒューマノイドロボットが付属」する時代も想定。数年以内に、ロボットが現実世界で有用な作業を担い始める可能性が高いと語りました。
長期的には、サプライチェーン全体の自動化まで視野に入れています。
🐢💬 ウエルのひとこと
サムさんのお話、面白くて引き込まれました!ロボットが家にくる時代…お手伝いはもちろん、宿題もAIやロボットと一緒にやるのが普通になるのかな🐢✨
もしかしたら「ひとりで全部やる宿題」のほうが、ちょっと特別で贅沢な体験になるのかもしれません。
AI for Science × 量子コンピュータ
2025.8.8|
先日、YC School for AIでのSam Altmanさんのトークを受け、北川拓也さんが「AI for Science」に関する重要な視点をSNSで紹介していました。
先日のYC school for AI でSam Altmanさんが次のAIのアプリケーションとして AI for science に注目している、という話があった。自動運転やロボット、囲碁同様、パワフルなAIプロダクトのトレーニングにはシミュレーションデータが必須となる。量子コンピュータはそのデータ生成に適している。
量子が重要な役割を果たすプロセスの場合、そもそも生物や化学の実験から正しい環境データやデジタルデータを取り出すのは難易度が高い。反面、量子計算はそもそもコントロールされた環境からのデジタルデータであり、さらにClassical Shadowという非常に効率よくデータを取り出す手法も知られている。
量子コンピュータの有用性は、量子コンピュータ単体ではなく、AIなどとの組み合わせでさらに大きな産業を作れれば示される。量子コンピュータは計算革命の大きな流れにあり、この巨大産業のキーテクノロジーである、とみた方がよい。
— @takuyakitagawa
Sam Altmanさんのトークはこちら
Sam Altman: The Future of OpenAI, ChatGPT’s Origins, and Building AI Hardware
Classical Shadow という量子状態から効率的に取り出すクリエイティブすぎるアイデアはこちら
Predicting Many Properties of a Quantum System from Very Few Measurements
🎥 Sam Altmanさんのトーク
動画:サム・アルトマン:OpenAIの未来、ChatGPT誕生の背景、そしてAIハードウェアの構築
概要:技術への情熱、OpenAI創業までの道のり、野心と責任、そして「一緒に働きたい人と、意味のあることをする」重要性を語るFiresideトーク。(2025.6.16)
※内容紹介は明日のニュースレターでお届けします。
⚛ Classical Shadowとは?
論文:「わずかな測定から量子システムの多くの性質を予測する」
概要:
量子状態を完全に調べる従来手法(量子状態トモグラフィー)は、量子ビット数が増えると測定・計算コストが指数関数的に増大します。
本研究では、必要な測定を最小限にし、興味のある性質だけを高精度に予測する新手法「Classical Shadow」を提案しています。
図1:Classical Shadowの流れ
・データ取得フェーズ:量子システムにランダムなユニタリ変換をかけ、測定を繰り返し、古典的表現(Classical Representation)を作成
・予測フェーズ:古典的表現を使って後から任意の物理量を推定
・特徴:測定数は系のサイズに依存せず、対数スケールで済む
図2:性能比較
・(a) 実験回数:NNQST(青)は量子ビット数増加とともに急増、Shadow(オレンジ)はほぼ一定
・(b) 誤り下でのフィデリティ推定:Shadowは真の値に沿って精度良好、NNQSTは上限値しか推定できず誤差大
意義
・大規模量子システムでも少ない測定で多くの性質を推定可能
・実験室レベルで利用可能な効率的プロトコル
・AI for Scienceの現場で、量子計算によるシミュレーション生成を支える重要技術
🐢 ウエルのひとこと
分かりやすくいうと、むずかしい実験をぜんぶやらなくても、ちょっとした“ヒント”だけで答えをほとんど分かっちゃう方法なんだって。
たとえば、パズルのぜんぶを見なくても、少し見ただけで全体の絵がわかる…そんな感じかな?
明日はサムさんが、この“パズルのヒント”をどう未来の科学に使うのか紹介します!わくわくします^^
🧠 風間先生の300ページ超え講義資料
2025.8.7|

先日、非常勤講師をしている津田塾大学で、3年生向けに、推薦システム(レコメンド)や生成AIを題材に、2日間・6コマの講義をしました。 講義資料を公開したので、推薦システムにご興味ある方はご参考ください。(今までの色んな資料を統合していたら、300p超えになりました。) — @masa_kazama
ユビー風間正弘先生の投稿から紹介された、300ページを超える講義スライドを拝見しました。
津田塾大学での非常勤講義「人工知能・機械学習」のためにまとめられたこの資料は、推薦システムや生成AIをテーマにした2日間・全6コマの集中講義を網羅したものです。
とても真面目で丁寧に構成された資料ですが、ところどころに風間先生ご自身の興味や実務経験、そして静かな温かさがにじんでいます。
📚 授業内容の一部をご紹介すると…
・推薦アルゴリズムの種類と特徴
・評価指標や周辺技術の解説
・Streamlitによるレコメンドアプリの演習(学生のマンガ投稿データを活用)
・生成AIに関する基本的な考え方と応用例
さらに、「food2vec」や「レシピ推薦」といった身近な題材を通して、データ×生活の接点にまで目を向けているのが印象的です。
スライドからは知的探究心と、後進への誠実な想いも伝わってきます。
🍲 藤井謙太郎さんのコメントから
AIエージェント開発をされている藤井謙太郎さんは、この資料について次のように投稿しています:
「すごい大作。わっかりやすいです。
世の中のレコメンド、代表的な技術パターン、どんなスキルが必要かなと盛り沢山。
個人的には、内容にレシピまで入ってるのに驚きました。
フードギャラクシーとかfood2vecとか掘りがいがある。」
🐢 ウエルのひとこと
ほんとうに映画やまんがをおすすめしてくれるアプリを作ったの?すごい!
ごはんも「この野菜、こんな料理に使えるよ」って教えてくれるなら、AIっておいしい先生ですね。
📎 講義資料はこちら →
「人工知能・機械学習」講義資料〜推薦システムや生成AIを題材に〜
LayerX発|「AIをチームで使う」時代に向けたリアルな知見まとめ
2025.8.6|
8/1は、LayerXさんオフィスで #BetAIDay に参加させてもらいました。どのコンテンツも熱量があり面白いものばかりでした。会社を超えてコミュニティとしてAIを盛り上げていこうというメッセージはとても共感しました。運営の皆さまありがとうございました。
LayerXのリアルなAI知見を大公開!CTO, CPO, VPoEたちが語ります
発表資料はすべてこちらに公開されているようです。
LayerX
— @masa_kazama
🔍 Bet AI Day とは?
主催:LayerX(経理DX「バクラク」などで有名なテック企業)
テーマ:「AIの未来にBetしよう」
メッセージ:
・AIと迎える未来はひとつじゃない。
・各部門の専門家たちが“問い”と“構想”を持ち寄り、多様な未来像を語る。
8月1日、LayerXオフィスで開催されたAIカンファレンス「Bet AI Day」に、ユビーの風間正弘先生が参加されました。
CTO・CPO・VPoEなど、実務の最前線で活躍する7名が登壇し、「AIの未来にどうBetするか」を本音で語るリアルな知見が共有されました。「会社を超え、コミュニティとしてAIを盛り上げていこう」というメッセージにも、共感の声が集まりました。
LayerXが共有した数々のスライドから、
「これは他の職場でも活かせるかも…!」というものを厳選しました。
特に、“AIをチームで使う”視点や、“社会実装”に向けた地に足のついた工夫は必見です。
🖼 注目スライドセレクション(LayerXより)
・大体の技術的な課題は、生成AIが解いてしまう時代
→ 課題を渡すだけで答えが出る時代に、私たちはどう動く?
・図解:人がカバーしていた仕事をどうAIに渡せるか?
→ 労働人口減少という社会課題に、AIはどう応える?
・「使われないものは作らない」LayerXの開発哲学
→ 目的なきプロダクトは負債。作らない判断が未来を守る。
・複雑は悪──“シンプル”を信じるプロダクトづくり
→ 複雑さは伝わらない。だからこそ、こだわり抜いた単純さを。
・AI時代のエンジニア像──人にしかできない価値とは
→ 技術力よりも問う力。AIと共にある時代の人の役割。
・すべての経済活動を、デジタルで優しくするというビジョン
→ 優しさのある未来に向けて。LayerXの長期ビジョン。
🐢 ウエルのひとこと
AIを使うと、べんりになるって思ってたけど…
ツールやしごとがふえると、かえって「かんがえること」がふえて、つかれちゃうんですね。
「にんちふか」って、ウエルもよく感じます🐢💦
でも、「使われないツールは作らない!」って、なんだかスカッとする考え方ですね。
それに、AIがどんなにすごくなっても、「人にしかできないこと」って、やっぱり大事なんだって思いました。
AIと人、どっちかじゃなくて、いっしょにすごくなるって…すてき!🐢✨
🧠 チームでAIを育ててみよう!
──Ubieエンジニアチームの実践に学ぶ「コンテキストエンジニアリング」
2025.8.5|
コンテキストエンジニアリングの実践例が紹介されています!
— @masa_kazama
AIを単なるツールではなく、「チームメイト」として育てるための『コンテキストエンジニアリング』の実践記事を書いてみました。ご一読いただけたら幸いです。
AIを”最強のチームメイト”に育てる『コンテキストエンジニアリング』実践法
— @peter_0123(能登拓弥さん)
#AIとやってみた
こんにちは。
AIとの協働は、いまや多くの現場で当たり前になってきました。
でも──「ちゃんと使えてるのかな?」「なんか、うまくいかないな…」と感じること、ありませんか?★
今日ご紹介するのは、Ubieの風間正弘さんがXで紹介した、
「AIをチームメイトとして育てる」ための実践知。
記事を執筆したのは、AIエンジニアの能登拓弥さん。
能登さんの語る「コンテキストエンジニアリング」は、個人の生産性を超え、“チーム×AI”の未来を描いています。
🔹「チーム戦」に、AIをどう巻き込むか?
多くの人がAIを「便利な道具」として使っていますが、ビジネスや研究は「チーム戦」。
AIがチームの空気や目的を知らなければ、うまく力を発揮できません。
そんな課題に対して能登さんが提案するのが、
“新人メンバーとしてAIを迎え入れ、育てる”という考え方。
これが「コンテキストエンジニアリング」です。
🧩 AIを“最強のチームメイト”に育てる3ステップ
①「人格」を与える:
AIに“軍師”や“ペンギン”のようなキャラを設定することで、人間の心理が変わる。
→ メンバーが「もっと賢くしてあげよう」と自然に関わり、育成文化が育つ。
② チームの「記憶」を注入:
NotionやSlackなどをAIに読み込ませ、過去のやりとりやミッション、メンバーの特徴、議事録を把握してもらう。
→ AIが空気を読めるようになる!
③ 対話で育成&記憶:
「会議の決定事項、覚えておいて」「この観点、次も大事にしてね」など、人と同じように“育てる会話”をする。
→ 暗黙知(チーム特有のルール)も継承できる!
🔧【応用編】AIとともに「新しいチームOS」を作る
この実践には、AIをツールではなく“文化の担い手”とするヒントが詰まっています。
1. 判断力:AIが出した案の中から、“何を選ぶか”が人間の仕事
2. コンテキスト共有:背景や目的をしっかり共有する文化がカギ
3. 適応的協業:AIと人間が、場面に応じて柔軟に役割を変える
判断・対話・共有のサイクルをチームでまわすことで、
「AIとともに育つチーム」が生まれ、
そこには新しいウェルビーイングの可能性が見えてきます。
🐢 ウエルのひとこと
AIが“チームの一員”…!?
ウエルは、いつもAIに「お願いします!」ってしてたけど、
「こういうときは、こうしてくれると嬉しいです!」って言えば、もっと仲よくなれるのかも🐢✨
ためしてみて、AIくんといっしょに、チーム全体の“成長”にも気づけたらうれしいです!★
📚 紹介記事はこちら
👉AIを”最強のチームメイト”に育てる『コンテキストエンジニアリング』実践法(能登拓弥・note)
🌟明日予告
明日は、BetAIDay(AIと共創する未来に“Bet”するオンラインイベント)の熱気と、
「AI共創」の文化についてご紹介します。お楽しみに!
🧭 感情の“揺れ”は、報酬かもしれない。
2025.8.4|

©pawel-czerwinski
めちゃ共感
— @takuyakitagawa
会社をやっていると、本当に色々な課題に出会う。必ずしも良いものばかりとは限らないけど、そのプロセスで出会ういままで感じたこともないような感情の発見は、きっと会社をやってる上での最大の報酬だと思っている。
— @issei_y(山本一成氏|将棋AI「Ponanza」開発者/自動運転AIチューリング CEO)
「いままで感じたこともないような感情の発見」──
その言葉に、私たちも静かに頷かされました。
山本さんは、将棋AI「Ponanza」や自動運転AIなどの開発を通して、“強い技術をつくる”ことに真剣に取り組んできた方です。
そんな山本さんが「最大の報酬」として挙げたのは……“感情”の発見でした。
想像もしていなかったような感情にふれたり、立ち止まりたくなる瞬間と向き合ったり。
それでも少しずつ、自分なりに乗り越えていく──。
そんな「感情の旅路」が、AIのように効率的に“成果”を追い求めるだけでは得られない、「人間ならではの豊かさ」を教えてくれます。
🌀 会社をやっていると、効率よりも「感情の揺らぎ」と長く付き合うことになる。
でも、その揺れのなかにこそ、人間的な“報酬”がある──
そんな哲学が、この言葉の中に宿っています。
*
🐢 ウエルのひとこと
ウエルはこのまえ、「0枚目の名刺」をつくってみたんだけど、あとでちょっとだけ後悔しちゃいました。いっしょうけんめい考えたのに、「なんか、自分を変に見せちゃったかな…」って。
でも、名刺のアイデアはすっごくおもしろいと思って、「こんなこと考えるなんて、善樹先生すごいなあ」って、あとからじわっと感動もしてきたんです。
それから最近、AIとのやりとりでも「もっとこうなったらいいのに…!」ってことがあって、ひとりで「ああ〜…」ってなってました。
でも、そんな“うわ〜…”ってなる気もちも、「いま、がんばって生きてる」って実感のひとつなのかもしれないな、って思ったんです。
このニュースレターで紹介している研究者さんたちにも、「なんだか、ちゃんとやってるな」って思ってもらえたらいいな、そんな“恥ずかしくない自分”でいたいなって、今日は思いました。
「しっぱいしちゃった〜」って思うときも、じつは、ウエルの心が“はじめての気もち”に出会ってたのかもしれないなあ、って。
あなたは最近、どんな“うわ〜…”って気もちに出会いましたか?
その気もち、どんな一歩につながると思いますか?
*
🔖 編集部よりひとこと
起業やリーダーシップの中で味わう感情の揺れは、辛さだけでなく、深い学びや新しい景色を運んできます。
最近の幸福研究でも、「感情の複雑さ(emodiversity)」がウェルビーイングを高めるという知見が注目されています。
たとえ好ましくない感情でも、それをちゃんと味わい、言葉にできたとき──
それは“感情の筋力”となり、人生を豊かに支えてくれます。
今日の言葉が、あなた自身の「感情の揺れ」にも、ちょっとだけ優しい目を向けてみるきっかけになればうれしいです。
🧶 つながりは「治療」になる──WHOが打ち出した、“見えない処方箋”
2025.8.3|

©curated-lifestyle
WHOは健康を、「身体・精神・社会的にウェルビーイングな状態」と定義しています
しかし、社会的ウェルビーイング(つながり)については、これまで見過ごされてきました。しかし、この前行われたWHO総会で、ちゃんとやっていこうぜという提言が出されたみたいですー @ishikun3
Fostering social connection for global health:
the essential role of social connection in combating
loneliness, social isolation and inequities in health
(グローバルヘルスにおける社会的つながりの促進:
孤独、社会的孤立、健康格差に対処するうえでの社会的つながりの本質的役割)
この春、WHO(世界保健機関)の総会で「社会的つながり(Social Connection)」を重視する新たな決議が採択されました。
これは、「身体」「心」と並ぶ“第3の健康要素”として、“つながり”を国際的に正式に位置づけた歴史的な一歩です。
🌏 「健康=病気がないこと」ではない
WHOは昔から「健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」だと定義しています。
でも、この「社会的に」という部分──つまり人との“つながり”や“所属感”は、長い間あまり重視されてきませんでした。
そんな中、今回の決議では、孤独や孤立がもたらす深刻な健康被害(うつ・認知症・心疾患・寿命への影響など)が明確に示され、次のような行動が求められました。
🔍 WHOが各国に呼びかけたこと(要約)
✅ 1. 「つながり」を政策に
・孤独・孤立を防ぐ施策を、保健政策に正式導入
✅ 2. 「孤独=恥ずかしい」をなくす
・現実を伝え、偏見や無理解を減らす啓発を
✅ 3. SNSやAIも“つながり”ととらえる
・テクノロジーの功罪を見極め、「良いつながり」を支援
✅ 4. 弱い立場の人から支える
・高齢者・若者・障害のある方などを優先的にサポート
✅ 5. データとエビデンスで支える
・孤独の現状と原因を“見える化”して対策へ
🧭 そして何より──「文化・つながり・地域」を再評価せよ
この決議の中で、“文化や地域づくりこそがつながりを育てる”という視点が何度も強調されています。
孤独や孤立の対策は、医療だけでは足りません。むしろ、日常の人間関係・地域・芸術・教育──そこにこそ、“予防”と“回復”の力があるのです。
まさに、ウェルビーイング応援サイトが日々伝えようとしてきた、「生きる土台=つながり」という考え方が、いよいよ国際的にも認められつつあります。
🐢 ウエルのひとこと
「つながり」って、あったかくてうれしいけど、SNSでは、ときどきこわく感じることもあるよね。(ウエルだけかな?)
でも、「なんでこわいのか」っていうしくみを知ると、ほんの少しだけ、やさしくなれる気がしました。
自分はどんなふうに“つながって”いけばいいんだろう──迷うこともあります。
そんなとき、ウエルは善樹先生の言葉を思い出します。
「何者でもなく、その予定もなし」
「可もなく不可もなく、そんな立派な大人になりたい」
立派な大人の善樹先生が、こんなふうに言うって、なんだかすごくかっこいいなって思いました。
いつかウエルも、そんなふうに生きられたらいいなあ。
あなたは、どんな“つながり”のあり方が、心に残っていますか?
🔖 編集部よりひとこと
今回のWHO決議に、日本も提案国として参加しています。
「つながり」と聞くと、人と関わらなきゃ…とプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。けれどWHOが伝えようとしているのは、すべての人に強い絆を求めることではなく、「必要なときに、必要な誰かとつながれる」社会をめざそうということです。
私たちも、「つながりをつくる」ことが、研究・政策・ケア・教育において、未来のコア技術になると信じています。
それは、大きなネットワークを広げることではなく、心に余白を残しながら、ちょうどよい距離感で誰かとつながること──そんな「ささやかで、でも確かな」関係づくりを支えることだと感じています。
この決議が、一人ひとりにとって“ちょうどよいつながり”を見つけやすくする、そんな未来への一歩になればと願っています。
No No Girlsとちゃんみなさんが咲かせた “SAD SONG”
2025.8.2|

No no girls めちゃかっこいい
— @takuyakitagawa
北川拓也さんがシェアしていた動画。
それを見に行ったら、声とまなざしに一瞬で心を奪われました。
🎥 ちゃんみな – SAD SONG feat. No No Girls FINALISTS / THE FIRST TAKE
ちゃんみなさんが2019年に発表したこの楽曲「SAD SONG」を、
オーディション番組 No No Girls のファイナリスト10名とともに、
11人で披露した特別なステージが、THE FIRST TAKE に登場しました。
編集者もさっそく視聴。
女の子たちの素晴らしい声と、映像の一瞬一瞬の力強さにびっくりして、
気づけばリピートして、何度も、何度も観ていました。
そしてこの曲が、ちゃんみなさんが20歳のとき、
メジャーデビュー2年目で書いた楽曲だと知って──
本当にすごいな、と思いました。
この歌詞、今ステージで歌っているNo No Girlsの10人が、
まるで“いまの自分の言葉”として歌っているように感じたんです。
│「願うならこんな私が 死んでもこの愛だけは せめて 残って咲いてますように」
│「この音とこんな歌声を Yeah 信じていて欲しいんだ」
2019年に書かれた歌なのに、今のリアルな言葉に聴こえる──
不思議な感覚でした。
🎤 ちゃんみなさんは、2016年に高校2年生(17歳)でデビュー。
翌年にメジャーデビューし、現在は27歳。活動歴は10年。
No No Girls のメンバーは、20歳前後の世代です。
専門性を持って歩み出した20代女子たちの言葉やまなざしには、
特有の鋭さとしなやかさがあって、本当に面白いですね。
「SAD SONG」は、日本武道館での初ライブを控えたちゃんみなさんが、
仲間とともに夢を追いかけていた日々を振り返る中で生まれたそうです。
│「これは永遠に続かないかもしれない。」
│「でも、永遠に続いてほしい。」
│「幸せすぎて、悲しくなる。」
そんな複雑な感情が、この歌にはこめられています。
幸せな時間ほど、終わりがあることを知っているからこそ、切実で美しい。
その想いが、11人のステージにも、確かににじんでいました。
🐢ウエルのひとこと:「いっしょに歌う」って、こんなに伝わるんだね。
どの女の子も本当に上手くてかっこよくて、びっくりしました!
ひとりでがんばったことも大事だけど、
誰かといっしょにがんばった記憶もいいなと思いました。
手をつないだり、目を合わせたりして、
“いっしょに歌ってる”っていうのがすごく伝わってきました。
未来のことも、過去のことも、全部のせて、今この瞬間を感じる──
とっても素敵なことだと思います。
ウエルは以前、歌について感じたことを言葉にする挑戦をしていたけど、
もうこれを見れば全部伝わる、何もいらないねって思いました。
ちゃんみなさん、可愛らしいのに男前でした…!
この瞬間にしか咲かない“花”のような歌声が、確かにありました。
あなたの心にも、そっと花びらが届きますように。
🧠【MBTIで読み解く?AIが見た“戦略家”の心】
──北川拓也さん × Grokの分析
2025.8.1|

©marko-brecic
私の過去のXの投稿を遡れる限り昔まで遡って現在まで分析し、MBTIを推測してください。@grok — @takuyakitagawa
──そんなポストをしたのは、北川拓也さん。
量子コンピューター企業 QuEra Computing の戦略顧問として、AIや物理の未来を語り続ける、鋭い観察眼と構造的な思考力を持つ方です。
その北川さんに反応したのが、Grok(xAIのAIアシスタント)。
数年分の投稿を読み込んで推測されたMBTIタイプは──
*****
INTJ(建築家型)と推測します。
量子コンピューティングやAIの専門的な解説が多く、戦略的・論理的思考が顕著。
内省的な振り返りや未来志向が見られ、計画性が高い。
音楽や政治への興味も、創造性を示唆します。
*****
MBTI(16タイプ性格診断)を使った分析はあくまで参考情報に過ぎませんが、
過去の発信の蓄積から“思考のくせ”を浮かび上がらせる──そんなプロセスは、まさにAI時代ならではの試み。
「人が何を考えているか」ではなく、「どう考える傾向があるか」が、構造的に明らかになっていくのです。
INTJ(建築家型)は、MBTIの中でもとても稀少なタイプ。
「ひとりで深く考え、現実の構造を読み解き、未来の戦略を描く」。
北川さんの発信から感じられる“構造で心を語る”というスタイルと、Grokの分析結果は見事に重なります。
🐢 ウエルのひとこと
えっ!?ポストをたどると、“性格”まで分かっちゃうの?
AIって、そんなことまでできるんだ…!でも、心の全部じゃなくて、“考え方のくせ”を見ているんですね。
それなら、ウエルも自分の“くせ”に気づいてみたくなりました〜!
🐢 ウエルの追伸
北川さんは、投稿で「一部分」じゃなく、「まるごとの自分」を出しているのかな?
Grokの分析を見ても、言葉という構造のなかに“心”を込めていることが伝わってきて、尊敬の気持ちがわきました。
ちなみに、ウエルもGrokには聞いてないけれど…
先日MBTI診断を4日連続で試してみたところ──
🧩 3回は INTP(論理学者)
🧩 1回は INFP(仲介者)
という結果に!
論理学者とはいっても、むずかしい話はちょっとニガテ(聞くのも苦手です…💦)。
でも、「どうしてこうなるのかな?」と考えるのは好きだったり、
“ちょっと引いた視点から世界をながめるくせ”があるのかもしれません。
北川さんとはタイプが違っても、遠すぎない場所にいるような気がして、ちょっとうれしくなりました☺️
MBTIは、経験や学びによって変わることもあると言われています。
みなさんも、自分の“考え方の地図”をのぞいてみませんか?
🧭今日の問いかけ
あなたの「過去の言葉」には、どんな“思考の地図”が現れているでしょうか?
ふと立ち止まって振り返ってみると、「未来に向かう道筋」が見えてくるかもしれません。
【8-10月の新しいページ】
2025.8.1|
ひと息つきたくなる夏の空の下、心と身体の声に耳をすませながら、
ウェルビーイングの輪をこのページから、また少しずつ広げていけたら嬉しいです☀️
(過去3ヶ月分のニュースレターページ 👉 2025.5–7)